表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/83

第四十一話・魔法戦

ブックマークいただいたみなさん、どうもありがとうございます。励みになります。

 ザールブリュッケンに到着した途端にばれてしまったセファの存在、そしてセファとサファイアの脳に響く、何者かによる悪意を感じる思考。セファにとって、あまりいい状況とは言えない。


どうするべきか。薔薇紐バインドローズで捕獲してみるのはどうか。でも彼らが思考共有を持つ幻想世界の住人である場合、バインドローズは通じるのだろうか。そうだ、他にいい魔法はないか、記憶の扉で調べてみよう――。セファは目を閉じた。


(――ん? 何かする気かしら?)


(――あのかわいいね。ねえ、アイツ、オレのペットにしていい?)


(――うるさい、だまってろ)


頭の中に三匹の声が響く。セファは集中してその声を排除し、得体のしれない鼠のような三匹の影を捉えるイメージをしながら、記憶の扉を叩いた。


 放たれる魔法が……


   相手を捕えて……


      無力化する……


         教えて……、先祖の記憶よ……。



カチャリ。再びセファの頭の中で、記憶の扉が開いた。あふれ出たイメージは、人間を、闇の幻獣を、そして愛する者を閉じ込める、時と光を止める水晶の欠片、量子監獄プリズンの魔法であった。



 セファは目を開け、迷わずその魔法を唱えた。必要な魔素はけん、光、時の3つである。セファは右手を前方に差し出しながら、三本の指でそれらの魔素を集め、瞬時に練り上げて前方に放った。


量子監獄プリズン――」



(な!)


(ちぃっ!)



魔法が一匹を捕えた瞬間、他の二匹は即座に反応した。彼らは寸前で魔法の効果範囲を逃れたのだ。



(た、たすけてくれェ)



淡いブルーの、高質化された水晶に閉じ込められた一匹が助けを乞うた。彼を救うかどうかで一瞬迷った二匹を、さらに別の魔法が襲い掛かった。


蒼色疾風ブルーゲイル


(え、なに?)


驚くセファの頭上を、強烈な風が吹き抜けた。それはテオの放った風魔法だった。空間を一瞬にして切り裂くその風魔法を、柱の上の二匹は寸前の所でかわした。


(まずい、逃げるぞ)


(ああ)



 仲間を放置して撤退することに決めた彼らの一人が、胸の前に赤い魔方陣を描いた。輝く赤い光がその者の顔を明るく照らした。それは鼠ではなく、セファと同じ小さな女性の姿をした何者かだった。紫の髪を持ち顔色は青く、露出度の多い魔女のような黒い服を着ている。その者が魔法を詠唱しようとした瞬間――。



「ウッピィイィイイ!」



今度はサファイアが攻撃を仕掛けた。戦闘形態でないとは言え、光速に近い精霊の移動スピードと強靭な羽の切れ味は、触れれば軽傷では済まないだろう、だが――。


(なんだ!)


魔法を詠唱する一匹の顔面を狙ったサファイアの攻撃も、紙一重の所でかわされた。長い紫の髪の毛が、切断されてはらはらと空中に舞う。怒りに赤く燃える目でちらっとサファイアを見て叫ぶ。


「覚えていろ貴様達。次に会った時には殺す。魔獣転送トランスファー!」


赤い輝きが、三匹を包み込む。瞬間、二匹の姿は消えた。プリズンで捕えられた一匹には、魔法が効かないらしく、赤い光は弾かれて消えた。



 こうして、セファにとっての初めての実戦が終わった。それは時間にして一秒にも満たない瞬時の戦闘であった。部屋にいた多くの者達は、ゴトリ、という重い何かが床に落ちたような音を聞いて、初めて異変に気付いた。ざわつきながらその周辺に集まる兵士達。レオ、エド、ヨナもそれを見るために部屋の中央に向かう。



 セファは右後方をちらりと振り返り、テオの顔を見上げた。テオはセファの視線に気づき、にこりとほほ笑んだ。


「テオ? さっきの魔法はあなたが? あなたは……、あなたも幻想世界の人なの?」


「ええ、たぶん。私は数少ないエルフの生き残り。極秘事項だけどね」


セファは息を飲んだ。エルフの生き残りはアレクだけではなかった。他にもいたのだ。



「さあ、私達も敵の顔を見に行きましょう」


テオは手の平をセファに伸ばした。セファはうなずいて、その手につかまった。


(続く)

おまけ。


今回のお話を書くために作ったプロットです。今回は新たに「選択」という項目を加えました。


「魔法戦」プロット

・ストーリーの進展:敵の正体

・定番の設定・イベント:蘇る記憶。

・軽い展開:問答無用の魔法合戦

・迫力、驚き、感動:量子監獄プリズンと風の魔法「蒼色疾風ブルーゲイル

・わかりやすく目をひくガジェット:赤い魔方陣

・期待感:敵の一人を捕獲、エルフ

・空気を共有:

・コミカルなエンディング:

・選択:バインドローズか記憶の扉か。


「なろうで高ポイントを取るためのテンプレ」はこちらで公開中です。

https://ncode.syosetu.com/n2641fl/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ