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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
第一章 スローライフハッカーズメモリ
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その2

「どうやら彼女は自力で逃げられたようだな。

 よかったよかった」


離れたところから隠れて観察したかいがあったぜ。


「やれやれ」


憂いがなくなったところで私は人を探して歩を進めた。



しばらく道なりに歩いていくと、そこには小さな村があった。

私はやっと人に会えると思い、安堵した。


村に近づくと畑で農作業をしている若い青年と目が合った。


「おお、旅のお方ですか。ようこそチーカックの村へ」


向こうの方から話しかけてくれたのだが、何故か異世界なのに言葉がわかることに

疑問を覚えながらも、多分チートとやらが関係しているのだろうと

思い、私は平静を装い挨拶を返した。


「こんにちは。今日は過ごしやすくていい天気ですね」


「そうですね。でもこう雨が少ないと作物が育たたなくて困ります」


「あっ、そうですよね。すいません無神経なことを言って」


長年人と話さず過ごしてきた私は気を回すということを忘れてしまっていたようだ。

反省しよう。


「いえいえ。お気になさらず」


見た目は若いが穏やかで

しっかりした人だ。もしかしたら思ったより年が上なのかもしれない。



「あ、そうだ」


これまた何故か唐突にチートなる物を思い出した。


「色々問題があるようでしたら、どうぞこれをお使いください」


「おや、なんですか?これ?」


「チートです」


「すげええええ!!!」


なんとかなったようだ。


「ありがとうございます!これで今年も豊作です」


そう喜ぶ青年の顔を見て何十年ぶりに良いことをしたな、と、

自分の力で解決したわけでもないのに少し誇らしげな気分になり

嬉しく思った。


青年が気をよくした今なら少し要求をしても断られないかもしれない。

そう思ったので、頼み事をしてみようか。


「いえいえ。あっ、見返りと言ってはなんですが今日一晩だけ

 お宅にお邪魔してもいいですか?」


すると予想の範疇ではあるが、青年は渋い顔をして一転、

申し訳なさそうな顔をした。


「それはちょっと……」


「あ、ですよね。すいません」


やはり、出会ったばかりの人の家に泊まらせてもらうのは無理があったようだ。


けど、残念な気持ちが顔に出て気を使わせてしまったのか、

私の顔を見るなり青年は、


「泊めるのは無理ですが、茶の一杯ぐらい飲んでいってください」


と、今度は笑顔で提案してくれた。


「いいんですか?なんか悪いなあ」


そう思いつつもちゃっかり了承し、お茶以外もでないかなあと淡い期待を抱きつつ、

青年の後をついていった。

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