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夢聞き屋   作者: 伊都 空色
8/10

8 本当の夢の見分け方  第2シーズン-2 夢聞き屋

ある時、ここに来た若者が私に聞いてきた。

「本物の夢と、偽物にせものの夢は、どうやったら分かるのかを

教えて欲しい」

そう言われて私は答えた。

「では、その答えに対して、お前さんは、私に何を提供し

てくれるのか、それを先に教えて欲しい」


その若者は、長い時間考えて、こう言った。

「ボクがあなたに与えることができる一番のものは、多分

お金ではないと思う。ボクはあなたに尊敬というものを持

っている、会ったばかりの人に、そんなものを持てるのか

と言われそうだが、あなたはボクに真剣に考えるというこ

とを教えようとしてくれていると強く感じられたから、ボク

はあなたに、ボクの尊敬を提供します」

若者は本当に真剣に考えたんだろう。


「もう答えは出たということだな」

私はそう答えた。


そんな話、何の役にも立たないと思うかい?


そう何の役にも立たないんだよ。

真剣になるってことを、やったことのない人間にとっては

何の役にも立たないし、考えているつもりで、その悩みの

中から出れなくなってしまった人間には、考えるというの

がどういうことなのかも分からなくなってしまっているの

に気ずくことさえできない。


真剣になることなど、人生の中でそうそうあるものじゃない。


そんなことはない、テストでは真剣になっていると

思うかもしれないな。

だが、それは真剣とは言わない。

ただ、自分が人から良く思われたい。悪く思われたくない。

そんな見栄みえのためだけで、人と比べているうちは

真剣なんて言えるもんじゃない。


自分の夢も、テストのように人から良く思われたいという

見栄みえから生まれたものは、かなうことはな

いし、かなわない方が幸せなんだ。

かなってしまうと、それは「もっともっと」という

地獄のようなあせりの中に入ってしまうことなんだ。


人から良く思われたいという気持ちよりも、自分のことを

大切にしたいという気持ちが大きくなれば、自然と本当の

夢も見えてくるし、本当の夢は何もしなくても、ほおって

おいてもかなうものなんだ。


こんな独り言を、ここで言っていても仕方ないかな。


だが、そんな独り言でも、誰かの役に立ってくれるかも

しれないからな。

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