その8
やっと九人集まることができ、とりあえずのスタートラインに
立つことができた俺たち。
今日から本格的な練習を始めるのであった。
そして数週間が過ぎていった。
「いやぁそれにしてもおっさんすごいですね」
「ああ、まさか甲子園出場経験者を連れてくるとはな」
「いや~」
ぼっくんとぼっちゃんが俺を褒めたたえる。
なんとショーくんは野球強豪校でエースだったそうな。
いちばんネックだった投手への不安を
埋めることができてよかった。
「それに、指導者としても才能があるし、ホント助かったぜ」
ぼっちゃんも自分のなんちゃって知識では
不安があったようだ。
ショーくんの指導の元、仲間たちの
実力はめきめきと伸びていく。
まあ、俺の実力は言わずもがななんだけどね。
「おっさん、言い忘れてたが能力はポイントを使って上げることができるぞ」
早く言ってよぼっちゃん。
俺は今まで貯めたポイントなる物を使って
能力をアップさせるのであった。
「よーしお前らいったん集合!」
今日の練習がひと段落したところでぼっちゃんから
集合命令が下った。
「俺とおっさんから始まったこのチームもついに九人だ」
ほんと大変だったよ。
「だったらそろそろこのチームにも名前が必要になってくる」
そういえば無かったね気にしなかったよ。
「どうやって決めるんですか?」
素直な質問をするぼっくん。
「そうだな……じゃあ一人一人に聞いていくから言ってくれ」
俺たちも考えるのか。
どうしようかな……。
「はい」
真っ先に手を上げたのはぼっくんだった。
「言ってみろ」
「ストレンジサバイバーズとかどうでしょう?」
「よくわからねぇ上にだっせぇから却下だ、次」
残念、ぼっくん。
でもそのネーミングセンスじゃしょうがないさ。
「次は俺だ」
お次は暮人くんだ。
「ワイルドブレイバーズってのはかっこいいと思わないか?」
だっせ。捻カス黙っとれや。
「うちにワイルド要素はねえし勇者もいねぇぞ……次」
見るからに落ち込んでいく暮人くん。
なかないで。
「じゃあ私たちから」
お次は四天王ズたちだ。
「異世界エレメンツというのはどうでしょうか?」
もう生きて俺の塵さんの部下みたいに合体しそうだなオイ。
「もう生きて俺の塵さんの部下みたいに合体しそうだなオイ」
ぼっちゃん、お前もか。
「すまない、取り乱した。良い名前だと思うが野球チームって感じじゃねえな……次」
お次は佐井ちゃんだ。
「チーターズ……どう?」
多分動物の方を言ってるんだろうけど
それじゃあ俺らがズルしてるみたいに聞こえちゃうよ。
「悪くねえ……まあ残りを聞いてからだな。次」
意外にも好印象だった。
女には甘いのがこの男の特徴だ。
次はショーくんだ。
「アベンジゃ……」
「おっとショーそこまでだ」
アメコミヒーロー集団が好きなのかショーくん。
「おっさん……一応聞いておこう」
一応ってなんだ一応って。
「オッサンズ」
無言でタバコを顔に押し付けられた。
彼には人の心が無いのだろうな。
「冗談だよ。ナロナロズってのはどう?」
特に考えもなく、自然に出てきた名前だった。
「……妙に俺たちにしっくりくるな。それにするか」
ここにいる人たち全員が同じように感じているようだ。
「よし、野球をしよう……チ―ム名は、ナロナロズだ!」
こうして、九人の仲間との青春の日々が始まる。
やがて来る孤独への不安さえも今この時だけは忘れられそうだった―――。




