その7
WOFFがなんだかんだ言ってプレイ時間が45時間ほどありました。
ゲーム部分はホント楽しかったです。
「前に出ます」
「前に出ます」
「前に出ます☆」
「ちょっ」
「ぐわああああぁぁぁ!!?」
「スリースターズくん!?」
開幕と同時に前に出て彼らは散っていった。
精鋭部隊と聞いていたが……粗製とはこのことか。
「そんな……あんなに一緒だったのに……!」
これには薄情なシスタもショックを隠し切れなかったようだ。
時の神殿にやってきた俺たちだったが、想像をはるかに超える難易度だった。
体力は削られ、仲間も落ちた。
「……行こう」
「でも……!」
「ここで立ち止まることを彼らは望んでいないよ」
「……そう、ですね」
俺は泣きじゃくるシスタをそれっぽいことを言って慰めることしかできない。
なにせ出会って一瞬だったからな。
思うこともないわ。
「もう大丈夫です……イケさん、ガリさん、カワさん……必ず世界を救って見せます」
シスタは逝った仲間たちに祈りを捧げ、俺と共に歩き出した。
時の神殿の中はいかにも遺跡と言った具合だった。
もちろんギミックも満載である。
軽い謎解き要素をクリアしながら奥へと進んでいった。
「なんだか神々しいというか、オーラがありますよね」
「へぇ、そういうのわかるんだ?」
「当たり前です。聖職者ですよ?」
微塵もそんなこと感じた事ないぞ。
だが、シスタの言う通りここはどこか空気が澄んでいた。
かといって、俺たちを歓迎しているという感じではない。
人にとっては綺麗すぎるというか、うまく言葉にはできないが神聖な雰囲気とでも言っておこうか。
「《永遠剣》の伝説も信憑性が増してきましたね」
「だといいんだけど」
俺たちは期待に胸を躍らせながら歩みを進めていく。
そして入り組んだ道を抜けると開けた空間に出た。
何やらイベントがありそうな気配がする。
「……! おっさん、何か感じませんか?」
「え?」
シスタが突然身構える。
俺には何が何だか分からないが彼女は何かを感じ取ったようだ。
「私の気配に気づくとは、よほどの術者と見える」
「誰だ!」
そして神殿に響く男の声。
俺たちは急いで武器を構えた。
姿を現した声の主。
それは人間ではなかった。
「私は時の精霊。名はトキノという」
「時の精霊ですか!」
いきなり目標と接触した。
「なら話は早い。俺たちはあなたに用があって来たんだ」
「知っている。予言書に記述によって、な」
「予言書……?」
俺たちの目的を告げ、力を借りようとする。
だが、時の精霊は気になることを言った。
「人の身が知ることは無い。だが、運命と言うのはあらかじめ決められた道筋のようなもの。お前たちが今日ここに足を運ぶことは決まっていた事柄なのだ」
俺たちは戦慄した。
一瞬、何を言っているのか理解が追いつかなかった。
「それは……俺たちの行動は……スリースターズが死んでしまったことも、運命だったというのか!」
「そうだ。そして力を得たお前が魔王と戦うこともまた、な」
「そんな……」
残酷な真実を告げられた俺たち。
シスタも口を手で押さえて驚いている。
俺も歯をかみしめ、怒りで感情が爆発しそうだった。
「俺たちは俺たちの意思で行動してきたはずだ……!」
予言書か何だか知らないが、俺たちが考え、起こした行動がすべて運命の一言で片づけられるのは我慢ならない。
「本当にそうか? お前はなぜ勇者として旅だった? なぜその剣を手にし、私の元へとたどり着いた?」
「それは……! それは……」
時の精霊の言葉は正しいように思えた。
結局のところ、俺は流しに流されてここまで来たのだ。
「そうだ。王に呼ばれ、レジスタンスに助けられ、《永遠剣》のことを教えられ、私の存在を知らされる……お前たちは予言書に沿って行動してきたにすぎない」
「……」
「だが悲観することは無い。それで王国は救われるのだ。お前は魔王と戦い、それを討つ」
最後の言葉を聞いた俺はハッとする。
俺は魔王に勝てるのか?
「本当なんですか……?」
シスタも恐る恐ると言った感じで質問する。
「私は時の精霊。過去、現在、未来を見通す精霊だ」
だが、そのことを知っても俺の心は揺れ動いていた。
「……なら、早くこの剣に力をくれよ」
「いいだろう」
これ以上、ここにいては俺の精神が持たない。
俺はさっさとここに来た目的を果たす。
「《永遠剣》が……!」
時の精霊が手をかざすと、《永遠剣》に何かが注ぎ込まれる。
すると俺の中の何かが変わった。
「力が湧いてくる……! これが《永遠剣》の本当の力……!」
剣を天にかざし、俺は自分の力が増していることを実感する。
「これでお前は時の力を使うことができる。さぁ人類最後の勇者よ、魔王を倒すのだ」
時の力だって……?
また意味深なことを言い残し、再び視線を戻せば時の精霊の姿は無かった。
「消えた……」
しばらくの間俺たちは驚愕と疲れで動けずにいた。
「……行こうかシスタ」
「はい……釈然としませんが……」
俺もそう思う。
全てが決まっていたことだなんて思いたくはない。
だが、今は余計なことを考えず魔王を倒すことだけを考えるべきなんだ。
俺たちは不安を抱えながらも時の神殿を後にするのであった。
「のばら!」
「大変です! 魔王軍の侵略が始まりました!」
「何だって!?」
急いで帰ってきた俺たちはレジスタンスの現状を知らされた。
アジト内部は慌ただしく人が行き交っている。
「今はリーダー達がワイバーンバレーでなんとか足止めをしている最中です!」
ワイバーンバレー。
そこは確か飛竜が住むと言われている谷だ。
人間が通るには険しすぎる場所だが、魔物はそれをものともしないのだろう。
そこを越えたら直接王国領に入ることができるのだ。
「急ごうシスタ!」
「はい! おっさん!」
俺たちは急いで支度をする。
ケイさんたちが心配だ。
シスタと共に車に乗り込み、ワイバーンバレーを目指すのであった。




