表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
新世界4 ファイナルドラゴンテイルズ/アルティメットエディション
95/122

その13

SEKIROを今更ながら不死断ちエンドでクリアしたんですけど

ラスボスを倒したときの脳汁がドバーと出る感覚は他のゲームじゃ中々味わえませんね。

思わず「ここに不死断ちは成った……」ってひとりごとつぶやくぐらい熱中してました。

 翌日、街の人たちに酒場で耳にした魔法使いのことを聞いていく。


 何でもどこからともなく現れた魔法使いの2人組が様々な討伐依頼を受けて回っているらしい。


「え、ああ、あの2人組なら有名だよ。変わった魔法を使ってS級の魔物を狩ってまわるそうだよ」


「S級の魔物をたった二人でだと……!」


「その人たちは今どこにいるか知りませんか?」


「ちょうど1週間くらい前にチッカークの村に行くっていってたかな?」


「そうですか……ありがとうございました」


 俺たちは街行く人たちに聞き込みを続け、有力な情報をゲットした。


「どうやら想像以上の実力者のようですね」


 S級とかSランクとかつければなんか強そうに見えるから便利だな。


 その2人組を探しに俺たちはチッカークの村まで車を飛ばした。






 しばらく車を走らせ、チッカークの村を示す看板が見えてきた。


 遠くの方を眺めると、いかにもほのぼのとした村が見えてくる。


 山の方には牧場だろうか、家畜も放し飼いされているのがわかった。


「なんか静かですね」


『それもうやったからいいよ』


「何の話だ何の」


 それぞれ抱く印象はだいたい同じだった。


 例によって駐車場に車を停める。


 俺たちは村の人に魔法使いの情報を聞いていく。


 村にはお年寄りが多い感じで、過疎ってる感じが伝わってきた。


「ん? おお、その2人組ならちょうど魔物退治の依頼で滞在しているよ」


「ホントですか?」


「ああ。今はマフージの洞窟へ行ってるそうだよ」


「マフージの洞窟?」


「古くからある魔物の巣窟だよ。最近めっぽう強い魔物が住み着いたんで協会に討伐依頼を出して来てくれたのがあのべっぴんさん達さ」


 その辺のおばあさんから良い話を聞くことができた。


「どうするおっさん? 入れ違いになるかもしれないしここで待機するか?」


 クレトくんは常識的な意見を言ってくる。


 たしかに強い2人組なら心配はいらないだろう。


 一刻も早く会いたいが無理をすることはない。


『そうだね……二人とも色々あって疲れてるでしょ? その二人がかえってくるまでどこか遊びに行って来たら?』


 俺は大人として二人に気を使った。

これでも動けないぼっちゃんと俺に代わってだいぶ無理をさせているのだ。


 たまにはいいことしないとな。


「じゃあ、しばらくはゆっくりしましょうか」


「わかった。とりあえず自由行動にするか」


 そういって2人はそれぞれ行きたい場所に行くことにしていた。


 俺はクレトくんに持ってもらうことになったので彼についていく。


「近くに牧場でとれたミルクを使ったソフトクリーム屋さんがあるらしい」


『お、いいね甘いものか』


「ああ。ぼっちゃんといた時はそういうものは食べられなかったからな」


 とりとめのない会話をしながらその店へ向かう。


 アイスひとつで一喜一憂する姿はまだまだ子どもだなと思った。


 



 それからゆったりとした時間が過ぎていった。


 アイスクリームをじっくり味わったクレトくんはその辺の原っぱで昼寝を始めた。


 地べたで寝るとか信じられんな。


 いや、この男たぶんそのシチュエーションを楽しんでいるのだろう。


 こう、アニメや漫画のワンシーン的な……。


「おーい! おっさん! クレト! 大変だー!」


『ん?』


 そうしていると、遠くから俺たちを呼ぶ声が聞こえてきた。


 どうやらぼっくんのようだ。


「はぁ、はぁ、二人とも聞いてください」


「なんだ……?」


 クレトくんが起き上がり、眠そうに尋ねた。


「これ、読んでください」


 ぼっくんが差し出したのはどうやらこの辺のガイドブックだった。


 ページの隅っこに少しだけマフージの洞窟について書かれているようだ。


「なになに? マフージの洞窟は謎パワーによって魔力の結合を邪魔するので魔法を発動することができない……なんだって?」


『は?』


 あの2人はそれを知っていて洞窟に行ったのだろうか。

 

 何か嫌な予感がする……。


「地元の人でもあまり知っている人はいないそうです。おっさん、どうしましょうか?」


 やはり心配だ。

凄腕だそうだがもしものこともある。


『よし、そのマフージの洞窟へ行こう』


 2人は頷き、早速身支度を始める。


 ガイドブックによればマフージの洞窟はさほど距離は離れていない。

道中は車では通れそうにない道になっているようなので、走っていくことになった。


 





「くっ、まさか魔法が使えないなんて……!」


 マフージの洞窟の奥深く。

そこには美少女と美女の2人がいた。


「アミィィィィ」


 凶悪な悪魔のようなモンスターが雄たけびを上げている。

2人はじりじりと壁際に追い込まれていってしまう。


 手に持っている魔法アイテムなんかも今はただの棒にすぎないようだ。


「困った、これは勝てない」


 多分辛酸を舐める表情をしている。


 ここは急いで駆けつけねば。


「誰か助けに来て……!」


「早く来て……!」


『助けに来たぞ!!!』


「来た!?」


「もう来た!?」


「「これで勝つる!!!」」


 俺たちは通常では追いつけない速度で彼女たちをかばうように立った。


「話しは後だ! 行くぞぼっくん!」


「ああ!」


「アミィィ!!!」


 魔物に立ち向かう2人。


『クレトくん! 俺を使え!』


「! なるほどな……!」


 俺も戦闘をサポートするため時の力をクレトくんに分け与える。


 それによって速度とパワーが上昇し、通常の3倍くらいの力を得たクレトくんが斬撃を放つ。


「アミィ!?」


 それは魔物にクリティカルタイムブレーク!!!


 だいぶのけぞっている。

かなりのダメージが通ったようだ。


 だが、魔物も何かまばゆい光を放ち始めていた。


「気を付けてください! その魔物は光で敵をかく乱します!」


「何!」


 美女の方からアドバイスが入る。


 そして言った通りまぶしい光が俺たちを襲った。

はえーよ。


「くっ、あと一瞬でも遅く目を閉じていたらやばかった」


「助かりました」


『目がアアアアア!!!』


「お前剣だろ!!!」


 俺は何故かまともに光を受けてしまう。

世界中が真っ白で何も見えない。


 管制室! ちゃんと援護しろよ!


 とかなんとか俺が苦しんでいるうちに戦いは終わったようだ。


 無事、魔物を倒して一同は洞窟を脱出するのであった。






 マフージの洞窟を脱出した俺たちは外で自己紹介フェイズに突入していた。


「ありがとう、2人? いえ、3人ね。とにかく助かりました」


「感謝する」


『な、俺の存在に気付いて……!』


 美人な方は俺の存在を言い当てていた。


 やはりただ者ではない。


「あなたたちは一体? S級指定の魔物を魔法も使わず倒すなんて、まるで勇者みたいね」


「あっ……」


「あっ……」


 この前まで自分を勇者だと思い込んでいた一般人が気まずくなっていた。


 まだ心の傷はいえないようだ。


「? そういえば名乗ってませんでしたね。私はマホツ・カイと申します」


「私はサイ・キツカよろしく」


 人当たりのいいマホツさん。

しかしどこかで見たような顔だな。


『あれ? 王都の酒場の店員さん?』


「? なんのことですか?」


『あ、すいません人違いでした』


 ただのそっくりさんだったようだ。


 もう一人は落ち着いていて表情ひとつ崩さないキツカちゃん。


 どちらも強い魔法使いと言うにはすこし印象が違うと思った。


「俺はヒネ・クレトだ」


「僕はぼっくんです」


『おっさんです』


 俺たちは各々自己紹介する。


「喋る剣なんて初めて見た」


「おっさん……たしか魔王を倒した勇者がそんな名前だったような……」


 どうやら俺はすっかり有名人らしい。


「単刀直入に聞かせてもらう。預言書の管理者を知らないか?」


「予言書のことを知っているんですね」


 マホツさんは少し驚いたような顔をしている。


 またしてもビンゴだった。

こうも上手いこと行くと何かあるのではと勘ぐってしまう。


「とある目的のために預言書を探しているんだ。あんたのその口ぶり、何か知っているのか?」


「ええ。昔、1000年前の文献に目を通すことがありましてね。その時、預言書についても書かれていたんです」


 ミレニアムだと……!?

一気に壮大なファンタジーになってきたぜ。


「ただ、私も詳しいことはわからないんですよ。解体神書のページはバラバラになり、世界中に散ってしまいましたから」


「解体神書?」


 ファミ通の攻略本か何か?


「世界の成り立ちについて書かれている本です。預言書のこともその本に詳しく記されているのですが……」


『そんなものがあったなんて……』


「よければ持っているだけでもお見せしましょうか? 私たち、考古学を研究していて、その費用のために魔物ハンターをやっているんです」


「私たちがS級の魔物を倒せるようになったのもこの本のおかげ」


 そんなすごい代物なのか。


 なら、有益な情報を得られるかもしれない。


「ぜひ、見せてもらいましょうか」


「だな」


 二人は解体神書のページを受け取り、パラパラとめくっていく。


 そこには様々なことが書かれており、魔法についての知識や魔力についてなど、さらに《永遠剣》についてもわずかながら書かれていた。


「預言書は神子に宿り、代々受けづいてくモノ……神子は輪廻転生を繰り返し、世界を観測し続ける……?」


 するととあるページに目が留まった。

ぼっくんが文章を読み上げていく。


 気になるワードは神子。

それは予言書の管理者をさしているのだろうか。


 それ以降もページをめくっていくが、そもそもがちぎれた本の寄せ集めで、なかなか文章がつながらない。


「王家って言葉は出てきませんし、王族ってわけでもないんですね」


「結局振り出しに戻るのか……」


 解体神書を読んで得られたものもあったが、謎も増えていく。


「解体神書のページは見つかっていないものも多く、高値で取引されているのが現状です」


「私たちもなんとか魔物退治で資金を稼いでいる」


 それじゃあ、今すぐに新しいページを読むことはできなさそうだ。


 意気消沈しているところを、マホツさんがあっ、と何かに気付いたように声を上げた。


「考古学に詳しい友人が何枚かもっていると前に言っていました。この前までレジスタンスに参加していたそうなんですけど」


『え、それって……』


 そういえば《永遠剣》の力についてもアジトで学者っぽい人に教えてもらったんだっけか。


『知ってる人かもしれない。その人は今もアジトに?』


「あ、いえ。魔王の手から領土が解放され、北西部にある故郷の村へ帰ったそうですよ。私たちも暇を見つけ行こうと思っていたんです。一緒に行きますか?」


『それは願ってもないです。ぜひお願いします』


 幸運にも、手がかりとなる情報が手に入った。


「北部にいるショーと情報の共有もしたかったですし、ちょうどいいですね」


「久々の再会としゃれこむか」


『だね』


 久しく会っていない友の顔を思い出した。


 村に行ったあとはショーくんと合流しよう。


「じゃあ、よろしくお願いしますね、おっさん。クレト、ぼっくん」


「よろしく」


 全員握手を交わしていく。

すると、みんな少しの間静かになった。


 俺も妙な懐かしさに心が躍るな。


「……僕たちどこかで会ったことありません?」


「奇遇。私もそう思った」


「うーん、前世で縁でもあったのかもしれませんね」


「「わっはっはっは」」


 初めて会った間柄のはずだが、なぜかすぐに打ち解けた俺たち。

全員が妙なシンパシーを感じていたようだ。


 俺たちは北部にあるバースビレッジという村に車で向かうことになった。


 とりあえずチーカックの村へと帰ることにする。


 








 しかし、この時の俺はあんな決断を迫られることになるとはつゆにも思わなかったのだ―――。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ