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第四話 秘密と準備

「祭、、 祭や、、、 起きんかい」



おばあちゃんの声が聞こえる、、、


「祭、、 祭や、、、 もう儀式は始まっておるぞ?」



「ん、、、んぅ?」



目を開けて周りを見ると、私を囲う様に4本の蝋燭と塩が乗ったお椀が菱形に置かれていた。 それに私は裸で寝かされていた。



あれ? わたし、、、 紗理奈の上で寝てたんじゃ?



「こら祭。 動いちゃダメじゃないか。 印がズレたらどうするんじゃ?」



「あっ、、 ごめんおばあちゃん」



「分かったらいいんだよ」



寝ていたわたしを運んで印を結んでくれてたみたいだ、、、 ありがと、、 おばあちゃん。 あれ? でも紗理奈は?



「おばあちゃん。 紗理奈はどうしたの?」



「んん? 紗理奈ちゃんかい? 紗理奈ちゃんはソファでぐっすり眠ってるよ。

 まぁ、 でもそろそろ起きるんじゃないのかね?」



「いや〜、、、 紗理奈は寝坊助からまだまだ起きないよ〜」



その時襖が勢いよく開いた。


「誰が寝坊助ですって〜!? って、、、 なんで裸なの!! 祭!!」



「紗理奈!? って、、開けちゃ駄目って言ってたのに、 なんで開けてるの!?」



「だって気づいたら祭達居なかったんだもん!」



「だとしても、、ここの部屋は開けちゃ駄目って言ってたじゃん! 

 これ見られたくなかったのに、、」



「ん? 祭や。 まだあの事を言ってないのかい?」



「言えるわけないよあんな事、、、 幻滅されちゃうよ、、」



「でも、 何も説明せずに怒るのは良くないよ祭や」



「で、、、 でも、、」



「祭が説明しないのなら、私が説明するよ。 いいかい? 祭や」



「、、、、 まぁ、、 前から言うか言わないか悩んでたから

 今おばあちゃんが説明してくれるならありがたいかな。

 今、 私動けないし任せるよ。 おばあちゃん」



「じゃあ説明するね? ほら、紗理奈ちゃんや中に入っておいで?」



「は、、、 はい」



紗理奈は少しはだけた服を直して部屋の中に入ってきた。

紗理奈はおばあちゃんの隣に座った。



「じゃあ説明するね」


「は、、はい!! お願いします!!」



「今、私が祭に何をしてるか分かるかい? 紗理奈ちゃんや」



「、、、、何がなんだか、、」



「これはね? 祭をこの現世に留める印を結んでおるんじゃ。

 その印を効きやすくする為に裸にしておる」



「、、、 なんで現世に留める印を祭にやるんですか? 

 祭は生きてるじゃないですか、、」



「いや、祭はもうこの世の人ではない。 黄泉の世の住人じゃ」



「黄泉の世の、、、 住人? 黄泉の世ってあの?」



「あぁ、そうじゃ。 その黄泉の世じゃ。 祭は過去にそこに行き

 黄泉の住人になってしまったんじゃ」



「、、、祭はもう、、  死んで、、」



「うん、そうだよ。 私はもう死んでる。 幻滅しちゃったよね、、」



「でも、、、 そしたらなんで、、 今目の前に祭が居るの?」



「それは私もよく分かってないんだけど、なんでかこの体に魂が戻ってきたんだよね」



「だったら、、 黄泉の住人なんかじゃ、、」



「一回でも黄泉の世に入っちゃうとね? もう、黄泉の世の住人になっちゃうんだ、、 だからね私は人間じゃない。 どちらかと言えば私は、妖怪とか幽霊の部類なの」



「そ、、、 そんな、、、」



紗理奈は目から涙を流していた。


泣かせたくなかったよ、、、



「一ヶ月に一回、この印を結んでないと私は黄泉の世に連れ戻されちゃうの。

 だから、今日おばあちゃんを呼んでこの印を結んでもらってるの」



「紗理奈ちゃんや。  今まで、この事を私達が隠しててすまなかったね。 

 でも、心配せんくて大丈夫じゃ。 おばあちゃんが居る限り、祭はこの現世に居る事 が出来る。 だから、大丈夫じゃ」



「で、、、、 でもそれ、、 おばあさまが居なくなっちゃったら、、 祭は、、」



「その時は私がおばあちゃんと黄泉の世に行くよ。 ね? おばあちゃん?」



「祭や、 今その冗談はよくないよ。 大丈夫、大丈夫じゃ紗理奈ちゃんや。

 私が死ぬ前にこの印の事を遺書に書くから大丈夫じゃ」



「で、、、、 でも、、、 私は印なんか結べないですよ? どうしたら、、」



「その時は、私達の親族に頼めばやってくれるから大丈夫だよ、紗理奈ちゃんや」



「え? それはないでしょおばあちゃん。 一魂(いっこん)家とか

 四魂(しこん)家は絶対やってくれないよ。 

 逆にあの人たち私の事祓ってくるって」



「それは、、そうじゃな、、、 紗理奈ちゃんや、、 

 もし誰も印を結べる者が居なければ、八魂(やこん)家の誰かに頼むんじゃ。 

 八魂(やこん)家の人たちは祭の事を愛しておるから絶対大丈夫じゃ」



「でも、、、 その人達の連絡先私、、 持ってないですよ?」



「後で私が教え、、、る必要はなかったや。

 ねぇ、 おばあちゃん。 確か明日三魂(みこん)家の家で集まりがあったよね?」



「うん、あるよ」



「その集まりってもちろん私も誘われてるよね?」



「うん、そうだねぇ」



「じゃあ明日、 紗理奈を連れて三魂(みこん)家行くよ。 久しぶりに」



「、、、祭や。 それは辞めといた方がいいとおばあちゃんは思うよ。

 前と違っておばあちゃんはついていけない。 あまりにも危険じゃないかね」



「大丈夫だよ、おばあちゃん。 紗理奈も居るし、 

 八魂(やこん)家の人たちも居るし祓われたりしないよ。 

 紗理奈も会っときたいよね? 八魂(やこん)家のみんなに」



「え? うん、、、 まぁ、、」



「、、、、 祭や、 本当に行くつもりなのかい?」



「うん、行くよ。 久しぶりに会いたいし、 元気な所見せてあげたいからね」



「、、、、 はぁ、、 分かったよ、祭や。

 でも一つおばあちゃんと約束してくれんか?」



「ん? いいよ」



「もし、危険と思う事があればすぐ八魂家の誰かに頼って逃げるんだよ? いいね?」



「うん、そうする」



「後、この札をもしもの時は貼るんだよ? いいね?」



「うん、そうする。 

 でも、それ私に渡すんじゃなくて紗理奈に渡しといて。 

 そっちの方がもしもの時に有効だから」



「そうだね、そうしておくよ。 じゃあ紗理奈ちゃんや、 これを渡しておくよ」



「は、、はい!!」



紗理奈はおばあちゃんから一枚の札を貰った。 その札には印が書いてあった。



「もし、明日。 祭が危険な状態になったらこれを貼ってくれるかい? 

 紗理奈ちゃんや」



「は、、、はい!! 任してください!!」



「頼んだよ。 紗理奈ちゃんや。 祭、、 祭はいい友達を持ったねぇ」



「えへへ〜 でしょ?」



「祭も最低限自分の身を守るんだよ? 分かったね?」



「うん、任して」



「じゃあ説明も済んだ事だから、おばあちゃんは印と印詩を結ぶのに集中するよ」



「、、、? もう終わった後じゃなかったんですか?」



「いや? まだまだかかるよ、 紗理奈ちゃんや」



「後、、、 どれくらいかかるんですか?」



「早く見積もっても9時間、、、 遅かったら12時間ぐらいだろうね」



「なっ、、、なが!!」



「なんでこんなに長いと思う? 紗理奈」



「、、、そんなの言われても、、 私分かんないよ?」



「まぁ、、 答えを言うとね? この印と印詩はおばあちゃんが産み出したものなの。 だから、他の印とか印詩とかと違って時間がかかるの。

 後10時間ぐらいはかかるだろうから明日の準備でもしといて」



「何持ってけばいいか分かんないよ? 私」



「とりあえず着替えとお土産持ってけば大丈夫だよ。 あ、、 あとそのお札も」



「着替え? そんなに遠い所なの?」



「まぁ、、、 ここからじゃ結構遠いかな。 京都。 京都だよ、紗理奈」



「京都〜!? え? 京都に行けるの? 私達!!」



「行けるは行けるけど、、、 遊びじゃないよ? 親戚の集まりだよ?」



「でも、 京都に祭と泊まれるんでしょ? それだけで嬉しいよ!!」



「まぁ、、、 そうだけど、、」



「じゃあ私早速準備してくるね!! 祭、、 頑張って!!」



「あっ、、 ちょ!!」



紗理奈は京都に行けるのが余程嬉しかったのか飛び跳ねながら部屋を出て行った。



「まだ、 言いたい事あったのに、、」



「ん? 言いたい事? なんだい? 祭や」



「アレだよ、アレ。 前おばあちゃんに言った、 子供の件の話」



「あぁ、その事かい。 まぁ、でもその件は明日の新幹線の車内で

 話せばいいんじゃないのかい?」



「、、、まぁ、、そうだね、、 そうしとくよ」



「でも祭や、 祭の過去の事は言わないつもりなのかい?」



「過去については、、、 まぁ、、、 いつか話すよ、、」



「そこら辺の話は早めに言っておくんだよ? 隠しておくのも可哀想だからね」



「紗理奈が成人した時に言うよ、、」



「、、、祭がそう決めたのなら、 おばあちゃんはもう何も言わないよ。

 でもごめんね、祭や。 守れなくて」



「謝らなくていいよ、おばあちゃん。 アレはおばあちゃんは悪くない。

 だから、 大丈夫だよ」



「、、、そう言うことにおばあちゃんはしておくよ」




おばあちゃんは印と印詩を結び始めた。




ふふふ、、、 明日は、、、 明日は京都だ!!

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