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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
新世界4 ファイナルドラゴンテイルズ/アルティメットエディション
88/122

その6

最近WOFFをクリアしたんですけど色々と惜しいゲームな気がします。

嫌いじゃないんですけどね……。

 そして魔物がはびこる道路を突き進み、俺たちは最北の地にやってきた。

天気は雪。

超寒い。


「あ、見えてきましたよ。あれがオリジンタワー……」


 シスタがほえーと言いながら前方を指さした。


 車を走らせること数日。

やっとこさバカでかい塔が見えてきた。


 天気が曇っていることもあって、一番上が見えない。


 あんなところを登っていけというのか。

勇者とはかくも大変なものなのか。


 とりあえず車を停めて塔の近くへと行ってみる。


 真下から見上げると余計に途方もない。


「これは大変ソウデスネ」


 シスタも目が虚ろになり、途中で片言になった。


「けど、これも世界のため……」


 俺はそう言い、気合をひねり出した。


「シスタ。トイレは大丈夫か?」


 唯一の懸念事項はそれだ。


「はい。災害時用の携帯トイレを持ってきましたから」


 それは安心した……安心?


「よし……幾三」


「は? さっむ」


 渾身のギャグは気温も合わさり氷点下と化した。







 オリジンタワーの中は外と違って幾分か寒さはマシだった。

ダンジョンらしくギミックは満載で解くのに時間がかかる。


「おっさん! コンボ行きますよ!」


「おう!」


 それに魔物も多い。

伝説の武器が眠る場所ではあるがひどい荒らされようだ。


 強力な魔物がいるため、一戦一戦が気を抜けない戦いになっていた。


 シスタと連携攻撃により相手に反撃のスキを与えずたおしていく。


「シスタぁラストぉ!」


「ふんす!」


 俺が魔物を翻弄し、シスタがとどめをさす。


 パーフェクトなコンビネーションだった。





「だいぶ上ってきたけど……」


「案内板見たらまだ半分でした」


「マ?」


「マ」


 もはや登山をしている気分になってきた。

コレルマウンテンを越えた時の比ではない。


 今すぐにでも帰りたい。


 決意が揺らぎそうだった。


「クックック……黒マテ茶……」


 シスタも気が狂いそうな所を変な飲みものでおさえている。


「しっかし《永遠剣》なんて本当にあるんでしょうか?」


「まぁ大いなる力なんて言われても想像しようがないしね」


「ただの鉄の剣の可能性も……」


 上りたくないからってなんてことを……。


「それでも、だ。俺たちはもう伝説にすがることぐらいしかできないよ」


「ロマンチストなんですねおっさん」


 それが聖職者の言うことか。

神罰を受けろ。


 ぐだぐだおしゃべりしながらも塔を登っていく。


 外は極寒だというのに汗が止まらない。


 シスタも汗だくだった。

通気性の悪そうな修道服がなおつらそう。


 仕方ない。

おもしろそうな話しをして気を紛らわせてやるか。


「よし、ここは俺のすべらない話しをして―――」


「だったら壁にでも話してろよ」


 よほど余裕がないのか、辛辣な言葉をもらってしまう。


 人生とはままならないものだ。






 そしていくたの困難をのりこえ、ついに頂上へとやってきた。


 ここまで来るのに連戦に次ぐ連戦。中ボスラッシュがノセノセでやってきたが何とか倒すことができた。


 俺たちの実力はレベル40を越えようかとしている。


「おっさん、ここが私たちの目指した場所なんですか?」


「ああ……ここもその一つだね」


「意外と殺風景ですね」


 鉄血の表情で俺たちは感慨に浸る。

が、手抜きにも下のフロアをコピペしたような内装で、剣が刺さった台座がポツンと一剣家だった。


 寂しそうに鎮座する《永遠剣》がなんとも言えなかった。

見た目はあんなに装飾がついていて刀身もキラキラと紫色に輝いているというのに。


「あれが《永遠剣》……おっさん!」


「おうともさ」


 俺は剣のグリップを握りしめ、力を込めて引き抜く。


 すると俺の右手がピカ―と光を放ちはじめる。


「おお……!」


 シスタもキラキラした眼差しを向けている。


 台座から全て抜き終え、天高く剣を掲げる。


 心なしか、力が湧いてくる気が……。


「……」


「……おっさん?」


 湧いて……。


「……」


 湧……。


「うごごご……!」


「ええ……」


 しかし、なにもおこらなかった。


 ここまで来てポンコツだったとは許せねぇよなぁ!?


「風と大地の封印を解かないといけないのでは?」


 どこの退魔の剣だ。


「とりあえず帰りません?」


「うん……」


 とんだ肩透かしを食らってしまい、テンションは激落ちである。


 これはゲームではないので来た道をパパッと戻ることはできない。

もう一度長い道のりを歩くのであった。






 俺たちは何とかレジスタンスのアジトへと帰ってきた。

アジトの入り口をノックする。


「……合言葉は?」


 すると言葉が返ってきたので俺は迷うことなく答える。


「のばら」


「入ってよし!!!」


 ガチャリとドアが開き、俺たちは中へと入ることができた。


 反乱軍と言えばのばらだった。


「お帰りなさい」


 地図を広げてそれっぽく会議をしているケイさんが俺に気付いてあいさつをしてくる。


「オリジンタワーは強敵でしたね……」


 霧が濃くなりそうな顔をしてそういうシスタはこれまでになく覇気がない。


「なんにせよ、無事で帰ってきて良かったわ。それが《永遠剣》ね?」


 ケイさんが俺の背中をさしてそう言った。


「ええ。けど、伝説のとおりの大いなるちからは手に入らなかったんです」


「そう……」


 残念そうに目を伏せるケイさんに、申し訳なさを感じてしまう。


 すると、誰かが部屋に入ってきた。


「リーダー少しそのことでお話が……」


 入ってきたのはいかにも学者と言った風貌の男だった。


「聞かせて」


「実は古文書を解読したところ、《永遠剣》がちからを発揮するには時の精霊の力を宿す必要があるようです」


 いきなり新しい情報が入った。

ファンタジーになってきたぜ。


「精霊?」


「人間の前にはめったに姿を現さないと言われているわ」


 希少な存在のようだ。


「その精霊はいったいどこにいるんでしょうか?」


「古文書の一説によれば次元の狭間に存在する……と書かれています」


 それクリア後の裏ボスじゃないの?

俺は若干の不安を覚える。


「そんなところへどうやっていけばいいんですかね」


 シスタも頭を抱えていた。


「……時の神殿」


 ふと、ケイさんが言葉をこぼした。

何か思い至ったのだろうか。


「……それは?」


「かつて異世界へとつながっていたと言われる伝説がある世界遺産よ」


「じゃあそこへ行かないと」


 シスタの予想が若干当たっていた。

彼女の顔はどこかドヤ顔だった。


 ていうか世界遺産なんだ……。


「けど、あそこは何故か特に魔物を呼び寄せるの。おっさんたちだけで行くのは危険ね……」


「そん」


「なに」


 ケイさん情報によれば中々の高レベルダンジョンだそうだ。

いよいよクライマックスかな?


「スリースターズを呼びなさい」


「はっ」


 ○ェスタにでも乗るんか?


 なんて考えながら待つこと5分。

ケイさんの部下が見知らぬ人間を三人連れてきた。


「紹介するわ。反乱軍のエース、特殊部隊スリースターズよ」


「イケです」


「ガリと申します」


「カワでーす」


 

 紹介されたのは何ともさわやかな若者たちだった。


 イケメンの少年、メガネの少年。なんか美少女。

 

 彼らから感じるフレッシュさが中年にはすこしまぶしい。


「わぁ、同年代ですね!」


 シスタは喜んでいた。

年の近い仲間は彼女にとってもうれしいものだろう。


「彼らを護衛につけるわ。時の神殿を調査するのに力になるでしょう」


「ありがたいことです」


 やっと二人きりの旅が終わりを告げた。

少し、残念な気がしたが気の迷いだろう。


 生存率が上がり、文句はない。


「気を付けてねおっさん。こっちも魔王の動きを引き付けて見せるから」


「お互い、無事にまた会いましょう」


 俺はケイさんと握手を交わす。


 彼女の体温が俺に温もりと勇気をくれた。

どこか懐かしい気分になった。





「じゃあ、行きましょうおっさん。時の神殿へ」


「ああ」


 決意をあらたに、俺たちは車に乗り込む。


 俺とシスタ、スリースターズの三人は車で時の神殿を目指すのであった。

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