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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
LAST NEW WORLD      スーパーイセカイ大戦N《完結編》
116/122

第十二話 全ての人の魂の戦い《後編》

 ちゃんと終わりまでは書きます。


 最近ディアブロⅢやってたんですけど中盤から無双ゲーになったんですが仕様ですか?

 チッカーク帝国、首都。




「怯むな! ここから先に一匹たりとも通すんじゃない!」


「ワーワー!」


 首都の防壁に群がる天使たちと戦うNB。


 王子であるぱっくんも、自ら指揮を執り戦っていた。


 だが、状況は劣勢であり、次々と兵士たちもやられていった。


「僕たち騎士にならない方がよかったんじゃないですか!」


「でもまさかこんなに来るって思わないだろ!」


 見渡す限り、視界を埋め尽くす化け物。

終わりの見えない恐怖に抗いながらイケとガリが天使を切り払っていく。


「泣き言を言ってもはじまらないよ!」 


 そしてもう1人、カワは3人の中でも一番勇猛に突っ込んでいた。


 四天王に《テン・プレ》を託された新人騎士。

イケ、ガリ、カワの3人もNBに乗って初めての実戦ながら天使を何とか倒していく。


「ッ、カワ」


「イケくんもガリくんも私も……四天王さんたちから色んなこと教わったよね! あの人たちが信じた私たちを、諦めちゃだめだよ!」


 普段の彼女を知る2人は、彼女の成長ぶりに驚きを隠せない。


 よわよわしく、泣き言ばかりを言っていた頃の彼女ではなかった。


「カワ……」


「まったく、アイツも変わっちまったな」


 イケの声色はさきほどのまでの焦りを含んだものとは違っていた。

落ち着きを取り戻していく。


「スイ様に似てきましたね」


「正直キツイ女は苦手なんだが……」


「頼もしいかぎりじゃないですか。……同意はしますが」


 四天王と訓練して以来、男として自信を失くしぎみだった2人。

地獄の訓練を思い出し、今の自分に喝を入れなおすために頬を叩く。


「ぅっし! やるか!」


「ええ!」


 その2人の瞳に恐れは無かった。


 そして再びNBを天使の群れに前進させるのであった。







 同時刻、ミカータ王国首都。




「たくっ、何でおれらが知りもしない国のやつらを守らなきゃなんねえんですか?」


 忙しなく手を動かしながらも、愚痴が零れる男―――コードネーム、ナロー3がそう言った。


 緑色の《ツエー》がライフルで天使たちを射抜いていく。


「ナロー3、私語は慎むように」


 それを注意するナロー2。

部隊の副隊長である彼は決まりごとには厳格な男であった。


「まあ、気持ちは分かるが、ここがやられちゃ次はシティになだれ込んでくるってわけだ。それに演習ばっかで意味あんのかって思ってたし、やっと実戦に出られるってもんだぜ」


 しかし、会話に乗ってきた男はナロー1。

シティの特殊部隊ナローズの隊長である。


 ナロー2のため息が通信越しに聞こえてくる。


「隊長は命が惜しくないんですかい?」


「そのために力を手に入れたんだろ?」


「それは、そうです」


「2人とも。どうか戦場に集中してください」


 軽口が続き、口の端をぴくぴくさせながらナロー2が口をはさんだ。


「おっと」


 だが、たしかに天使を次々と倒していく。


 周りを見ればナローズほど敵を倒している者はいなかった。

防御することに精いっぱいの者がほとんどだった。


「しかし、ミカータのNB部隊は何とも頼りないっすね」


「だが、実戦をくぐり抜けてきたやつらもいる。性能にあぐらをかいてる俺たちとは気迫がちげえ」


 ナロー3の王国騎士への評価は低かった。

もちろん自分たちが乗る《ツエー》は彼らが乗る《ムソ―》とは武器や性能に差はあるので仕方がないのだが。


 しかし、ナロー1は彼らの姿勢、勇敢さを褒めたたえる。


「大砲用意!」


「NB部隊のために隙を作るんだ! 急げ!」


 地上を見れば一般兵士たちが生身で天使に立ち向かっていた。

その誰もが恐怖と戦いながら進むことをやめない。


「ああ……確かにあれは俺らには無理だわ」


 これが常に死の恐怖と戦ってきた戦士たちの姿だとナロー3は悟った。


「分かったら死ぬ気でやるぞ!」


「了解!」


 気合を入れなおしたナローズ。


 ライフルの弾を補充しながら狙撃に最適な位置を探っていく。


「とか言いいますが、深紅隊のサッカン隊長と張り合ってるだけでしょう?」


「私語は慎め!」


 ナロー2のツッコミで耳が痛い隊長であった。







 次元城、正門前。


「はあ、はあ、終わったのか……?」


 場を静寂が支配していた。


 無数の戦闘跡が地面、建造物についている。


 天使たちの死体も山のように積み重なっていた。


 焔のホームラが操る《テン・プレ》は片腕を落とされ、もう片方の腕も動きが鈍っていた。

もはやこれ以上の戦闘は無理に等しい。


「兄上……もうこっちは動けそうにない」


「私もですわ……」


「俺もだあ……団長」


 同じように四天王たちが悲鳴を上げていた。


(しかし、地上へ降りてしまったやつらも多い……急いで戻らなければ)


 疲労を押して機体を動かそうとしていると、背後から駆動音が聞こえてくる。


「こちらケイ、全員無事よ!」


「……! ここで来たか!」


 その正体は突入していた仲間―――。


 鴉、キツカ、マホツ、ケイの4人が操るNBである。


「黒幕の1人は倒した。けど……もう1人には逃げられたわ」


 ケイのその報告を聞き、ホームラは胸をなでおろした。


「そうか……話しは後にしよう。今は艦へ」


「ええ」


 とにかく仲間たちにラルカンシェルへの移動を促す。


 だが、《プロトタイプ・ムソ―》ががくんと膝をつく。


「鴉さん……」


「……大丈夫だよ。行こう」


 ホームラは何かあったのだろうと思いつつも、今はとにかく地上が気がかりだった。


 急いでラルカンシェルへと乗り込んでいく。









「状況を説明する……」


 ラルカンシェルへ帰ってきた私たち。


 疲労がすごい四天王を除いた4人で、とりあえずブリッジにいるおやっさんへ話を聞きに来ていた。

キツカと《メイガス》で待機しているときに入ってきた緊急通信についてだ。

相当やばいことになっているはず……。


「まず、地上へ漏れた天使たちは人間たちの住処を襲っている。最悪の状況だ」


 おやっさんがモニターに地図を表示させる。

そこには天使たちの赤いマークが埋め尽くしていた。


「田舎の方の人たちは首都へ避難させたとはいえ……一体どれだけの死者が出てることか」


 自分で言っておいて、私はダメージを受けていた。


 もっと最善な方法があったのではないか。

そう考えずにはいられない。 


「動けそうなのは……サッカンの《ツエー・カスタム》のみ。他は修理が必要だ」


 今も艦の格納庫で傷ついたNBを修理している最中だ。


 その中でも《ツエー・カスタム》は消耗が少なく、もう一度くらいは戦闘が可能だろうとのことだ。


「くそ……!」


 鴉さんは悔しさからか、壁に手を叩きつけている。


 痛いのは赤く腫れた拳か、見ることのできない心か。


「鴉さん、今は休もう」


 そんな鴉さんの肩に優しく手を置くキツカ。


 彼女は彼だけは特別感情を出している。


「でも」


「そうです。それにあなたは無茶な機動をして、体にどんな異常があるかちゃんと検査しないと」


 そしてそれは、今口をはさんだ私もだった。


 彼に会って以来、どこか懐かしいような、とても大切な人がいるような感覚があった。


 だから、特別心配してしまう。


「うん」


 鴉さんは納得してくれたのか、キツカに支えられながら診察室へと歩いて行った。


「それで……どっちへ救援に行くべきなのかしら」


 ケイがおやっさんに尋ねている。


 鴉さんたち帝国の人間がいなくなるのを待っていたのだろう。


 現実的な話をしなければならないからだ。


「帝国には《テン・プレ》があるが、新たに補充した騎士たちは実戦経験が乏しいらしい。王国は型落ちではあるが歴戦の騎士が乗る《ムソー》とナローズが粘っておるが……」


 おやっさんがちらりとこちらの顔色をうかがっている。

何かと気を遣ってもらってばかりで申し訳ない。


「気にしないでください。判断は第三者であるあなたたちに任せます」


 今は私情を置いて世界全体を見て判断しなければならない。

私の言葉を聞いておやっさんが頷いた。


「ラルカンシェルも無事とは言い難い。一度シティに戻って整備する必要もある」


「じゃ、王国で決まりね」


 予想していた答えだった。


「……わかりました。帝国の皆さんには私からお伝えします」


 少しつらいが今すぐ言わなければならない。

特に愛国心の強い四天王たちには。


「あなたも、少しは休みなさい。無理しなくても私が……」


 意外にもケイが私をいたわってくれた。

現実主義者なだけで、きっと根は正義感があって優しい人なのだろう。


 少し心が軽くなった気がした。


「いえ、これは王国の人間である私の役目です」


「……そう」


 けど私はそれを断る。

自分だけ逃げるわけにはいかない。 


 四天王たちがいる部屋へと向かうのであった。








「貴様……何を言っているのか分かっているのか!」


 そして秒で胸ぐらつかまれた。

いたい。


「よせ、エン」


「しかし兄上!」


 ひと悶着あるとは思っていた。

どんな罵倒も甘んじて受けるつもりだ。


 だが、激昂しているエンとは逆に、ホームラは冷静に受け止めていた。

 

「これはもはや世界の問題なのだ」


 尊敬する実の兄に諭され、葛藤している様子のエン。

私から手が離れていく。


「なら、途中で降ろしてもらう!」


 しかし、今度は現実を見ないことを言い出した。


「ちょ、待てよ! NBも動かないのに行ったって……」


「国が焼かれるのを黙って見ていろというのか!」


「それは……」


 エンの言葉は火のカにも効いていた。

 

 四天王たちも口に出さずとも内心は悔しい思いをしているに違いないのだ。


 部屋がお暗い雰囲気に包まれる。


 そんな時、そっとエンの肩に手を置くホームラ。


「殿下を……我が国の人間たちを信じるしかあるまい」


「兄上……」


 その言葉を聞き、やっと落ち着きを見せるエン。


「要件はそれだけです。では……」


 私はいたたまれなくなり、さっさと外へ出ようとする。


「……必要以上に気に病む必要はありませんわよ」


「スイさん」


 横を通り過ぎようとすると、スイさんがそうつぶやいた。


「スリースターズ……あの子たちはそう簡単には折れませんわ」


 この状況で王国の人間である私を気遣うその姿は、とても気高く強く見えた。


「失礼、します」


 私はこみ上がる気持ちをぐっと抑え、部屋の外へと出る。


「……頑張れ私」


 涙が零れそうになるのを必死に抑える。


 とりあえず鴉さんの様子を見に診察室へと向かうのであった。









 チッカーク帝国、首都。





「ガウウウウ!」


「ぐわああああ!?」


「助けてー!」


 帝国では未だ無数の天使との戦闘が続いていた。

街に天使が侵入し、それを食い止めようと一般兵士も奔走している。


 だが、あっけなくその命を散らしていた。 


「ガウガウ!」


「がぁ!?」



 《テン・プレ》に乗るガリの悲鳴がとどろく。

狼型天使に突進され、機体が吹っ飛ばされていった。


「くっ、ガリ!」


 それを見てイケが機体をそっちに進ませる。


「せやあああああ!!!」


「ギャウ!?」


 ブーストジャンプで飛翔し、上段切りで沈黙させる。 


「大丈夫か!」


「ええ……なんとか」


 お互い見れば機体はボロボロ。

装甲には無数の傷がついていた。


「もう燃料が残り少ないですね」


「だな……俺らもここで終わりか」


 絶望的な状況の中、冷静に状況を判断する2人。


 次から次へと天使が湧いてきていた。


「善戦したほうだよな」


「訓練してまだ一週間ほどですよ。もう十分すぎるでしょう」


 一般天使が触手を2人に伸ばす。


 だが、それを途中で切り落とすモノが現れた。


「2人とも! 大丈夫!?」


 3人の中で一番駆けまわっているカワだった。


「カワ、そっちは……」


「右腕がやられちゃった。燃料ももう……」


 見ればカワの機体には片腕が無かった。


 満身創痍の3人の周りには無数の天使が囲んでいる。


「あたしたち、いつも3人だったね」


「ええ。運がいいというか、悪いというか」


「けど、楽しかっただろ?」


 他愛のない話をする3人。

その誰もがこれから死に直面する者の顔をしていない。


「うん」


「ええ」


 昔を懐かしむ3人。

今までの記憶が思い出されていく。


「そういえば……もう1人くらいいたような」


「えっ」


「何それ怖い」


 






「よし、遺書は書いたか!」


「書いたよ!」


「でかした!」


 もはや彼らの顔に曇りは無かった。


「行くぞオオオオオ!!!」


「ワーワー!」


 雄たけびを上げながら機体を突撃させる。


「ドラアアアア!」


「ぐやああああ!!?」


「イケくーん!」


 だが、圧倒的物量の前に吹き飛ばされて行ってしまった。


 もはや打つ手なし―――そう誰もが思った時だった。








「やれやれ……見てられないな」


「ガッ」


「ドラッ」


 一筋の閃光が天使を切り裂いた。


 コアを砕かれた天使は爆散していく。


「……え?」


 死を覚悟して目を閉じていたイケが、目の前の光景を見て驚く。


「天使が……やられてる?」


「一体何が……」


 天使がいたところに、誰かが立っていた。

黒いコートに身を包み、剣を持っている。


 年は恐らく3人と一緒くらいだろうか。


「助けに来てやったぞ」


「え……」


 生身で、そういう少年の後ろに蛇型天使が忍び寄る。

 

「キシャアアア!」


「あ、危ない!」


「ハァ!」


 だが、瞬時にジャンプし、視認できないほどの速さで剣を振るう。

すると蛇型天使は両断された。


「なっ、生身で天使を切りやがった……!」


 イケは信じられないモノを見たように驚く。


 カワとガリも口をぽかんと開けてそれを見つめていた。


「何者なんでしょうか」


 ガリの中で疑問が湧き上がる。

だが、どこか安心するような気もしていた。


「きっと味方だよ!」


 カワも似たように思ったのか、笑顔でそういった。


「無双……アタック!!!」


 現れた少年は天使の群れに単身突っ込んでいった。

流れが変わっていくのを感じる3人であった。





 ミカータ王国、首都。


「ちっ、いつまで戦えばいいんだ!」


 天使たちの猛攻が続いていた。

総力戦になり、兵士だけでなく民間人も戦い出る始末になった。


 だが、その誰もが諦めることをしない。


 ケガ人がいれば助け、武器を持つ者は勇敢に立ち向かう。


 そんなものを見せられれば、これ以上の弱音は吐けないでいたナロー3。


「ナロー3! 後ろだ!」


 ナロー1の声が聞こえる。

その時には一歩遅かった。


 背後に上空を飛んでいた鳥型天使が急降下していたのだ。


「しまっ―――」


 振り返る間もなくやられるのを確信する。


 だが―――。






「……?」


 襲ってくるはずの衝撃が無く、戸惑うナロー3。


 モニターにはナローズ以外のNB反応が近くに見えた。


 後ろを見れば紅い《ムソ―》がクロスボウを構えていた。


 どうやら自分は助けられたらしいことに気付く。


「腕、落ちたんじゃないですか? 先輩」


 呆ける彼に、通信が入った。

出どころは紅い《ムソ―》からであった。


「誰、だ……?」


 親しげに自分を呼ぶ誰か。

しかしナロー3の中で複雑な感情が渦巻く。 


「元傭兵ですよ」


 そう言い、《ムソ―》はクロスボウの弾を装填しなおす。


 すると上空を飛ぶ鳥型天使に向けて放つ。


 だいぶ距離を離れているはずなのに、コアへと命中。

天使は爆散していく。


「……なんて射撃精度だよ」


 乾いた笑いが零れる。

胸の中で何かが溢れてきた。


「よくわかりませんが……いい流れでは?」


「ああ。おい、そこの紅いの! 円陣を組め!」


 その一連の動作を見ていた隊員たちが《ムソ―》へと話しかける。


「了解!」


 それに答えた《ムソ―》が素早く3人の元へ駆けつける。

背中合わせに天使と対峙する。


「頼りにしてますよ。ナロー3」


「なっ、なめんなよ新参が!」


 馴れ馴れしく話しかけてくる少年に、何故か強く信頼を置くナローズ。


 やがて無双が始まり、天使の数も減少した。

ついに終わりが見えてくるのであった。


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