3 ボスの『進化』 僕の『退化』
やはり間違いない。
ボスは今、大人へ変化している。
僕は、自分でも不思議としか言えない程、その気もないの
に、この『夢聞き屋』に吸い込まれるように引きつけられ
て、ここで仕事のような修行のような、何だかこれもまた
よくわからないことをやっていくことだけは間違いなかっ
た。
それにしても、ただのガキの女の子と思っていたのが、実
はここの店主で、それだけでもビックリなのが、さらに今
日、店主であるボスの姿の変化に驚いた。
昨日は幼稚園児から小学2年生位の変化だったが、今日は
さらに小学5年生位になっている。体付きが明らかに変わ
っている。
そのことを、ボスは最初からは僕に教えてはくれないのか?
それとも、僕が聞いてきたら説明をするつもりなのか?
多分、聞いてくるまでは説明なしの方だろう。
「何をジロジロと見てるんだ。ロリコン野郎じゃなくて、
ツカサくん」
ボスにそう言われても、やはり見てしまう。
「そんなに見るなら、もっとエロい格好を
してやらないといけないな」
エロいって格好って、ニーハイ・ニーソか何か位しか思
いつかないけど、ボスは知っているのか?
まあ、この件はいったん置いておこう。
明日、また驚くまでの楽しみにしておこうと決めた。
「ボス。床掃除をやっていいですか」
僕は掃除でもして、気をまぎらわすしかないと思って
そう言った。
「そうだな。やってもらおうかな」
ボスは、何か伝票のようなものを整理し始めた。
ああ、やっと自分のペースが取りもどせそうだ。
「そう言えば、つかさ。まだ説明をしてなかったが、今
からでも遅くはないから説明をしてやろう」
何が遅くないのかを説明して欲しいよ。
「ここでは体の変化が起こるだ。お前さんも気づいて
いるだろうが、私も、まるで月の満ち欠けのように
子供から大人になっては、また子供の姿になるという
繰り返しを、ここではしているんだ」
やっぱり、そうだったか。
でも、遅くないと言うのはどういうことなのか?
「そして、ここで起こる体の変化は、お前さんにも
もう起こり始めるってことなんだ」
何を言ってるんだ、ボス。
「僕は子供の姿にもどっていくわけ?」
コナン君のようになってしまうのか?
「大丈夫。それはここに居る時だけだから。それに、
ここから離れて2時間経てば、正常の自分にもどって
いるから、心配することはない。ただ、家に変える
までの2時間は、どこかで時間でもつぶさないと、
家の人もビックリして、どの子が来たのかって思
われるだろうからな。
心配するなよ。ちゃんと2時間は時間外で仕事も
させるし、残業代もちゃんとつけてやるから」
そんな心配じゃなくて、子供にもどってしまう
のを考えただけで、おそろしいことだ。コナン
君の苦しみを僕も味わうことになるのか。
子供にもどって何か、いいことがあるのか?
多分、いいことも絶対にあるはずだ。
僕は、そう思い込むことにした。