出陣
ラード・・・この物語の主人公、ディスバード唯一の『神装』が使える人物。
トム=ヴァードウェイ・・・ラードの副官。
カトレア・・・ラードの副官
ユミ・・・ディスバードの女長。
ヘレンへの出陣当日のベルセルク城の広場にて。
「今からヘレンへ向け、出陣する!!」
ラードは勢いよく宣言する。
他の軍とは主城のアラサーク城で合流する。
「今から戦に行くが、絶対に生きて帰れる保証は無い。だから、行きたくないものは行かなくてもいい。」
あたりを見回すが、逃げ出すものはいないらしい。
「だが、覚悟をもっているものは」
ここで一旦溜めて、
「この俺について来い!!!!」
「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」
こうしてベルセルク城から、ヘレンへ向けラードの軍が出陣した。
ヘレンへの出陣当日のアラサーク城の一室にて。
暗い部屋の中で二人の男が話し込んでいた。
「おい、ヘレンの長からの手紙が届いたぞ。」
「な、なんて書いてある?」
手紙にはこう書かれていた。
ディスバードの第二、三将軍殿へ。
予定通りによろしく頼む。
成功したら、ディスバードの半分をくれてやろう。
では、幸運を祈る。
ヘレン首長 マーク=ヘレン
ヘレンへの出陣一日前のユミ=ディスバードの部屋にて。
「まもなく出陣ですね、ユミ様。」
「ああ、そうだな。」
「いつものようにパパッと勝っちゃってください。」
「いや、今回は正直辛いだろう。いつものように、反乱軍を潰すようにはいかないんだからな。」
ディスバードは六つつの地方に分かれており、一つ目ががラードの城があるベルセルク。二つ目がヘンリーの城があるナーガス。
三つ目がガテンの城があるノーヴァ。四、五、六つ目が連合を組み、ユミ率いる政府軍に反乱を起こし、鎮圧され支配者が不在の地域だ。
「そうだ、言えるうちに言っとくが、今までありがとうな、執事長コウ。」
「何を縁起の悪いこと仰られますか。まだ、生きて帰ってこられなければ困りますぞ。」
(今回は嫌な予感がする。こんな感じは初めてだ。もしや、ラードの言っていたことは・・・、いや、そんなことは無い筈だ。)
ユミの胸中は早くに雲行きが怪しくなった。
ヘレンへの出陣当日、ラードの城、ベルセルク城から主城アラサーク城への道のりの馬上にて。
「今回も逃げ出すものはいなかったな。」
俺は馬を並べているトム=ヴァードウェイに話しかける。トムの部隊は部下に率いさせているらしい。
「何を言ってるんですか。この兵士達は、貴方に仕えるためにここに来て、命をかけて戦っているんですよ。」
「そうですよ、ラード様。それに貴方はこの国唯一の『神装』の戦士ですよ。逃げる訳無いじゃないですか。」
『神装』、それは神を身に纏い、神の力を振るうことである。
『神装』は誰にでも出来るものではなく、まだこの世界で9人しか見つかっていない。
使える者の条件は分かっておらず、使える者は、魔力の質が他人とは違うと言われている。つまり、生まれつきである。
ユミは、『聖剣ディスバード』との対話によって、ラードの素質をいち早く見抜き、第一将軍に呼んだのだった。
『神装』を使うには魔法と同じく、魔力が必要になる。『神装』を長時間続けていると、魔力が枯渇し、死んでしまうので注意が必要になる。
『神装』を使うと、呼び出す神によって異なる装備、『神鎧』武器、『神器』を身にまとい戦う。
ラードは天界にある星、水星の神『ヘルメス』を呼び出せ、身に纏う。 『ヘルメス』は守護神であり、軍隊への攻撃を一手に引き受けることも可能だろう。
神が何を司るかによって、使える力が変わってくる。
「今回の戦も長引きそうだな。」
「今回も将軍がパパッと終わらせるんでしょ?」
「いやいや、そんな訳にはいかない。ヘレンにも『神装』を使うヤツが居るかもだからな。」
もし、ヘレンに『神装』を使う者がいるとすると、『神装』使って、敵を薙ぎ払うと、相手も『神装』の力を使って、反撃してくるかもしれない。もしそうなったら自軍、敵軍共に死体がザックザク増えることになる。出来るだけ損害を少なく、更に確実に勝つ為の策を考えるのが将軍の仕事だ。
「将軍、お味方の軍勢が、見えてきました。」
「分かった。これから味方の軍勢と合流し、船へ乗り込みヘレンへ上陸する!」
兵士達の力強い声がこだまして、大空に響き渡る。
ディスバードとヘレンの戦火はすぐそこまで迫ってきていた。
投稿遅れてすいませんっ!
テストやら体調不良やら色々ありまして…
これからペース上げて書きたいと思います。(てか、読んでくれる人居るのかな?)
読んでくれる人はありがとうございます、そしてこれかもよろしくです。