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弓の軌跡  作者: マイト
6/16

一緒に練習しない?

「今日の練習はここまで!」


 先輩の声が響き、俺たちは一斉に礼をする。


 「ありがとうございました!」


 練習を終えて道場を出ると、心地よい疲労が体に広がっていく。


 「ふぅ……今日はずっと弓を引く練習だったね」


 隣で綾音が腕を伸ばしながら呟く。俺も肩を回しながら頷いた。


 「でも、弓を持つのにも慣れてきた気がする」


 「うん! 最初は全然引けなかったけど、少しずつコツが掴めてきた感じがするよね」


 そう言って、綾音は楽しそうに笑う。


 道場の戸締まりを先輩に任せ、俺たちは並んで帰路についた。


 「ねえ、一緒に練習しない?」


 綾音がふとそう言った。


 「え?」


 「家で、一緒に弓道の練習しようよ」


 突然の誘いに俺は少し驚いた。


 「でも、家に弓とかあるの?」


 「さすがに弓はないけど、基本の姿勢とか動作の練習ならできるでしょ? それに、射法八節の動きとかも、まだまだ体に馴染んでないし……一緒にやれば、お互いに確認できるかなって」


 なるほど、それは確かに良いかもしれない。


 「そうだな……じゃあ、やってみようか」


 俺がそう答えると、綾音は嬉しそうに微笑んだ。


 「やった! じゃあ、帰ったらちょっと休憩してから始めよっか」


 俺たちは並んで歩きながら、家に向かう。


 「でも、どうして急に一緒に練習しようって思ったんだ?」


 ふと気になって尋ねると、綾音は少し考え込むような仕草を見せた後、ゆっくりと口を開いた。


 「うーん……なんだろう。やっぱり、せっかく弓道部に入ったからには、ちゃんと上手くなりたいし……それに、一人でやるより誰かと一緒の方が、楽しいかなって」


 「なるほどな」


 確かに、家で一人で練習するよりも、お互いに確認しながらやった方が効率が良いし、何より続けやすい。


 「それにね……」


 綾音が少しだけ声を落とす。


 「私、昔から運動とか苦手で……だから、こういうのも最初は不安だったんだ。でも、あんたと一緒にやってると、不思議と頑張れる気がする」


 そう言って、綾音は少し恥ずかしそうに笑った。


 「だから、もし迷惑じゃなかったら、一緒に練習してくれると嬉しいな」


 「迷惑なんてことはないさ。むしろ、一緒にやった方が俺も助かるし」


 そう答えると、綾音はパッと明るい表情になった。


 「じゃあ決まり! 帰ったらちょっと休憩してから、さっそく練習しよ!」


 こうして、俺たちは弓道の練習を家でも続けることになった。


 ——まだまだ始まったばかりの弓道生活。でも、この小さな積み重ねが、きっと俺たちを成長させてくれるはずだ。

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