その12
イブニクルってゲームをクリアしたんですけど
ハーレム物でも意外とちゃんとまとまるんだなって感心しました。
あとラスボス戦でOPアレンジが流れるのは最高ですね……(しみじみ)
さて……次元の狭間から元の世界に帰ってきた俺たち。
まぁ、俺は剣になっちまったので居心地もくそもないが、やはり太陽があるというのはいいものだ。
天井が穴ぼこの魔王城玉座の間でしみじみとそう思った。
「さて……どうするか……」
「予言書の管理者はどこにいるんですかね」
うーんとみんなでうなるしかなかった。
そんな時だった。
《もしもし……皆さん聞こえてますか?》
脳内に直接声が響いた。
「こいつ」
「直接」
『脳内に……!』
みんなの息はぴったりだった。
《すいません……これは一方通行なのでおっさんたちの声は聞こえませんが、俺はとりあえず魔王領だった大陸北部を当たってみます》
そうか。
《おっさんは南部の方を頼みます。ビーチ・ド・コスタから下の方です》
ショーくんの声はそれっきりぷつっと途絶えた。
「だそうだ」
「とりあえず足を探しましょうか」
『それならレジスタ……』
レジスタンスのアジトへ行こう。
そう言いかけて俺はやめた。
俺たちの立場は非常に危うい存在だということを思い出したからだ。
関わった人たちが預言書に背いてしまうようなことはあってはならない。
「おっさん?」
クレトくんが首をかしげていた。
『ごめんなんでもない……あっ』
そういえばかなり歩くことになるが、ガレリアをコレルマウンテン近くに置き去りにしたことを思い出した。
『コレルマウンテンに行く前に車をちょっとね。まだその近くにあるはずだよ』
「結構距離がありますが……行くしかありませんね」
「ま、気長に行くか」
俺たちはそっち方面に歩き出した。
野を越え山を越え、たどり着いたかつての愛車ガレリア。
「ガソリンは……まだありますね」
「よし、俺が運転しよう」
クレトくんが意気揚々と運転席に乗り込む。
だが、懸念事項がひとつあった。
『君たち免許持ってる?』
「マリカなら少々」
「○ランツーリスモ遊んだことありますよ」
話にならんなガキどもが。
「どうせファストトラベル的に移動するから関係ないぞおっさん」
そんな身もふたもない言い方はやめるんだクレトくん。
しかし、俺たちはなんやかんやありながらも快適なサプライズドライブをするのであった。
俺たちはとりあえずビーチ・ド・コスタまでやってきた。
以前はシスタと来て色々楽しんだ場所だ。
だが、いまは男3人むせる。
とりえあえず近くのレストランで昼食をとることにした。
「ラーメン」
「ロコモコで」
「かしこま!」
2人は注文を済ませると会議に入る。
『さて……まずどうしようか』
預言書の管理者は世界に影響を与えられる者だということはトキノ君から聞いている。
ならば誰がそれに該当するのか?
「俺的には王が怪しいと思う」
クレトくんは腕を組みながらそう言った。
「確かに僕たちをいきなり呼びつけて勇者として送り出したんだから怪しいっちゃ怪しいけど……」
『ちょっと安直すぎるんじゃない?』
「え」
クレトくんは自分が期待する反応とは違っていたようで、口をあんぐり開けながらピャー↑っと悲鳴を上げていた。
「まあ候補としては妥当でしょう。僕はレジスタンスのリーダー……彼女も怪しいと思います」
『そんな、ケイさんに限ってそれは無いよ』
「本当でしょうか? そのケイさんとやらはおっさんを魔王であるぼっちゃんのの元まで導きました。十分世界に影響を与えていると言っていいでしょう」
ぼっくんの理路整然とした答えに俺は何も言えなかった。
俺個人としては彼女の想いは本物だと思うんだけど、それをケイさんを知らない二人には分かってもらえないだろう。
「あくまでも可能性の話しですし、そこはショーさんに任せましょう。今度はおっさんの意見を聞かせてください」
ぼっくんも俺を困らせたいわけではないんだ。
俺は気分を入れ替え、思考する。
今まで出会った人たちはどれも怪しいと言えば怪しいかもしれない。
だが、逆もある可能性がある。
『俺がまだ出会っていない人の可能性もあるんじゃないかな?』
「そうですね……世界に影響を与える、それは権力者であったり、人智を越えた力を持つ者ということですが……前者はともかく後者は僕たちが撲滅したので可能性は薄いです」
そうだった。
この世界の実力者たちは彼らによって無残に倒されてしまったのだ。
ほんとかわいそう。
「まぁ、トキノのような精霊もいるかもしれないし、断定はできないが」
『情報を集めないと、だね』
そうしてしばらく話しが続いた。
あの後、とりあえずどうなってもいい王様を訪ねることにする。
もちろん変装をし、正体をかくしてだが。
そしてついに王都へと帰ってきたのだ!!!
ガレリアをその辺の駐車場へ停める。
『二人は久しぶりなんじゃないの?』
「大体1年くらいか?」
「僕は2年かな」
二人ともあんまり懐かしむ様子もなく、淡々とした態度で街を散策する。
俺は今すぐにでも帰って引きこもりたいのだが。
アイアムザボーンオブマイソードだからしょうがない。
『とりあえず王城へ行こうか』
「そうですね」
俺たちは迷うことなくお城を目指す。
「王への謁見ですか? 申し訳ありませんが今は謁見を中止しておりまして……」
「え、どうしてですか?」
「英雄であるおっさんの葬式を盛大にやりたいとのことで」
『ええ……』
王様に会おうとした俺たちだったが、そういう理由で追い返されてしまった。
「で、どうする」
クレトくんはいたって冷静に次の手を聞いてきた。
『夜を待って潜入だ。とりあえず日が落ちるまで街で情報でも集めよう』
「そうですね……変わったことがないか街の人に聞いてみましょう」
そうと決まれば街の人へ話を聞きに行こう。
俺たちは街へと歩き出した。
「特にめぼしい情報は無かったですね」
「徒労だったな」
ついに日は沈みお月様が姿を現した。
可能な限り情報を探ってみたがとくにいいものはなかった。
だが、大切なのはここからだ。
『二人とも、準備はいいかい?』
「OKだ」
「行きましょう」
二人はやる気満々マンだった。
俺たちは闇夜に紛れて城へ潜入する。
流石に正面からは無理なので壁を登って入れそうな場所を探す。
2人は足場の無さそうなところを壁ジャンで駆け上がる。
流石は勇者(勇者じゃない)と言ったところか。
「あそこ入れそうだぞ」
バルコニーのようなところへ着地する。
丁度入れそうな通路があった。
場内へ入り廊下へ出る。
「ッ、待てぼっくん」
廊下の角を覗き見ていたクレトくんが制止する。
すると誰かの話し声が聞こえてきた。
「では、余は私室で休むことにする」
「わかりました。ではまた明日」
ガチャリとドアを開け部屋に入っていく王様。
ラッキーにも居場所まで分かってしまった。
俺たちはしばしば息をひそめて人がいなくなるのを待った。
「そろそろ行くぞ」
王様の場所は分かった。
俺たちはとりあえず王様の私室へと入ることにした。
バーンと扉を開けて入る。
「な、なんだお前たちは!」
すごく驚いている王様。
無理もない。
「……お前が預言書の管理者か?」
「……! なぜ預言書のことを知っている!」
まさかのビンゴだった。
こうも簡単に情報が手に入るとは。
「答えろ! 預言書はどこにある! 言わなければ……」
クレトくんはナイフを取り出し脅迫した。
二人はフードを被り変装しているのでもう賊にしか見えなかった。
「ま、待て! 余は何も知らん! 預言書のことは王家に伝わっているだけで持ち主など知らんのだ!」
王様はもっていないと主張していた。
それが苦し紛れのいいわけか、それとも真実なのかはいまいち判断がつかなかった。
「それは本当か? 俺のトゥルシズムアイは偽りを見抜く。正直に話した方がいいぞ」
なんだそれ。
変な超能力がクレトくんにはあったのか。
(ただのハッタリですよ……アレを自然にできるのはある意味すごいですが)
なんとただの中二病だった。
流石は捻くれ太郎といったところか。
「し、知らん! ワシも代々伝わっていた勇者をいるだけ送り出せさなければいけないということしか教えられておらん!」
王様はガクブル震えながらそう叫んだ。
ここまで来ると本当に何も知らないそうだ。
「そうか……邪魔したな」
クレトくんはナイフを懐に仕舞った。
「早いとこ脱出しましょう」
『そうだね』
「当身」
「がくっ」
王様を気絶させた俺たちは追手が来る前に城を脱出するのであった。
「これで候補がひとつ減りましたが……」
「目新しい情報は手に入らず、か」
王都の外、モヨリの街へ逃げてきた俺たち。
だが、これからどうしようか悩んでいた。
「とりあえず何か食おうか」
「だな」
二人はお腹がすいたようで、酒場へと入っていく。
俺は剣だから腹も空かなかった。
テキトーにカウンターへ座る二人。
店内はあらくれどもで賑わっている。
適当に料理を頼み、しばし黙っている二人。
「しっかし、久々に魔法使いを見たな。今のご時世魔法を使えるだけでも希少だがかなりの強さだったぜ」
「ああ。魔物ハンターの中でもトップクラスじゃないのか?」
「それに美人に美少女の2人組だったしな!」
「ワハハハハ!!!」
すると他の客が話している声が聞こえてきた。
少し気になることを言っていたな。
「聞いたか?」
「うん。魔法使いだって……。まさかまだ存在したなんて」
二人も同じように聞き耳を立てていたようで頷き合っている。
『この街でもう少し情報を集めてみようか』
「ああ、そうだな」
少しだけ暗闇に明かりが差し込んだ気がした。




