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満月の一瞬

 結論から言おう。

 できなかった。

 別にアンの説明が通じないわけじゃない。

 けど、筋力そのものが違うから彼等のやり方は真似ができない。


 「引っ張って体を揺らさないで、離したら飛ぶよ?」って言ってたけれども、そこまで引っ張るのが両手を使わないとできないレベル。

 この時点で少なくとも2倍以上筋力に差がある。

 真似をするのは一般人の俺には不可能だ。


 しかし、ここで諦めたら一生奴隷だ。

 次のやり方を考える。


 俺はやってみたいことがあると、アンに説明し、弓と、木などを使う許可を得た。

 そう。次に試すのはクロスボウだ。

 だが、同じ弓をベースに作るからには同じ問題にたどり着いた。

 そんな強い弦を引いたままにすることが難しい。

 そして、チャージに時間がかかるから、一発で仕留めなければならない。

 さらに、恐らく反動がヤバいことになるので、命中精度が恐ろしく低くなる。

 そして結局、この案は没になった。


 こうなったら最も原始的な作戦をとる。

 時間があることを利用し、俺はアンにいろんな動物が使ってる獣道に連れて行ってもらった。

 アン曰く、ここは秘密のところらしい。

 そして、ここをひたすら掘って、落とし穴を作ることにした。

 これしか方法がない。


 そこからは無心だった。

 日が出てる時は掘り続け、日が沈んだら月明かりの下で、木を削って、槍を作った。


 そうして迎えた満月の日の朝。

 ついに落とし穴が完成し、下には槍を敷き詰めた。

 死ななくても、ここから刺せば流石に届かない。


 だが、獣が通らなかったらどうするのか。

 それを解決するために、魚や樹の実を落とし穴の上に並べた。


 その日の夜。

 そこの周りで待機していた俺はそこに角がない鹿みたいなやつが近づいてきているのを見つけた。

 緊張しながら見守る。

 そして、そいつは樹の実に惹かれて、落とし穴に落ちた!


 「ヨシッ!」


 そして、近づいて見てみた。

 すごい!多分ほとんど傷ついてない!

 槍はほとんど折られていて、効果はないが、あの熊が落ちても良いように作ったから、上がってはこれない!

 そして、俺はひたすらにこいつの目玉を狙って刺した。

 少し、感触が気持ち悪くなって吐いたが、最終的に、勝利し、頑張って引き揚げ、血抜きを始めた。


 「フー…やっと一息つける…」


 そうやって待ってる間、木に寄りかかっていたら、少し離れたところで影が見えた。

 ここは秘密の場所だと言っていたからな、アンだろう。


 近づいて、声をかけようとしたが、すぐに体を隠した。

 近づいてわかったが、そこに居るのはアンだけじゃない、俺が見たのよりもデカい熊も居た。


 クマは矢が刺さっているし、恐らく瀕死だろう。

 しかし、見た感じ、アンは足を怪我してるし、もう矢を持ってない。

 これは相当ピンチだ。


 ここは秘密の場所。

 助けは期待できない。

 しかし、その時、俺は弓と、矢を持っていることを思い出した。


 アンが念の為にと、持たせてくれたのだ。

 彼女は色々と便宜を図ってくれたし、この村の中では一番信用できる。

 彼女がいないと、困る!

 ここは今までの恩を返す時、熊の気を逸し、矢を渡す。


 熊と、彼女の距離はもう数メートルしかない。

 そして俺と、彼女の距離も数メートル。

 あ~時間がない。

 考えろ…考えろ………あっ!


 思いついたと同時に体が動いた。

 熊のすぐ後ろに石を投げつけ、木に当て、少しだが、音を出した。

 熊が反応した一瞬。

 この一瞬で、アンのところまで走り、矢を渡す。

 アンが、驚いて居るが、クマにも気付かれた。

 クマが走ってくる。

 アンが、弓を構える時間が足りない。

 その時、俺は思わず魔道具を剣にして、熊の懐に突っ込んだ。

 しかし、その剣は熊には届かず、逆に、肩に爪がかすった。


 「ぁ゙ぁ゙!」


 肩に激痛が走り、熱くなる。

 かすっただけでこの威力。真正面から受けたら片腕になってた。

 しかし、この身を投げ出した数秒がこの盤面をひっくり返した。


 「ありがとう。アラン。」


 倒れた俺の後ろから熊の眉間に至近距離で、強烈な一撃が入れられた。

 そして、クマは倒れた。

 しかし、俺も限界だったので、クマが倒れた衝撃で、クマの腕らへんに倒れ込んだ。

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