第十三話 ただひとり、君のためなら
雪が解けたら、春になりましたね。
アニメも続々と最終回を迎え、寂しい気持ちもありますが春への期待も高まります。
私はへんたつと超電磁砲、あとダーウィンズゲームやランウェイで笑ってなんかも楽しんでいました。
あとLOLのTFTやってみたんですけど面白いですね。これ系のジャンル日本のメーカーも作ってくれませんかね……。
「い、生き残った……」
「俺たちの勝利なのか……?」
激しい戦いが終わり、帝国に静寂が訪れた。
周囲を埋め尽くしていた天使は一体も残らず倒れていた。
「う、」
「宴だぁ~!!!」
「ワー! ワ―!」
勝利を祝い、酒盛りが始まった!!!!!!
生き残った人々が生の実感を噛みしめていた。
それを見た天使相手に生身で無双していた少年が、何も言わずに街を去ろうとする。
しかし、それを見つけたイケが呼び止めに走った。
「お、おい待てって」
腕をつかみ、前に回るイケ。
「何だ……」
嫌そうにそう答える少年。
「お前、名前は?」
「……ヒネ・クレトだ」
「ヒネ……」
イケは少年の名前を聞いた時、どこか懐かしい気分になっていた。
その2人を追いかけ、ガリとカワがやってくる。
「助けてくれてありがとうございます」
「ホント! ヒネくんがいてくれなかったら死んじゃってたよ~」
各々がお礼を述べていた。
「別にお前たちのためじゃないからな!」
それを聞いたクレトは顔を赤くしながらそう叫んだのだった。
ミカータ王国、首都。
「がはっ……!」
連戦により疲弊し、天使を倒すスピードよりも、数が増えるスピードの方が速くなりつつあった。
ナローズの隊長、ナロー1が乗る《ツエー》が天使の一撃をくらい倒れこむ。
「隊長!」
倒れたナロー1への追撃を防ぐため、ナロー2が弾が無くなり無意味となったライフルを鈍器代わりに天使へと叩きつける。
「うおおおおおおお!!!」
雄たけびを上げながら連打して天使を薙ぎ払っていった。
「ちっ、やばいな」
一方、ナロー3と紅い《ムソ―》に乗る少年が背中合わせに天使と対峙していた。
撃っても切っても数が途切れることは無い。
極限の状況だった。
しかし、そこに光明がさす。
「っ……ナロー3、あれを!」
少年が《ムソ―》で空に向かって指をさした。
「な……っておいおい! やっと来たか!」
それを見たナロー3が歓喜の声を上げた。
空から一機のNBが降ってきた。
ナローズたちが使う《ツエー》その改修機である。
「待たせたわね」
「サッカンか!」
空中から地上の天使を狙撃していくサッカン。
さらにラルカンシェルが姿を現し、地上へと近づいていた
「機銃一斉掃射!」
ラルカンシェルが天使たちを攻撃する。
今にもヤバかった状況が一気に好転しつつあった。
天使の姿が消え、ラルカンシェルが地上へと着陸した。
いち早く出口から出てきたマホツが王国の騎士たちの元へ駆けつける。
「良く、守ってくれました」
ねぎらいの言葉を傷だらけの騎士や兵士たちに述べた。
「いえ、みんなの力があってこそです」
騎士たちは驕ることなく、周囲を見渡し兵士や民間人、そしてナローズをマホツへと示した。
それを木の陰から見つめるケイとナローズ。
「特殊部隊は伊達じゃないってことかしら」
「まあな」
頬を掻きながら満更でもない顔をするナロー1。
そこへ紅い《ムソ―》から降りてきた少年がやってきた。
「あら……そっちは」
それに気づいたケイが少年へ向き合う。
「ああ、そいつは」
紹介しようとしたナロー1を手で制する少年。
「僕の名はぼっくん。……よろしくお願いします。ケイさん」
そう少ない言葉で自己紹介し、お互い握手を交わすケイとぼっくん。
「ええ。よろしくぼっくん」
「? なんだ……?」
それを不思議そうにナローズは見ていた。
そしてケイはナロー1の肩をつかんだ。
「ほら、ナローズは私と一緒にシティに帰還するわよ」
「ちょ、少しは休憩させろって」
ケイは無理やりナロー1を引きずり、ラルカンシェルへと連れて行く。
「《ツエー》の整備がやりにくいっておやっさんがいってたから」
そう上司からの伝言を言うと、ナロー1は諦めたように自分で歩きだす。
「やれやれ、人使いの粗い上司だこと」
小言を言いながらもナロー1は《ツエー》へ乗り込んでいく。
それを笑いながらぼっくんが見つめていた。
「あなたもシティへ来る?」
ケイはぼっくんへと声をかけた。
「いえ、用がある人がいるので」
「そうね。じゃあまた」
「わかりました。では」
短い会話を打ち切り、ぼっくんがラルカンシェルへと歩き出した。
しかし、途中でナローズへと向き直る。
「みなさん、ありがとうございました」
頭を深く下げ、お礼を述べるぼっくん。
「いや、こっちこそ助かった」
「ご協力感謝します」
ナロー1、ナロー2共にそう答えた。
しかし、ナロー3は無言でぼっくんへと近づいていく。
「おい、ぼっくん」
「……はい」
何か圧を感じて腰が引けた様子のぼっくん。
「仕事が無かったら、うち、こいよ!」
「っ……はい。その時はよろしくお願いします」
だが、肩に手を置かれてそう言われたぼっくんは、何かをかみしめるように頭を下げるのであった。
「さ、降りよう?」
「ああ」
あれからシティから出張してきた医者に診てもらった。
骨と言う骨が折れたりひびが入っているらしい。
俺は包帯グルグル巻きで地上へ降りる。
キツカちゃんに支えられながらゆっくりと街へと歩いていく。
「待っていましたよ。おっさん」
そして関所前で声をかけられた。
「え」
「あ、あなたは」
その少年は初めてみる人だった。
―――いや、しかし記憶には残っている人だった。
数多の異世界を共に駆け抜けた、生涯の友の1人。
「ぼ、っくん」
「初めまして。そしてお久しぶりです」
まるで現代の兵隊のような格好をした少年。
いつかと変わらない笑顔で俺を見つめている。
「どうして……」
だが、記憶にある彼の姿はここではない世界、異世界にいたぼっくんだ。
「もちろん。仲間ですから」
「……!」
けど、そんな難しいことを考える前に、ストレートな言葉に涙腺が緩んでいく。
「場所を移しましょうか」
そう言って俺に肩を貸してくれるぼっくんの優しさが心にしみるのであった。
「ひどいね」
王国の首都はひどいありまさだった。
活気のあった街並みは消え去り、瓦礫の山と死体が積み重なっている。
国としての命はなんとかつないだが、失ったものが多すぎる。
「すみません。もう少し駆けつけるのが早ければ……というのは傲慢ですよね」
ぼっくんは俺たちが天空の城で戦っている間、ここミカータ王国の防衛に力を貸していたらしい。
それも一騎当千の戦火をあげたそうだ。
彼がNBに乗るのは初めてのはずなのだが、どこかの世界で経験したことがあるのだろうか。
「それでも、あなたに救われた命は多いはず」
「ありがとうございます」
めずらしく他人をフォローするきつかちゃん。
いや、気の知れた相手には特段優しいのがこの子の良いところだった。
「なに?」
「いえ、変わってないんだなと思いまして」
少しうれしそうに、鼻の頭をかきながらぼっくんが言った。
けど、対照的にキツカちゃんの顔が下を向く。
「……ごめん。私も全部覚えているわけじゃないから」
申し訳なさそうにそういうキツカちゃん。
「そうなんですか。大丈夫ですよ、僕もベースとなった僕にはあなたとの記憶がありません。けど、覚えてなくても、どこかの世界で紡がれた絆は消えませんから」
「ぼっくん……」
強い眼差しでそういうぼっくんは、とても実感がこもっているように見えた。
俺も全てを思い出せたわけじゃない。
だが、心が感じている気持ちに嘘は無い。
「それで、僕がここに来た理由ですが」
そうだった。
いったいどうやって……?
「ショーたちが僕たちを召喚したんです」
ショー。
その名も深く魂に刻まれている。
あらゆる世界で俺たちを救ってくれた救世主。
最高に頼りになる仲間。
って……複数形?
「ショーくんたち……? それに僕たちって」
「ええ。クレトは帝国に向かいました。あいつも防衛線に一役買っているはずですよ」
また懐かしい名を聞くことができた。
たしか、捻くれ太郎って呼んでた気がする。
そうかあいつも来ているのか。
「ナ・ローの復活を阻止できず、復活してしまった今、再び《転聖戦争》が始まろうとしている。そうなったらこの世界が無事で済むはずがありません」
壮大なスケールの話しになった。
「でも、あれは神がいなければ出場できない決まりじゃ……」
これまた記憶の片隅にあるのだが、《転聖戦争》はチートをもった転生者を戦わせる大会だ。
そして参加できるのはあくまで神のはずだ。
「いえ、それは―――」
ぼっくんが何かを言いかけたその時、街の様子がざわめきだした。
「お、おい! なんだあれ!?」
「また天使なのか!」
街に大きな影が差した。
その原因は、空から光を放ちながら降りてくる巨大な黄金の女神だった。
『ワタシハ最高神ナ・ロー。全次元ヲ管理スル制御システムデス』
圧倒的なまでの迫力に、思わず息をのむ。
「あれが、ナ・ロー」
ついにその姿を現した。
そしてアレが蘇ったということは、必然的に―――。
『コレヨリ《転聖戦争》ヲ開始シマス』
ゴーン、と鐘が鳴る音がする。
『クリカエシマス。コレヨリ《転聖戦争》ヲ開始シマス』
ナ・ローはまるで機械のように無機質な音声でそういった。
「そんな……! こんなときに!」
先の大戦で俺たちはNBも体も精神も疲弊している。
こんな時に戦いなんてできるはずが無かった。
『ステージハコノ世界ナンバーゼロ。戦ウ意思ノアル神ハ転生者ヲ召喚シテクダサイ』
無慈悲にそう宣告する神の姿はまるで終わりを告げる死神にも見えた。
そして大きな揺れが俺たちを襲った。
「地震!?」
「いや、違う……この感じ、あいつに似ている……!」
キツカちゃんが何かを察知したらしい。
異質なまでのプレッシャーと言えば……まさか。
「オリジンか! けど、あいつはギャークバーリに」
そう思い、どういうことなのか考える。
俺たちは顔を身わせて戸惑うことしか出来なかった。
「ふうん。あの人がやれって言うから来たけど、もう誰も戦えそうにないじゃん」
幼さを感じさせるしたったらずな声が上空から聞こえてきた。
あの変な黄金の女神が気になってここに来てみれば、お次は幼女が空から降ってきた。
「何者だ!」
「わたしですか? わたしはオーエス・ウィンドゥ・ニセン。預言書……って言ってもわかんないですか。ギャークバーリ様の命で転生者を殺しに来ました」
感じられる殺気から敵と判断する。
恐らく、ギャークバーリとやらは鴉たちが逃したという黒幕の片方だろう。
「ふざけたことを!」
ホームラたちが使えるNBはもうない。
しかし、相手が人間サイズとみて、ホームラ達四天王がニセンに襲い掛かる。
渾身の奥義がクリティカルヒットしていく……だが。
「アハハハ! 効きませんよぉ!」
「バカな……! こいつ本当に人間なのか……!」
防御する姿勢すら見せず、何事も無く立っていた。
「ちがうよぉ! わたしにはチートがある!」
そしてニセンが手を上にかざすと、衝撃波が周囲に発生した。
「ぐわああああ!?」
「兄上ええええ!?」
四天王たちが吹っ飛ばされていく。
ゴムボールのようにバウンドしながら強烈に壁に打ち付けられた。
「ほらほら! 早く転生者を出さないと関係ない人を殺しちゃいますよ!」
「きゃああああ!」
「うわああああ!」
ニセンはところかまわずビームを繰り出す。
逃げ惑う人々の悲鳴が鳴りやまない。
「大丈夫か! ホームラ!、みんな!」
「殿下……お下がりください……」
「こいつは……勝てない」
「ぐっ……! みんな! 退避しろ!」
「これは……!」
そこに鴉、キツカ、マホツ、ぼっくんが駆けつけた。
「あの四天王が負けている……」
信頼を置く実力者たちが無惨にも横たわる姿を見て、鴉たちは息をのむ。
ニセンが放つ異質な力に、気を引き締めていく一同。
「私が行く!」
「僕も行きます!」
「ちょ、2人とも!」
キツカとぼっくんがニセンへと立ち向かう。
鴉はそれは無茶だといい手を伸ばした。
だがなおも突撃していく。
「ケイさんを呼び戻せないんですか!」
俺はマホツさんに叫んだ。
「それが……結界のようなのものが張られていて通信が妨害されているようで」
(結界……あのナ・ローの仕業なのか、はたまたあの幼女の力なのか……)
「そんな……」
がくっと膝をつく鴉。
もはや勝てる気がしない様子だった。
「くっ、私も行ってきます! 鴉さんは安静にしててください」
「マホツさん!」
先に行った2人を心配したマホツが武器を取り出し駆けだした。
1人取り残される鴉。
「嫌な予感がする……!」
しかし、そのボロボロの体を引きずり、仲間たちを追う為に歩き出すのであった。
「つ、強すぎる……」
「四天王が束になっても勝てないなんて……」
何とか立ち上がる四天王。
だが、その圧倒的な力量差に戦慄していた。
「凡人はお呼びじゃないんですけど」
そういって服についた土ぼこりはらうニセン。
何事も無かったような涼しい顔をしていた。
「サイキックパワー!」
そこに超能力攻撃が降り注いだ。
「おっと」
だが、最小限の動きで回避したニセン。
「大丈夫、みんな」
「キツカ、博士、それにと……誰だ?」
「今さっき仲間になったぼっくんです!」
「ありがたい!」
攻撃をしたのはキツカ。
ぼっくんとマホツを引き連れて四天王と合流する。
「やっと来た……ってどれも誰もチートを持ってないじゃないですか。そっちの黒髪の男の子は近いものを持っているみたいですけど」
「せやああああ!」
ぼっくんがナイフを構え走り出した。
蛇行しながらニセンに接近していく。
「まあいいや。転生者には変わりないし」
ニセンもそれを見て光の剣を宙に浮かべる。
ぼっくんが攻撃する瞬間に合わせ、キツカとマホツも攻撃を重ねていく。
「フン! ハア!」
「サイキックサンダ―!」
「グレネードランチャー!」
それぞれの必殺技がさく裂する。
爆発による黒煙が舞い上がった。
「やったか……?」
ホームラがその一連の流れを見てそうつぶやいた。
だが―――。
「ハハア! こんなでこピンみたいな攻撃でわたしが傷つくとでも思ってるんですか~?」
黒煙が晴れ、姿を現したニセン。
だが、その体には傷どころか、かすり傷さえもついていなかった。
「ば、ばかな……必殺技が完全に入ったのに……」
膝をつき、絶望の表情を浮かべるホームラと四天王たち。
「チートを持つ私に傷をつけるにはチート級の攻撃力がないと」
ゆびを振り、ちっちっちとニセンが無敵アピールをする。
ぼっくんたちは苦々しい表情になっていった。
ニセンは再び光の剣を構え、ぼっくんたちに襲い掛かる。
何とか3人がかりで対応するが、攻め入る隙を見つけられずにいた。
「何か手はないの!」
「そろそろのはずなんですが……」
「何がです……!」
ぼっくんは時計を気にしながら何かを待っている様子だった。
「シャイニングアックス!」
「があああああ!?」
「うわああああ!?」
「きゃああああ!?」
しかし、ニセンは剣を光の斧に変化させ、それを地面に思い切りたたきつける。
その衝撃で3人は吹き飛ばされていった。
「アハハハハ! これでおしまい!」
さらに両手のひらに光のエネルギーを収束させる。
「エンジェルストライク!!!」
ゴウッ! っと大気を震わせるビームがニセンから発射された。
「まずい!」
その脅威に気付いたキツカが2人をかばうように前に出た。
「バリアを張る! 間に合ッ―――」
キツカが言葉を言い切る前にビームが着弾する。
「……がはっ」
しかし、ビームに当たったのはキツカたちではなかった。
「鴉さん!?」
「大丈夫か……みんな……ごふっ」
すごいスピードで鴉が割り込んだのである。
「鴉さあああああん!!!」
バタリと血を吐き出しながら倒れていく。
キツカは鴉を抱えながら悲痛の声を上げた。
マホツもぼっくんもあまりの出来事に動けずにいた。
「わたしの攻撃を防ぐなんて……なかなかやりますねぇ」
そしてニセンは再度必殺技を撃つため力を溜め終わっていた。
「しっかり! 傷が、深い……!」
マホツが鴉のケガ具合を確かめる。
絶望的なまでのダメージに焦りが生まれていく。
「くそ!」
ぼっくんは2人を背にナイフを構える。
「でも、これでジ・エンドです!」
そして二発目のビームが3人を滅しようと迫る―――。
だが―――。
「させません」
凛として、芯の強そうな女性の声が聞こえた。
気づけば何か巨大なものがニセンの放ったビームを受け止めていた。
「なに!?」
バチバチと衝突していたビームはやがて勢いを失い消えていく。
そして残ったのは青と白にカラーリングされた巨人―――NBだった。
「遅くなったな、お前ら」
女性の声を発したNBから、今度は男性の声が聞こえる。
それを聞いたぼっくんが不敵な笑みを浮かべた。
「まったく、時間厳守でお願いしますよ」
「ついさっきやっとあの世界での役割を終えたんだよ。ま、誤差の範囲だ気にすんな」
ぼっくんは仲良さげな感じでNBの搭乗者と言葉を交わしていた。
それを何が起こったのか分からないというような顔をしながら見ているマホツとキツカ。
「あ、《アー・カイブ》……? 一体、誰が乗って……」
マホツが搭乗者が見つからないことを理由に研究所に置いていた機体だった。
「その人を殺させはしません」
さらに一歩前に出る《アー・カイブ》
「今度は私が守る番です……おっさん」
少し後ろを振り返り、すぐに前を向きなおす。
「この力……お前も預言書の……!」
ここで初めて表情が変わるニセン。
「シャイニングレーザー!」
《アー・カイブ》が手のひらから金色に輝くレーザーを放った。
「っ! エンジェルストライク!」
それを見たニセンがすかさずビームを繰り出した。
「拡散!」
だが、《アー・カイブ》が放ったレーザーが6つに分裂し、方向を変化させニセンのビームとの衝突を避けた。
分裂したレーザーはなおもニセンへと向かっていく。
「なっ」
驚きの声を上げるニセン。
「ぼっちゃんさん!」
「おうよ」
迫りくるビームを防ぐためにバリアを張る《アー・カイブ》
衝突し、衝撃が機体を襲うも、大きな傷はついていない。
「きゃああああ!!!」
対して生身のニセンは超エネルギーのレーザーを受けて体を焼かれていた。
「中々いい機体みてぇだな! この《アーカイブ》ってのは」
「同じ力を持っているとはいえ、このロボットがないと危なかったですね」
何やら気分よさそうな《アー・カイブ》のパイロットたち。
「信じられない……あの機体は《メイガス》以上に複雑なのに……」
「ま、神とその眷属みたいなものですからね」
「ええ……」
複雑な表情でその戦いを見守るマホツ。
「ぐっ……その気配、本当に神か……!」
「まあな。巡り巡って神に戻るなんて因果なもんだぜ」
瞬時に傷を再生させるニセン。
だが、先ほどまでの余裕は見られなかった。
「ぼっちゃん……」
鴉はうつろな目で《アー・カイブ》を見つめていた。
「おっさん、待ってな」
男はそうつぶやき、再び機体をいじり始めた。
「さあ! 《転聖戦争》を始めようじゃねえか!」
高らかにそう宣言し、機体が前に飛んだ。
「調子に乗るなアアア!!!」
ニセンもそれに合わせて体を宙に浮かせて飛び立つ。
板野サーカスみたいにビュンビュン空を翔けながら戦っている。
バチバチとエフェクトが弾けすげえとしか言えない感じだった。
激しい戦いを繰り広げ、ついに地面に急降下し激突した。
「ハアハア……チートも持たないくせに……なまいきな!」
肩で息をしながら、目の前の巨体を睨みあげるニセン。
「お子様に言われたくないですね」
それを一蹴し、機体の操縦桿をいじる女性。
「オールレンジユニット!」
《アー・カイブ》の背部に取り付けられた6機の小型ビーム砲が、独立して飛び立ちニセンを取り囲んでいく。
「360度から攻撃だ! 光のレーザーに焼き焦がされなさい!」
「ガアアアアアあ!? ギャークバーリさまぁあぁぁぁあ!!?」
逃げ場のないレーザーの雨に、ニセンはなすすべなく焼かれていった。
再生をするもそれを追い越す勢いでダメージが蓄積されていく。
やがて一片も残らず幼女が消え去っていった
「勝った……」
誰もが無意識に言葉をこぼす。
「ワーワー!」
「う、宴だぁ~!」
激闘が終わり、勝利したことを知った者たちが歓喜の声を叫び続けた。
迅速に酒盛りへとシフトしていく。
「よっと」
《アー・カイブ》から女性と男性が降りてきた。
「あ、ああ……」
その2人の姿を見た鴉が涙で目をにじませる。
「あの時の返事、今言いますね」
女性―――修道服のようなファッションに身を包んだ少女が鴉へと近づく。
「し、ス……」
そしてキツカから鴉を奪い取り、抱きしめた。
「おっさんのこと……嫌いじゃないですよ!」
笑顔で少女がそう言った。
「っ―――」
鴉は深手を負い、意識もあやふやだったが大つぶの涙をこぼしていた。
「大好きです―――!」
「え」
「え、え~!?」
衝撃の告白を聞いたのを最後に、鴉の意識は沈んでいくのであった。




