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巻一
明治 日本の建築は衰退
構造様式は 洋風
この男
大伽藍の山門から 舞い落ちる雪ともに
整然と静物のような和装で
外に出る
紅い和傘 頭の上に
ひと言「解明せしめん 死の理りを乱さんとする蒙昧輩の 死へと追いやる 構造破壊」
一歩 大宙言 「お立て直して見せましょう」
男には依頼など要らない
主死亡報
「洋風建築がいけねえ。うさんくせえ」
男は両手を真っ直ぐに突き出し 建物を垂直に正す
数瞬の後
屋敷から
男の
足もとに
惨めたらしい 小汚い ババアが
手をつく
「後生ですから」
男は言う
「聞くに堪えん」
ばばあ
「ご内密に」
男
「貴族か・・・なんだか知らねけど。頭がたけえんだよ」
ばばあ ひれ伏す
男
「ご主人 毒殺だな ばれたら どうしようもねえんだよ!!!」
ばばあ 項垂れる
男
「もうすぐ役人が来る せいぜい 金でも積だなあ」
ひるがえって
迅水
「構造が間違ってる」
迅水
「洋風など・・・とるに足りねえ」
巻一 完