桜餅屋さん
私のお家は 和菓子屋さん
春になると 桜餅がたくさん売れる
私のお家の周りには たくさん 桜の木があって
ちょっと歩いて行くと お花見スポットもあるので よくお客様が訪れる
この時期は 家中がバタバタして とても忙しくなるので
私も 手が空いているときには 手伝いで 桜餅を作ることもある
今日も たくさんのお客様がやって来た
家族で来て 一人一個 人数分買っていく人や
皆でお花見でもするのか たくさん買って行ってくれる人
たくさんのお客様が訪れる中 一人 印象に残ったお客様が居た
一人というか カップルっぽい男女で来てくれたんだけど
桜餅を一つだけ買って わいわい おしゃべりをしながら
お花見スポットの方へと 歩いて行ったのだ
彼氏の方か それか彼女の方が 一人で食べるのかな
そんなことを思いながら どんどんお客様が入ってこられたので
必死になって 作業に戻った
ようやくひと段落ついて 私は 一休みしておいでと言われ
外へ お散歩に出掛けた
たくさんの人たちが お花見スポットの方へと 歩いて行くのを見たので
私もちょっと お花見スポットの方へと 歩いてみる
しばらく お花見を楽しんでいる人たちや
満開の桜を見ながら 歩いていると
さっき印象に残った 一組のカップルの姿が見えた
どうやら 二人でお花見デートをしていたようで
小さなレジャーシートの上に二人で座り 空になったお弁当箱が 傍に置かれている
今から 桜餅を食べようとしていたみたいで
私の家の袋を 彼氏の方が持っていた
「ねえ 桜餅って 美味しいの?
私 食べたことないんだけど」
桜餅を食べたことがない人って いるんだと 思わずびっくりしてしまった
「美味しいよ じゃあ 半分こする?」
桜餅を 半分こ⁉
流石に無理があるでしょ と 私はカップルの方を見てしまう
「ねえ! これ絶対 半分こしちゃダメなやつだって
ほら もうぐちゃぐちゃじゃん」
「仕方ないだろ ほら 一回食べてみなって」
確かに美味しいけど― なんて言いながら 二人は笑いながら桜餅を食べていた
あまりにも予想外の結果過ぎて あっけにとられてしまった
だけど 意外と そういう楽しみ方もありなのかな
なんて思いながら 私はもう一度 桜の木の下を歩き始めた




