その6
村に来て数週間。ここでの生活にも慣れてきたところだ。
住んでみれば静かで気温も過ごしやすい感じでいいところだな。
現代とはかけ離れた原始的な暮らしが逆に心地よい。
今日も今日とて青年……ぼっちゃんの畑仕事を手伝う。
適当に農作業をしながらぼっちゃんと雑談する。
「あの、幼女とか探したらいませんか?」
「幼女がおっさんに惚れるわけないだろ」
それはどうかな?。
「はいチート」
「!!!!????これは惚れる!!!!????」
などと至極くだらないフリートークに花を咲かせるのだった。
そんな感じで気が付けば数時間が経ち、そろそろ仕事を切り上げようとする頃に
村に激震が走った。
水を飲んでいたぼっちゃんが持っていた水筒を落とす。
何事かと思い、どうしたのか尋ねようとするが……。
何かを見つけたのか、表情が強張っていくぼっちゃん。
「大変だ……!スライムの大群が村に入ってきたぞ!」
その一言にハッとする。
ぼっちゃんの視線の先には、
村の外から視界を埋め尽くす勢いでスライムらが
こっちへ向かってくる。
「えっ、だったら倒せばいいだろ!」
スライムなんてゲームでは序盤の経験値のはず。
そんなに驚くようなことなのだろうか。
「この村には戦える奴なんていないぞ!」
ぼっちゃんの一言に凍り付く。
マ?マジ卍?。
「農民だろ!いっきしろよぉ!」
「どういう意味だ」
パニック状態に陥る。
「くっそーこのままじゃ村は壊滅だ」
悲観に暮れるぼっちゃんと俺。
もう手立てはないのか―――。
そう思いかけたその時、我が脳細胞にピコリン!と閃きが走った。
「私にいい考えがあります」
「それは?」
「村の人々を広場に集めてください。話はそれからです」
「だからもう村の中にいるんだって!」
気が付けばスライムは村中に溢れていた。
なんなのだこれは、どうすればいいのだ?。
「ええ……帰ろう!」
心機一転、高らかに敗北宣言をする。
やはり無理であった。時すでに時間切れということか。
「未来へ撤退!」
バックステップでスライムから遠ざかる。
なすすべエブリシングナッシングなこの状況を覆すことはもうできなかった。
思いのほかスライムの動きは素早い。
この調子では追いつかれるのは時間の問題だ。
もうだめなのか―――。
「だったらチートを使えばいいじゃない!」
しかし、俺たちの前に救世主が現れる。
妙案とともに、どこからか女性……びっちゃんが来てくれた。
「!!!!????」
「????????」
神のお告げのような一言は、まさに青天の性癖だった。
「まったくわかってないやついるぞ!」
何故ばれた。
まさに青天の霹靂だった。