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闇影獣との戦い!

少し戦闘シーンが出てきます。

次話は、いつものコウ達に戻ります。

「あー、ああいいお湯だった!」


キヌルの麓の町『スドラ』で山越えの準備をしている。

寒さ対策の服や、地図・日持ちする食べ物・登山靴・雨用の服など。

だけど一番大切なのは『グーティ』だ。

えーと、ロバをちょっと太くして大きくした奴かな?山越えの荷物持ちはこの『グーティ』あればこそらしい。

今までの馬やロバは、預けて行くのが当たり前なんだってさ。


そこでレイバンの定宿『マンスのお宿』に今、泊まってます!

山と言えば…温泉!!


いやぁ、幸せ・幸せ。

この宿屋の子供達ともすっかり仲良くなって今日は『影踏み』を教えたらめっちゃ喜んでた。

お兄ちゃんのデュークは冒険者に憧れてるらしくレイバンの後を追い回してる。


ま、とにかく忙しいのは、レイバン達で俺は料理しか出来ないから弟のテザックと遊んだり日持ちする食べ物作ったりするぐらいしかやる事がない。

レイバンは、ギルドの任務で難しい事が出来たようで毎日手紙が届いてたから仕方ない。


「コウ。待たせてすまなかった。

明日は出発する予定だが、問題ないか?」


おー、山越えは初めてだから楽しみだなぁ。

ウキウキする俺の横でテザックが駄々をこねる。


「やだよー!まだ遊びたい!!

明日、隠れんぼを教えてくれるって約束したのに!」

俺の服を引っ張るテザックに苦笑いする。

子供は約束は絶対だからな。


「すまない。約束は必ず帰りで果たすから待っててくれないか?ほら、これを約束の印に渡しておくよ。」


前世の記憶を頼りに作った『ミサンガ』もどき?

まあ、腕輪だよ。


機嫌を直したテザックの頭を撫でながらお兄ちゃんのデュークにも渡した。


「気を遣わしてごめん。弟には良く言い聞かせておくから。」


12歳のくせに大人びたデュークに6歳のテザックはふくれ顔だ。まあ、無理もないけど。


キヌルは、特産物があれど日持ちの問題で交易があまりない上に高山に交通も便もない。

貧しさからか、子供を構う暇のある親はいないのだ。


翌朝、仲良くなった二人に手を振って出発だ。

よく晴れて気持ちのいい朝だ。


「コウ。この辺りはこんな天気の日に急に曇ったら間違いなく闇影獣(アンエイジュウ)が出る。かなり大型のものが多いから気をつけてくれ。」

レイバンの低い声に身が引き締まる!


しばらく行くと、突然掻き曇り真っ黒な雲が空を覆った。


「コウとナットは、後ろへさがれ!」

レイバンの声に二人で木の陰に。


現れたのは真っ黒な身体の大きなバッファローに似たやつだ。

ただ、大きさが全く違う。

3m以上ある身体に鋭い牙が覗く。


は、初めて見る大型の闇影獣は迫力というより恐怖の方が強い。

敵わない相手が悪意をこちらに向けるのは、物凄い恐怖を感じるものなんだと、変に納得したりする。やっぱ、混乱してるんだと気づく。


レイバンとラオ。それにウェスさんも気をぶつけながら激しく挑む。


「厖!」レイバンの渾身の一撃が闇影獣に当たる。


おっ!た、倒れるぞ。

ふー。息を詰めてたのか長い息を吐きながら安堵してると、ウェスさんの鋭い一声が飛ぶ。


「もう一匹いるぞ。不味い…ライデンだ…」


ライデン…俺でも知ってる最大級の闇影獣だよな。


や、山のように見える大きな虎みたいな奴が目を光らせて近づいてくる。


「厖!」「幾!」「幾!」

3人の攻撃が重なるがビクともしない!


グォーー。


鳴き声が頭に響いて、気が遠くなる。


「不味いぞ。咆哮を使ってきたぞ。気をしっかり持て!」レイバンさんの大声でハッとする。


見てるだけの俺でも息が上がる。

く、苦しい…


ラオが大きな刀を出した。


ウェスさんは、細い剣を二本も持ってる。


レイバンさんも物凄く大きな槍を構える。



決着つけるのか?だ、大丈夫だろうか。


「「「ハッーーー!!!」」」


一気に飛びかかる3人の攻撃に、ライデンも口から雷を飛ばして対抗する。


け、決着はついた?

ライデンの身体には、レイバンさんの槍が刺さってるし、奴もふらふらし始めた。


その時だ!!


ライデンの影に。。。


俺はその時何も考えずにただ真っ直ぐに進んだ。

ライデンの影にいたのは、テザックとデュークだったからだ。


身体ごと抱きとめてそのまま木陰に走り込む。

物凄い唸り声がした気がするが、俺に奴の攻撃は来なかった。


恐る恐る振り返るとライデンは倒れていた。


だが、その前に俺の目の前に血に染まったレイバンさんが立ちはだかっていた。


「無事か。」微かな声がしてそのまま俺に倒れ込むレイバンさん。


「「レイバンさん!!」」

ラオとウェスさんもそばにきた。


「ライデンは倒しましたが、レイバンさんの傷も深い。このままでは…」

レイバンさんを診ていたラオが苦々しく呟く。


「「ごめんなさい。ごめんなさい。」」

二人の泣き声が木霊するが俺は、まだ呆然としている。


レイバンさんを抱き抱える俺の手に暖かな血を感じて初めて叫ぶ。


「レイバンさん。だ、誰か!!助けてくれ!!」



叫び声は山に木霊する。



「ホウ。このままでは命はないぞ。

仕方ない。我が力を貸そう。」



真っ白な梟がやって来て、俺の肩で喋る。


暖かな何かが俺の中に流れ込んでそのままレイバンさんに伝わっていく。



レイバンさん。



祈りのときはしばらく続いてそのまま、俺の意識は闇の中へと…


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