その11
「オラ―!暮人!もっと気合いれろー!」
「うーっす」
「ぼっくんはもっと動作を早くしろ!」
「は、はい!」
今日も今日とて俺たちは練習に明け暮れていた。
何とかチームとしての形は保てて来たのではないだろうか。
「次、おっさん!」
「おう!」
「オラ!」
「キャッチ!」
ぼっちゃんが繰り出すノックを俺は
難なく取る。
能力を上げておいてよかったよ。
すかさず一塁にいる火のカくんに送球する。
「だいぶマシになってきたな!おっさん!」
「まーね」
野球経験者である火のカくんにも
お褒めの言葉をいただく。
「次!佐井!」
バットが響かせる打球音を聞きながら
俺は邪魔にならないところに移動する。
ちょうどぼっくんと暮人くんが休んでいた。
俺も横へ腰を下ろす。
「なんだか不思議ですね」
「ん?なにがだい?」
ぼっくんが不意に口を開く。
「いや。初心者だった僕たちがここまで成長したんだなって」
「そうだね……あの頃からは考えられないよ」
懐かしいな。ぼっちゃんと二人から始まった
ナロナロズ。
無謀にも思えた野球大会出場も
今では手の届くところにある。
「それもなんだが……」
それに続いて今度は暮人くんが話し出す。
「俺たちはここ最近出会ったはずなのに、ずっと前、こんな風に一緒に努力していた気がするんだ」
「あ、奇遇だね。僕もそんな気がしたよ」
「君たちも?」
そう。俺もずっと前からこんな風に
みんなで一つの目標にむかってたような
そんな気がしてた。
「前世では因縁でもあったんですかね?」
「かもな」
いつもなら笑い飛ばしてしまうそんな会話も
今の俺には否定できない。
もしかしたら、俺たちの心がひとつに
なっていっているのかもしれないな。
その後も俺たちは練習に勤しむのであった。
もう日も落ち始めたので練習を切り上げた。
俺もそろそろ帰ろう。
そう思った時だった。
「おっさん、ちょっと付き合えや」
ぼっちゃんはそう言って、缶コーヒーを渡してくる。
俺たちは近くのベンチに座ることにした。
「それで、どうしたの?」
「……いや、本当にここまで来れるとは思わなかったもんでな」
「言い出しっぺが言う?」
「笑うなって」
普段の傲慢な態度からは考えられない
殊勝な態度のぼっちゃんがどこかおかしかった。
「それもこれも……全部あんたのおかげだ。ありがとうおっさん」
ぼっちゃんにお礼を言われる日が来るとは。
なんだか感慨深い。
「なんだよ……かしこまって言われると照れるだろ」
「フッ、がらじゃねぇのはわかってるさ」
二人の間に沈黙が訪れる。
でも、気まずさは感じない。
「なぁ、おっさん」
「なに」
「勝つぞ」
「……当たり前だろ?」
お互いの拳を静かに合わせる。
男同士の友情ってこういうことをいうのかもしれない。
大会まではもうわずか。
それまでに俺たちができることを全力でやろうと
誓いを立てるのであった。
※ぼっちゃんがパワーアップした!。
友情パワー!。




