家を確保せよ!
空は暗い、木々は風で揺れていて不気味だ。
まぁ、神に捕まった時間が8時くらいだったから時間も同じくらいなのだろう。
「とりあえず、何しようか…」
現在は、月(?)明かりのおかげで、周りが見えているが、早急に明かりが欲しいな。
これは松明を作れば何とかなるだろう。
そのために必要なのは…木、紐、油、火、とかだな。これらは明日探索するついでに探しに行こう。
他に欲しいものは…まずは、寝床だな。
後は、食料、獣がいたら対処したいから武器…う〜んやることが多すぎるな。
「とりあえずは寝床にできそうな所を探そう。」
何があるか分からないし、なるべく暗い時は森の中に入りたくない。
何処かに穴みたいなところないかな…
近場にはなかったので勇気を出して暗い森に踏み入ることにした。
幸いまだ他の生物を見ていない。
これなら心配いらな…
「ゔッ!」
血の匂いがした。獣臭い匂いだ。
もしかして、何かが起こったのか?
この場合、確認はしておいたほうが良い。
何処で何が起きたのか把握しておかないと何も出来ない。
俺は匂いを辿ってゆっくりと音を立てないように進んだ。
「…死体だけか?」
見たところそこにあったのは熊の死体だけだった。
近くに敵もいないな。
良かった。
「あっ!クマが近くにいるなら寝床があってもおかしくないよね!」
俺は足跡を辿って進んだ。
「やった!やっぱりあった!」
大きい木の根元に空いた穴。
うん。とうぶんの住処にぴったりだ。
…でも…なんか奥の方、光ってない?
俺は木の穴に急いだ。
そこは熊がギリギリ入れるかな?くらいの広さだった。
獣の匂いもしないし、ここは熊のすみかではなかったのかもしれない。
まぁ、とりあえずの家が見つかったので、良しとしよう。
「さて…いかにも異世界に似合わないこの光を発した宝箱はなんだろうね。」
ほぼ確実に神が絡んでいるだろう。
ワンチャン、ミミックの可能性もなくはないが…無いと思いたい。
「とりあえず、オープン!」
底に入っていたのはポーチみたいなものだった。
「…これだけ?」
それと一枚の手紙が入っていた。
『アランへ
いや〜転生特典をあげるのを忘れていたよ。
皆は普通、剣だの杖だのを欲しがるからさ、用意してなくって。
とりあえず、君には何でも入るポーチと、その中に入れておいた、『不壊・変形の魔道具』を使ってくれ。
ちなみに今は斧の形をしているが、変えたい道具を思い浮かべれば形も変わるから好きなように使ってくれ。
神より』
「斧って…これか。」
ポーチに入るとは思えないような大きさだが、確かに入っていた。
試しにツルハシを思い浮かべる。
「あっ!なった!」
しかも意外と軽い。これは使えるぞ!
しかし、今日はもう遅いので、色々するのはまた明日。
そうして俺は眠りについた。
〜次の日〜
今日は探索をして、水を確保する。昨日から飲んでないから喉がからからなんだ。
これは早急に探さなくてはならない。
今日は反対側を目指してみるか。
幸い、少し行ったところに水があった。
俺は煮沸すらせずにそれをグビグビ飲んだ。
「プハーッ!生き返るー!」
水質の話だが、水を飲んでる時にヤマメみたいな奴と目が合ったので多分大丈夫だろう。
魚がいるんだとすれば、食料も大丈夫そうだな…飽きるまでは…。
徒歩十分圏内に川があるのは良いことなんだが、川の氾濫だけが少し怖いな。
まぁ、それはおいおいどうにかしよう。
次は木をたくさん集めよう。
斧を取り出し、家(仮)の近くの木々を伐採し始める。
おお〜!思ったよりも力もいらないな。
これが魔道具だからか?
その時、切り終わった木が倒れる音がした。
メキメキ!バキバキ!
あ〜これこれ!伐採の音〜!気持ち〜!
俺がこの音に魅了されていたこの時、突然叫び声が聴こえた。
「キャー!」
木が倒れた方向だ!誰が巻き込まれたのか?!
俺は焦って確認に向かった。
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