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ダンゴムシ?って、最高ー!!

 ーコウ視点ー


 美しい山々。

 美しい森。

 美しい草原。


 おーー?ここどこ??



 戻った俺は、信じられないほど美しい景色と出会う。


 まさか、テーレントなのか?



 どうやら戻った俺達の前に現れたのは『太古のテーレント』と同じ姿らしい。

 太古のテーレントって綺麗な場所だったんだなぁ。とそんな感傷に俺が浸ってたら…


 歓声が聞こえてきた。


 ミゲル達だ。


 ミゲル達とレイバンが手を取り合ってめっちゃ喜んでいる。



 あー!マジで良かったよ…。




 あの後…

 ピィー達と同じく破れた空から落ちてきたトラッデの仲間達。


 ピィーは本当に天才で大きくなって見事キャッチとは!!

 さすが俺のペット!


 全員が無事着地してレイバンとの再会を喜ぶもつかの間。


 ぎゃーー!!

 急に地面が揺れて…


 ハイ!!今ココ。



 不思議と俺の傷も良くなって(レイバンの心配性が発生したけど、な!)皆んなとの再会を果たしたんだ。


 感激の再会のはずなんだけど…

 そこにはキョトンとした傷だらけの仲間達の姿が!



 ど、どうした!!

 はー。新種かぁ。


 バタバタとトラッデの皆んながテントの張り直しやら、手当てやらで走り回る。


 俺…暇。



 と、思うだろ?


 ふふふ。今回はちがーう!!



 俺の出番がついに来たのだ!!

(俺の勘が告げるし!)



 俺は、袋からとっておきの傷薬を取り出したのさ!

 まだだーれにも使ってないヤツだよ。


 実は…薬草を集めていつか薬作りをしようと決めて…遂に完成したんだ!


 ふふふ。

 皆んな驚くぞ!!


 カリナに近づいて颯爽と薬を差し出す。


「ほーら。これ!

 傷薬なんだよ。実はさぁ俺コツコツ作ってたの。

 ふふふ。たぶん凄く効くから!」

 麗の森の薬草だ。


 よく見れば、ラオやスタンさんが傷だらけの姿でカリナさんの手当てを受けていた。

 顔色も悪く、俺を見ても反応が薄い。


 よほどの戦いがあったんだな。

 気を引き締めて、傷薬を塗ろうとしたらアーリアさんが近づいてきた。


「あ!アーリアさん。お久しぶり。

 これ!俺のとっておき!!効くよ〜。」


 難しい顔で見ていたアーリアさんが一言。


「これは最高級の回復薬です。

 さぁ、皆さんに塗ってあげて下さい。」


 よーし!!


 俺とナット君は、手分けして薬を塗る。


「くぅーーー。」

「ひゃぁーー。」


 ん?

 変な声出すなぁ。


 悶えているように見えたラオが急に、俺を見て叫んだ。



「コウーー!!よくぞ戻った!!」


 おぉ。

 やっぱ、よく効くじゃん!!

 へへへ。


 その後もおかしな声はすれど、塗った途端に次々と皆んなの傷は癒えた。


 よしよし!!


 さぁ、こうなれば次は料理しょ!



 俺は張り切って料理を作る。

 何せ、森があるんだ。


 新しい材料が。。。



 あぁ。

 なんと素晴らしい!!


 森でブルーベリー?発見!!(その呼び名でいいのか?)

 とにかく大量のベリー種発見!!


 ウキウキの俺は、早速タルト作りに入る。

 甘く煮て、ヨーグルトやフルーツと和えてフルーツヨーグルトだよ。


 その他も、レイバンの好物の煮込み料理を作ったり、キノコ汁を作ったりして気づけば大量の料理が完成したよ。



 俺は、皆んなを呼ぶと料理と、もう一つの特技を披露したんだ。



 ふふふ。


 隠れた才能!第2弾!!


 その名もモーリフ弾きだ!


 レイバンを目覚めさせた天才の音楽は、きっと皆んなの傷に効く!はず…!


 俺の奏でるメロディーに、皆んなは一瞬でおし黙る。

 ふふふ。感動してるかなあ。


 すると。



 ポコポコ??


 おー『ダンゴムシ?』達が現れたし。

 太郎とはあの後、別れて寂しかったけどコイツらは来てくれたんだな?


 一列に並んで踊る姿は、コザックダンス?に似てるし。


 くくく。

 面白いよーー。


 腹を抱えて笑っていた俺は、皆んなの表情が見えなかった。



 固まっていた顔を…。



 ースタン視点ー



 激しい戦闘は、一瞬の隙をついて攻撃を受けてしまった。


 肩を抉る傷に、再び立ち上がれる力も出ない。

 必死に剣に手を添えるも、出血が酷くて意識がぼんやりする。



 もう、ここまでか。



 そんな意識の中でも、突然の異変は理解出来た。


 テーレントの景色が…。


 でも、そこまでだった。

 ふらりと、意識が暗闇の中へ。。。とはならなかった。

 何故なら。。


 い、いったーい!!


 痛い、痛い痛い!!!


 激烈な痛みが襲ってきたからだ。

 そりゃ、もうぼんやりなんて出来ない酷いヤツで。


「くぅー。」と思わず呻くと、隣からも同じ声がした。


 ラオ。


 そこで俺は、傷が塞がっているのに気付いた。

 何故?


 あの傷は致命傷では?



 コウ殿!!視覚がはっきりしてコウ殿を認識した。。。やはり治ったのだ。

 なんと言う効き目。


 得意げに差し出しているのは、さっきの劇薬か?


「これのお陰で助かったのです。

 恐らくは…」


 済まなそうな顔でカリナ殿に言われて理解した。

 どうやら、薬作りの才能もあったコウ殿の作品だと。



 有り難い。

 本当に心から礼を言いたい。


 だが、次は何としても塗りたくはない。出来れば…だが。


 あぁ死ぬ気でもう一度訓練をしようと決意を新たにした。

 ラオもどうやら同じらしい。


 その晩はコウ殿のご馳走をいただき、失血の影響すらなくなった私は、戻ったレイバン殿の話を聞こうとしたその時だ。



 コウ殿がレイバン殿のモーリフを持ち出して演奏を始めた。


 コウ殿。

 一つくらいは欠点があったのですね。


 酷い…耳が痛む気がするほど。


 だが、さすがのコウ殿だ。

 そんな事では済まさない!!


 なんと!!

 大地の精『ザサール』を呼び出したのだから!



 それも『愉快に踊るよー!』と。



 あまりの展開に黙り込む我々に気づくことなく大爆笑のコウ殿をただただ見つめていた。



 この世界には言い伝えがある。


『大地の精ザサールが踊る時、大地が笑う。』



 それはまさに、今のテーレントの事だろう。


 夜風が草むらを揺する様に、俺も心の底から静かな笑みが溢れた。







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