00話 プロローグ
西暦3XXX年、ある天才脳科学者マキシミリアム・ジーンパレルが開発した、脳内電波管理生体コンピューター【マキシム】はそれまでの常識を鼻で笑う様な性能を見出した。
脳内電波管理型生体コンピューター……固有名称【マキシム】。
人体の感覚を脳に伝達する電気信号を、端末から網膜、鼓膜、指紋、静脈、動脈、体毛といった端末に神経が触れている部分から人体に伝え、その信号を電脳世界にフィードバックさせる事を可能にするコンピューター。
そのマキシムを搭載した携帯端末を使い、各人の人体の脳波を受信させることで電脳世界へとダイブし、新たな自分……通称【アバター】へと人格を移植することで現実の人体に掛かる負担を最小限にし、様々な人体の可能性を見出される様になってから数世紀。
人々の欲は留まる事を知らず、マキシムに加え、更なる脳波学の大幅な発達により、簡易的な人為的発火現象や発電現象を専用器さえ使えばその道の専門家なら容易く行使できるようになった事により、極少数ではあるが、世界各国で超能力者や、魔法使いと呼ばれる『超脳力』者たちが台頭し始める。
現在では更に研究は進み、専用機BSD(B:ブレイン、S:サポート、D:デバイス)が導入された事で、各家庭や学校などのローカルエリアを経由し、自分用にカスタマイズしたアバターの性能を現実世界にフィードバックすること出来るように成った。これにより、各人がプログラミングした独自マシン(BSD)を使えば、短時間ではあるが現実空間で戦争に使えるような超能力や魔法を使える者も出てきていた。
しかし、それも前述した通り、プログラミングに長けた少数の優秀な超脳力者だけという現状ではあるが、だが確実に若い世代でも優秀な脳力者『ブレイナー』が育っていった。
そうしたブレイナーを目指す若者が次々と世界中で育っていき、世は正に現実とネット空間を端末一つで渡り歩ける世界となっていく。
しかし、それは同時にネット犯罪も同じように増加していくということ。
世界平和を謳う世界脳力者評議会の各国代表が、お抱えのブレイナーチームを表に出して専用端末使用型の超脳力武闘大会……ブレイナーのプロトーナメントとして開催し、その翌年の発言権を争う等の賭け事も成立する一方、犯罪者集団もまた次々に新たな技術を開発し、悪巧みを開始する。
鼬ごっこは何時の世も変わることはない。
そして、そんな時代の日本の脳力者養成学園に、4人の実力を隠したブレイナーが入学した時、時代は新たな流れに向かって歩みだす。
今正に、超脳力王者の誕生の産声が聞こえる……。