奴隷にされました
「うぉ!」
「ここで大人しく待ってろ!」
俺は丸裸にされ、取られたパンツの代わりにふんどしみたいなものを渡されて、牢屋に突っ込まれた。
何故かポーチだけは気にもとめられなかった。何故だろう?
…と言うか、クッサ!
この牢屋酷いな…腐った苔の匂い…
こんなところいたらまいっちまうぜ。
…でもこの牢もなかなか凄いな。
丸太を組み合わせて、間を苔とかで塞いで作ってるのか。
湿気はひどそうだけど、工夫すれば大丈夫そうだな。
家を建てるときの参考にさせてもらおう。
こんな事を考えては居たが、実際暇すぎてクッサイ牢屋ではあったが、眠った。
湿気が凄かったからそんなに喉も渇かなかったし、匂いと、皮膚にダイレクトに伝わる感覚だけ我慢すれば寝られなくもなかった。
「おい!起きろ!」
「いってぇ!」
また別の奴が起こしに来た。…今度は男か。
尻を蹴っ飛ばされたからクソ痛いけど。
「長がお呼びだ。」
縄で縛られたまま俺は脇に抱え込まれ、運ばれた。
…俺、体重50ちょっとで、そんなに重くはないけど、そんな軽々と持ち上げられます?
ゴリラすぎない?
そのまま一際立派な建物に案内された。
「長、罪人を連れてまいりました。」
「ご苦労。」
そこに居たのは熊の毛皮を肩に掛けた如何にも強そうな女だった。
他にも周りを囲む奴らが六人ほどいた。
「…で、何故連れてこられたか分かるか?」
「分かるわけねぇだろ。」
「お前が私達の領土に侵入したからだ。」
「だから、俺はあそこに住んでるって言ってんだろ!」
「じゃあお前は何を食べて生きてきた。」
「その辺に生えてた果実」
まぁ、キノコとかもあったけど、毒とか怖いし、食べてない。
果物もほぼ食べてない。だって怖いもん。
「肉は?」
「めんどいから魚で代用。」
恐らくこのゴリラ共に肉が取れないなんて言ったら舐められるからあくまでも『面倒くさいから取らない』スタイルを貫く。
「…この返答速度…嘘ではなさそうだな…」
その時、一人の爺が口を開いた。
「長!こんな事をしていても時間の無駄です!」
「お前の意見は聞かれてないだろう。黙ってろ。」
他の女に威圧され、爺は黙り込んだ。
「…お前、何ができる。」
「だいたい何でも。」
「…此奴は奴隷にしよう。」
「…は?」
「長、じゃあこの奴隷は私が。」
「じゃあ、アンが面倒を見ろ。これにて会議は終了だ。」
さっき爺を威圧していた女。俺と同じくらいか。
この発言力を見た感じ、かなり強いんだろうな〜。
「お前、名は何という。」
「アラン。」
「そうか、アラン。
お前は今日から私の奴隷だ。良いな。」
「は?…ぐゔぇ!」
生意気な口を聞いたら頬をぶっ叩かれた。
「私のことはご主人様と呼べ。」
「…ご主人様…」
「よろしい。」
この糞餓鬼…俺、自由になったら此奴のことぶっ殺そうかな…?
その後、俺は体を洗えと、川の中に放り込まれ、服は下だけ返してもらえた。
勿論、下着はふんどしです。
そして、行動を制限していた紐が解かれ、代わりに首に繋がれた。
…これじゃあマジモンのペットじゃねえか!
俺はブチギレそうになりながらも勝てないことがわかってるので、必死に感情を抑えた。
…そういえば、何気に気にしてなかったが、この前の1週間薪割り生活のせいで、かなり筋肉も体力もついたな。
これなら多分、体育の授業無双できるぞ。
「お前にはこれから薪割りをしてもらう。」
「またかよ…」
「なんか言ったか?」
「いえ。何も。」
「斧はこれを使え。」
うわ!ボロっちい!
「いえ。自分のがあるので。」
俺はポーチから素晴らしい斧を出す。
「…どこに隠し持ってた?お前、裸だったよな?」
「まぁ、そんなのいいでしょ。」
…睨まれた。
「まぁ良い。これら全ての薪割をやっておけよ。」
結構な量があるが、少し時間が空いたおかげで、飽きることはないだろう。
良し。これくらいなら日が沈むまでには終わるだろう。
こうして、また薪割りをする生活が始まった。
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