イオ・ヒュムニアにある国
●ウェンデール王国
イオ・ヒュムニアの東部を支配している大国。チヒロ達が最初に訪れたローナ村は、このウェンデール王国の南西部にある。
王都に最も近い都市が「城塞都市マルトゥス」。
過去の戦争では王都を守護するため最後の防衛線となり、絶対的な防御、難攻不落であることから『鉄壁のマルトゥス』の異名で呼ばれていた。
一流の魔術師は王都にある王宮に仕えているため、チヒロは「まずウェンディール王国の王都に行って魔術師に会う」という事を旅の目的に掲げていた。
近隣の森から魔物が多く出没するようになったローナ村を守るため、王都から魔物討伐隊が派遣された。
チヒロを連行したのは第2部隊で、第3部隊は溜まった魔瘴気を分散させるための木の伐採、という重労働も課されているらしい。
●ティルバ連合国
南西部を支配する3国の枢軸国家。
この連合国は200年ほど前までウェンデール王国と領地を巡って戦争をしていたが、今は外交的圧力によって停戦状態を維持している。
チヒロには、この国のスパイ容疑がかかっている。
★歴史コラム「ウェンデール王国とティルバ連合国」★
550年前、まだ小国だったウェンデール王国と当時最強の国家と言われたティルバ王国が50年もの長きに渡り、繰り広げられた領土を巡って戦争をしていた。
城塞都市マルトゥスはティルバ軍のウェンデール王国王都へ進軍を防ぐ主力の要となり、ウェンデールに大勝利をもたらした。
この勝利をきっかけに、ウェンデール王国は豊かで広い領土を有する国となり、マルヤージュ帝国に次ぐ「大国」になった。
大戦に敗北し国土の3分の2を失ったティルバ王国は近隣の小国、シュルツ、グノーと三国枢軸を結成した。
これが、現在のティルバ連合国である。
●ヴァルベイン帝国
北部全域を支配する巨大国家。
門外不出の高度な技術や魔術を有してはいるが、イオ・ヒュムニアの統一には関心が無いらしく、もっぱらゼオス・ゼロスへの到達を目標に掲げて、日夜進行を続けている。
雲より高くそびえ立つドーム状の城壁によって囲まれた完全防壁の国家で、ネズミ1匹入る事は不可能だと言われている。城壁には『防衛装置』が備え付けられており、侵入者には容赦なく攻撃する……と言われているが、技術の不正流出を防ぐため国が認めた特別な人材以外、入国を禁じられているため、詳しいことはわかっていない。
帝国が許可を出すのは限られた大業を成し遂げた人族のみであり、風の噂では、魔術に相当長けた人物か、ドラゴンと契約を結んだ人物のみ、と言われている。
なお、大国の国王は年に1度開かれる大陸会議という催し物で入国できるらしい。