ディスバードの長
ラード・・・この物語の主人公、ディスバードの第一将 軍
ユミ・・・第五大陸「ディスバード」の女長
ヘンリー・・・ディスバードの第二将軍
ガテン・・・ディスバードの第三将軍
創世歴3021年、残暑が厳しい夏の終わり。アラサーク城の会議室にて。
俺、ラードは第五大陸「ディスバード」の長、ユミ様に仕えている。
今は「ディスバード」の主城、「アラサーク城」で緊急の打ち合わせ中だ。
「ですから、今の機会に隣のヘレンを攻めるべきです。」
隣の第六大陸「ヘレン」の長が病死したと言う報告が入った。
今進言したのは普段はビクビクしているくせに、自分が有利になると調子に乗って下らないミスを連発するいけ好かない中年男の将軍ヘンリー。
「ヘレンは、長が死んで、浮き足立っています。今しかチャンスはない!!」
「其方の案にも一理ある。しかし、ヘレンには未来を見ることが出来る巫女がいるんだ、高確率で返り討ちにあうぞ。」
と、会議室の中で一番豪勢な椅子に座っているおばさんがユミ様だ。
俺はこの方が好きではない。
俺がこの方に仕えているのは、単にこの国が好きっていうのと、ある少女との約束のためだ。
「しかしですな、ユミ様。この混乱に乗じで攻めいれば、犠牲者も多少は増えるでしょうが、ヘレンは落とせる筈です。」
こいつは、自分の出世のためなら何でもする、汚い将軍、ガテンだ。
打ち合わせはだいたいこの4人で行われる。
「ふむ。
おい、ラード。其方はどう思う?」
「そうですね、俺は攻めいるのには反対ですかね。」
「なんだと?」
「若僧が、なんにもわかっておらぬ。」
「だまりなさい。ラードの意見は、まだ聞いてない。」
「そうっすねー、なんか、嫌な予感がするんですよねー」
「そんなものは、意見ではないわ!」
と、ガテンが叫ぶ
「それじゃ理由になってないな。」
と、ユミも信じてくれないらしい。
しかし、自分ではなんだが、感は鋭いほうだと思う。
自分の感のおかげで命を救われたことは何度かあったし、昔の悲劇も起こる前に、胸騒ぎがしたり、鳥肌がたったり、背筋に冷たいものが走ったりした事があった。
しかし、ユミはこんな理由で計画を止めるような柔い性格などしてはいない。臣下の話も聞いたりはするが、 自分の意見を通す頑固者だ。
「ではそろそろ、ご決断を。」
ヘンリーが急かした。
「うむ。では、我々ディスバードはヘレンに攻めいる!!」
この時確実に七つの大陸の歴史が動いた瞬間だった。
張り切って1日2話目。
読みやすいように、1話分は少なめで書きます。
これからもよろしくお願いいたします。




