第九話 敵との対峙《前編》
ななついろ☆ドロップスのアニメを見ていると、浄化されていくのと同時にいかに自分が汚れているのかわかります。
最近ああいう純な乙女チックアニメ(エロゲ原作)ないですよね。朝やってそうな(深夜アニメ)。
漫画版はすももちゃんの視点も見れて最高に乙女チックだぜ! やったぜフラン!(無関係)
「これで最後!」
「グワアア!?」
地上に戻って来てから数日。
帝国に比べれば天使の襲撃が少ないものの、連日戦闘が続いていた。
今日も今日とて殲滅し、遺跡のキャンプへと戻ってきた。
「いやあ、楽勝でしたね」
「うん」
マホツも研究者の身でありながら、機体の調整のために同乗してくれている。
遺跡に入るとぱっくんとケイが出迎えてくれた。
そしてフリートークの流れになる。
やがてNBについての話題になっていった。
「流石、《メイガス》は古代のNBですね。《ムソ―》とは段違いの性能です」
「んー、あれもあれでいい機体なんだよ?」
「どこがですか。原型となったNBの劣化品でしかないのに」
煽り合い宇宙が展開されていく。
「使いやすくしたと言って欲しいな」
「使いやすくしたぁ? フッ」
議論はますますヒートアップ。
さすがにめんどくさくなってきた。
「うっさい」
私はいやになったので二人から離れた場所に座る。
「マホツのNB愛も困ったものね」
「ケイ」
するとケイが私の横にやってくる。
ここ最近、彼女と話をすることも増えた。
「地上には慣れた?」
「ええ。特に太陽があるっていいわね。人口の明かりじゃあ人を本当の意味で照らせないって知ったわ」
「私はどっちかと言うとシティの方があってるかも」
「隣の芝生は青く見えるってやつね」
「ふふっ」
他愛のない話でもなんだか楽しく感じる。
そしてまたもNBの話題になっていった。
しかたない。
「ケイの《ツエー》はちょっと変わってるね」
「《ツエー》は遠距離戦特化の機体でね。ヘッドにスコープがついているから狙撃ならこれ以上の機体はないわ」
NBの収容スペースに置いてある《ツエー》を見上げる。
ごつごつとした頭部パーツが特徴的な機体だった。
「狙撃……あのライフルってやつ?」
「そう。まあ、あれもある意味では黒い歴史としてしまっておいた方がいいのかもだけど……これからの戦いには必要な力だから」
ケイは表情を曇らせながらも、機体についての説明を続けてくれたのだった。
「マホツ博士! 来てください」
今日も遺跡の奥では発掘が続いていた。
作業員が慌ただしく行き交っている。
「どうしました?」
「あれを……」
何かを見つけたらしい作業員がマホツを案内する。
すると、そこにはNBに頭部らしきものが埋まっていた。
「おお、本当にNBがあった!」
ぱっくんや私も、本当に古代のNBが埋まっていたことに心底驚いていた。
「傷をつけないで! ゆっくりと掘り起こしてください!」
テンションが上がり、指示を出す声にも熱が入っていくマホツ。
ゆっくり時間をかけて全体を掘り出していく。
「これが古代のNB?」
土で汚れていて全体のシルエットしか分からない。
背中には特徴的な翼のようなものがついていた。
「文献によれば名称は《アー・カイブ》 これもブックマーク・ドライブを搭載した機体のようですね」
「ブックマーク・ドライブ!?」
マホツが説明し終えると、ケイが驚きの声を上げていた。
「前も言っていたけど、なんなのそれ?」
私はマホツもブックマーク・ドライブについて何度か話していたことを思い出した。
「詳しくはわかっていないの。ただ、普通のドライブよりも数倍の出力を生み出すことができるってことしか」
そんな貴重な代物なのか。
マホツが夢中になるわけだ。
「伝説によれば人のつながりを力に変えると言われているわ」
「人のつながり?」
なんだろうか。
それは兵器にしてはなんだか……。
「ロマンチックよね」
「うん」
ケイも同じように思っていたらしい。
すると、マホツが首を振っている。
「どこからか送られてくるエネルギーの力で半永久的に電源が切れないんですよ。謎も多いですが今の世界には大きな力になります」
研究者としては伝説よりデータなのだろう。
しかし有用な代物なのは確定のようだ。
「動くの?」
「どうでしょうか。完全なメンテナンスはここではやりにくいので、首都に持って帰って詳しく調べる必要がありますね」
ホッとする。
背伸びをしながら今までの暮らしを思い出す。
正直、しんどかったのでやわらかいベッドで眠りたいものだ。
「私の連れてきた技術班も力になるわ」
「たすかる」
「ふう、じゃあここでの生活もようやく終わりか」
ぱっくんも王子のくせしてようやった。
「じゃあ行きましょうか。首都へ」
そう言ってNBを運び出す準備を進めるのであった。
ミカータ王国、首都。
「ここが王国の首都……」
「帝国よりなんか……趣があるね」
街の中は、帝国にあったインフラの類が見当たらない。
実用的と言うより景観重視みたいな感じだ。
「王国は帝国に比べて機械が少ないですから」
お国柄というやつだろうか。
そういえば帝国は古代から技術が他の国より進んでいたという。
「よいしょ」
そうして街はずれにあるでかい施設へとやってきた。
そこにNBを運んでいく。
「さて、私はしばらく研究所に籠ります。みなさんはどうしますか?」
疲れているだろうに、そんな様子を一切見せずに仕事を続けるらしい。
「僕は派遣部隊の責任者だからね。NBも無事掘り出せたし、遺跡に駐屯している部隊を連れて本国に戻ろうと思う」
ぱっくんも仕事が終わってようやく肩のにが降りたのか、少々疲れた顔をしていた。
するとマホツがあっと言ってぱっくんに近づく。
「そういえば頼んでいた《ムソ―》の件は?」
「3機ほど用意できるそうだよ」
「3機……まあ現状では仕方ありませんね」
仕事の話しのようだ。
「どういうこと?」
「ミカータにはNBが無い。比較的王国は天使の襲撃が少ないからね。貸し与えていたNBで何とかしてもらってたんだけど……」
「補給やらなんやらが自国でできるようになるまではもう少し時間がかかりそうで」
確かにこの国は遺跡こそあれど、その技術を使ってどうこうとはしてこなかったのだろう。
たぶん。
「大変そうね」
そうこうしている中、ケイは無関心だとい言わんばかりにそういった。
「他人事みたいに言わないでください」
気持ちを考えない物言いに少しむっとするマホツ。
「だからこうやって人手を連れてきてあげたんでしょ?」
「それはそうでしょうが」
「ケンカしないで」
めずらしくガチで言い争っている2人。
私も思わず止めに入る。
するとぱっくんがパンパンと大きく手を叩いて注目を集める。
言い争っていた2人も沈黙する。
「キツカ。ケイを誘って街でも見物して来たら?」
何を言いだすかと思えば、唐突にもほどがある。
「そんな悠長にしてる場合?」
「そうは言ってもここ数日ろくに休んでないだろう? いざという時ちゃんと動けるようにリラックスることも大事さ」
それは一理あった。
色々あってフラストレーションが溜まっているのも確かなのだ。
「……わかった」
若干勢いに押された感があるが、私はそれを受け入れることにする。
「ケイ」
「はいはい」
私はケイを連れて外へと出る。
一度頭を冷やせばきっと大丈夫だろうと信じて。
残されたぱっくんとマホツが話をしていた。
「それで……ブックマークドライブの詳細は?」
「《メイガス》と違ってリミッターの類がついていませんから、色々とわかってきました」
「ほう」
「まだ完全ではありませんが……恐ろしいくらいですよ。人の手に余る代物かもしれません」
マホツは掘り出したNBのコックピットで機械を操作しながら、ぱっくんの質問に答える。
「君がそんな風に言うなんてね」
「わたしだって人間ですよ」
「失礼、レディ」
畏まって一礼をするぱっくん。
そしてそれに目もくれないマホツ。
「我々で製造できるものかい?」
「使われている素材が全く未知のものです。今のところはちょっと……」
「やれやれ……楽ができそうなのはもうちょっと先か」
はあっとため息をつき、ぱっくんもその場で指揮を執る。
研究所はこれまた忙しくなっていった。
「……」
「……」
それなりに多くの人で賑わっている通りを歩きながら、お互い無言だった。
こういう時、どうすればいいのか私にはよくわからない。
すると、ケイが一瞬立ち止まり、こっちを向いた。
「はあ……ごめんなさいね。気を遣わせて」
自分がやったことを省みているのか、申し訳なさそうな顔で謝ってきた。
「……ううん。でも、ケイってもう少しかしこくする人なのかもって思ってたから」
「そうね。普段の私ならね。焦っているの、私」
「そりゃあ、そうでしょ」
ケイも悩みが多いのか、愚痴をこぼす。
そしてちょうどいいベンチがあったので、私たちはそこに腰を下ろした。
「ここ、賑やかね」
「うん。帝国と比べると明るい」
人々が行き交う街を見つめながらそう思った。
帝国はすむ場所にも困っている人たちがいたが、ここではそんな人たちは見当たらない。
平和そうな日常があった。
「きっと、マホツもこの風景を守りたくて必死なんだと思う」
なんとはなしに、そう思った。
彼女も根っこは優しい人なのだから。
「そうね。みんな同じなのよね」
ケイも考えを改めたのか、優しい顔に戻っていく。
「キツカも守りたいものがあるの?」
不意に、そんなことを聞いてきた。
そう言われて思い浮かぶ、中年の男。
「……うん」
「そう。なら、踏ん張らないとね」
お互い、守りたいものがあって、そのために協力している。
だからこそ、理解し、信じあうことが必要なのだと私は思った。
チッカーク帝国、首都。
「《テン・プレ》、やっとテストが終わりましたわね」
「ああ。アレが量産されれば戦況は一気に逆転する」
四天王である炎のエン、水のスイ、火のカが、《テン・プレ》を見上げながら感慨深そうにそう話していた。
「騎士たちの練度も上がってきている。少数でもより遠くの地まで配備できれば、村々に住む者たちも守れるはずだ」
そう語る炎のエンの顔は、長年のつかえがとれたような晴れた顔をしている。
「そういえば団長は?」
きょろきょろとあたりを見渡す火のカが、不思議そうに上司の姿を探す。
「兄上なら全治3カ月の大怪我だそうだ」
「ええ……」
最近そんなのばっかだなと、火のカがつぶやく。
そうしていると、3人の視線は自然と《テン・プレ》のよこにある《プロトタイプ・ムソ―》へと移った。
「結局《プロトタイプ・ムソ―》は鴉さんが使うことになったんですの?」
「ああ。倉庫に仕舞っておくにはもったいないし、何よりあいつの規格外の耐久力。今後の大きな武器になるだろう」
ここにいる誰もが使いこなせなかった機体を扱って見せた事実が、鴉への信頼に変わる。
「鴉か」
火のカはその人物を思い出していた。
「なんか空を目指すとか大層なこと言ってたぜ」
「空か。天使がどうやって、どこから来るのか、それすら人類はわかっていないのだったな」
「戦っていれば勝てる。そう単純な問題でもないのですわね」
終わりの見えない戦いに、3人の悩みが尽きることは無かった。
「ホームラ、大丈夫か?」
「最近いいところなくてへこんでおる」
「元気出せよ! 戦争はすぐにまた始まるって!」
「やめろォ!?」
俺は大怪我をしたホームラの病室に来ていた。
お見舞い返しと言うやつだ。
「そうだ。報告書は読んだか?」
そんな状態になっても、仕事が気になっているようだ。
とんだ社畜根性だ。
「ああ。また新しいNBを発掘したって」
「これでひとまず出張は終わったことになる。後始末を終え次第、こっちに戻ってくるだろう」
向こうで頑張っているキツカちゃん。
お互い苦労している感じだった。
「なんだか久しぶりに顔を合わせる気がするよ」
「キツカを大事にしろ。あれはいい娘だ」
冗談っぽく、苦笑しながらそんなことを言ってくる。
「? ああわかってるよ」
「ならいい」
俺が意識を失っている間に交流でもあったのだろうか。
俺は首をかしげながらお茶をずずずとすすった。
そんな時だった。
最近聞き慣れた轟音が耳をつらぬいたのは。
俺はもっていた湯呑みが大きく揺れて中身が顔にかかる。
熱いよ。
「な、なんだ!?」
俺は状況を知るために外へ出た。
すると一般兵士が俺の元へやってくる。
「大変です! 謎のNBが街を襲っています!!!」
「NBが!? 嘘だろ!」
思ってもいなかった情報に俺は戦慄するしかなかった。
「フハハハ! 消えろ!」
「うわああああ!?」
「助けてええええ!?」
突然街を襲ったのは、金色の天使と言うべき姿をした巨人だった。
手のひらからビームを放ち、街を炎の海へと変えていく。
「どうしてNBが!」
騎士団の拠点では四天王たちが戦闘準備を進めていた。
「もしやキツカたちを襲ったという……!」
「敵の黒幕かよ!」
それぞれ戦闘服に身を包み、コックピットへと搭乗していく。
「《テン・プレ》出るぞ!」
「《ムソー》炎のエン出る!」
「《ムソ―》水のスイ出ますわ!」
一斉に現場に駆け付ける四天王。
あたり一面に炎が広がっているのを見て、唖然とする一同。
「フン、雑魚がぞろぞろと」
街を破壊するのをやめ、3人に向き直す黄金のNB。
「てめぇ、何者だ!」
火のカが問う。
「名乗ったところでどうなる? お前たちはここで消えるのだからな」
だが、質問に答える気もないのか、そう言って構えている敵NB。
「ほざくな!」
エンとスイは《ムソ―》を敵のサイドにつっこませる。
火のカは正面から突撃していた。
「3方向からの同時攻撃だ! 回避などできはしまい!」
3人の息の合った連携攻撃が黄金のNBを囲んだ。
「回避だと? ふざけるな!」
だが、それを寄せ付けないほどの衝撃波がNBの全身から解き放たれる。
「ぐわあああああ!?」
「きゃあああああ!?」
性能で大きく劣るエンとスイの《ムソ―》が衝撃に耐えられず吹き飛ばされる。
「エン! スイ!」
何とか踏ん張った火のカだったが、圧倒的な威圧感の前にしり込みしていた。
とっさにサブ武器のクロスボウを構える。
「私の《フロウ・チャート》は貴様たちのポンコツとは違うのだ!」
黄金のNBが天使のような翼―――。背部につけられたスラスターを大きく展開させ、猛スピードで迫ってくる。
ジグザグと軌道を読ませない動きのせいで火のカは狙いをつけられずにいた。
「くそ、NBの動きなのかあれが!」
自分たちの操るNBとは次元の違う動きに翻弄されていく。
「はあああああ!!!」
「やばっ―――」
高速で駆ける敵に、放ったクロスボウの一射が外れていった。
首を取られた。
目の前に現れた敵の姿を見てそう思った火のカだったが―――。
「ぬっ……!」
キィンという鉄と鉄が打ち合う音が響いた。
《テン・プレ》を斬り裂こうとした手刀は、鴉の《プロトタイプ・ムソ―》による剣戟によって防がれたのだ。
「鴉、遅いぞ!」
「すまない!」
火のカをかばうように前に立つ鴉。
「貴様か……上級NAを倒したのは!」
すると、その姿を見た黄金のNBが吠えた。
そしてさらに闘気を増していく。
「NA? それが天使の名か!」
鴉は迎撃するために剣を構える。
「消えろ! イレギュラー!」
だが、敵の憎悪を含んだ物言いに、気持ちの強さで押されていく。
「くっ」
とてつもないプレッシャーと力が鴉を襲う。
燃えさかる戦場で戦いは続いていくのであった。




