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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
LAST NEW WORLD      スーパーイセカイ大戦N《完結編》
109/122

第八話 ツァラトゥストラはかく語りき

 今思うとロックマンエグゼってあの時代によく思いついたなと思いました。

電脳世界だったりナビだったり、バトルチップだったり、画期的でしたよね。

ゲームはGCのとGBAのナンバリングは全部遊んでました。

2のプリズムにフォレストボムは禁断の技。

 アニメはアクセスが好きでしたね……ダークチップ中毒は子供向けアニメでよくやれたなって感じで。 

でもOPはストリームが一番好きです。

「天使が攻めてきたぞ!!!!!!!」


「何だってええええええ!!!!!!!」


「うわああああああ!!!?」


「しかも今回は強い!!!!!!!!」


「今回も!!!!!」


 帝国に現れた新たな天使。

それはこれまでにない強敵だった!!!!!!


「我も《ムソー》で出る!」


「そんな! 片腕の修理がまだ終わってませんよ!」


「そんなものは勇気で補えばいい!!!」


「団長!」


 整備員の制止を振り払い、修理が完全ではない《ムソー》にホームラが乗り込む。


「ホームラ、出るぞ!」


 格納庫から深紅の《ムソー》が出撃する。


 城壁の外へ出たところで狼型の天使が待ち伏せしていた。


「な、待ちぶっ―――!?」


「ガウガウ!」


「うぎゃあああああ!?」


「ホームラアアアアア!?」


 圧倒的なスピードでばらばらにされていく深紅の《ムソー》


「そ、そんな四天王最強にして騎士団の頂点に立つ焔のホームラ様が……」


「ばかな……強すぎる」


 出落ちしたホームラの撃墜に味方の指揮がみるみる下がっていくのがわかった。


「くっそ、出せるNBはもうないのか!」


 ガン! とかべを叩くしかない火のカ。


「そ、それが……残りは城の警備に回していて……」


 もはや倉庫には特別な2体を除いて1機もNBが無かった。


「ちっ! なら《テン・プレ》を出す!」


「な、危険です! 機動力が向上した分パイロットにかかる負荷も相当なものになっているんですよ! 実戦を想定した細かい調整がまだ……!」


 これまた整備士の制止を振り切り、火のカは《テン・プレ》のコックピットへと乗り込んでいく。


「それを実戦でやりゃあいいんだろうが!」


 怒声を出しながら着々と機体に火を入れていく。


「火のカ。《テン・プレ》出るからな!!!」


 格納庫から発進する灰色のNB。

ブーストを吹かして城壁の外へと躍り出る。


「くっ……!」


 テストの時とは段違いの速度が火のカを襲う。

リミッターを外した《テン・プレ》の機動力は、激しい戦闘に慣れている火のカさえも苦しげな声が漏れるほどだった。



「グルルルルル……」


 狼型天使がうなり声を上げていた。

機械のような、それでいて生き物のような動きをする敵に言いようのない忌避感を対峙するものに感じさせる。


「こなくそが!!!」


「ガウゥ!」


 ロングソードで切りかかる火のカであったが、本物の狼のような俊敏さに翻弄されて中々ヒットしない。


「カ! 1人で先行しすぎだ!」


「私たちと連携を!」


 そこに小型の天使を相手にしていた同じ四天王のエンとスイが駆けつける。


「《ムソー》じゃダメだ! お前らは負傷者の救助を!」


 だが、火のカは2人を止めたのであった。


 そして再び1人敵に突撃していった。






 俺は落とされたホームラのもとへ駆けつけた。

コックピットから放り出されたホームラが苦しげに地面をはいずっていた。


「ホームラ! 生きているか!」


「ああ、なんとかな……」


 俺はホームラを抱え起こすと、安全な場所へと移動する。


「どうする? 火のカだけでは……」


「そうだな……すでに六機やられた。残っている戦力は……スイとエンか」


 その道すがら今後の作戦を立てようとするが、使える戦力があまりにも少ない。

良い作戦も思いつくはずが無かった。


「2人は今は落ちた機体からパイロットを救助しているらしい!」


 俺はさっき聞いた情報を話す。


「くっ。だがあのスピードには《ムソー》ではついていけないか……」


 現状、あの狼型天使とまともに戦えるのは、新型である《テン・プレ》に乗っている火のカだけであった。

万事休すか……。


「……1つだけ手がある」


 だが、ホームラがそうつぶやく。


「何だって!」


 俺にはどんな手も思い浮かばなかった。

その一手とは……?


「《プロトタイプ・ムソー》」


「……なんだよそれは?」


 今まで聞いたことのない名称に俺は首をかしげる。


「《ムソー》の元となったNBだ。遺跡で発見された設計図から作ってはみたものの、そのパイロットを考えない性能に戦闘では全く使えないので封印していたのだが……」


 そんなものが帝国にあったのか。


「ならそれを使おう」


「しかし……人間に耐えられる負荷ではないぞ!」


 ホームラが止めるほどだ。

恐らく騎士団のだれも満足に動かせなかったのだろう。


 だが……俺は不可能を可能にする男。


「奇跡を見せてやろうじゃないか」


 俺はニッと笑ってみせると、あっけにとられた表情になるホームラ。


「鴉……」


 俺はホームラを抱えて格納庫を目指した。







「出撃準備できました!」


「ご苦労」


 封印されてた《プロトタイプ・ムソ―》を引っ張り出し、急ピッチで支度をさせた。

俺はさっそくコックピットへ乗り込む。


 操縦系は《ムソ―》とさして変わらない。

何とか動かせそうだ。


「気休めかもしれませんが、あなたならやれますよ」


「ふっ、簡単に言ってくれる」


 準備が整い、整備員が去り際にエールを送ってくれた。


「鴉《プロトタイプ・ムソ―》出る!」


 俺は格納庫の外へ出て、ブーストジャンプで一気に敵の元まで飛んでいく。






「ぐぅ……! 殺人的な加速だ!」


 脅威的なスピードを叩きだす《プロトタイプ・ムソー》

しかし、その代償に体のあちこちが悲鳴を上げていた。


 普段の数倍のGに体が軋んでいく。



「聞こえるか、鴉」


 炎のエンが通信をつないでくる。


「俺もそれに乗ったことがあるが、《ムソ―》とは比べ物にならないほどの速度と旋回性能をそれは持っている」


 どうやら経験者が語ってくれるらしい。


「だが、それゆえにパイロットの体力の消耗も激しい」


「なるほど」


「全速力はここぞという時にだけにしろ」


 今触っているだけでもわかった。

この機体はパイロットを殺すマシーンだと。


「つまり……」


「つまりブーストを使ったダイブは厳禁ということ」


 水のスイよ、と急に通信に割り込んできた彼女。

彼女の言う通り三次元的な戦闘は控えた方がよさそうだ。





「天使は……いた!」


 そして敵の姿をカメラがとらえた。

そこでは灰色の《テン・プレ》が激しい戦闘を繰り広げている。


「《テン・プレ》はここまでGがかかるのか!」


 火のカが叫ぶ。


 新型の性能は《ムソ―》を大きく上回っていた。


「ガウッ!」


 狼型天使の攻撃をさっとかわしている。


「かわせるが……攻撃が当たらんのだ!」


 しかし、そこからの追撃ができず、歯がゆい思いをしていそうだ。


「火のカ! 援護する!」


「鴉か!」


 俺は空中から牽制としてクロスボウを撃つ。

射出されたボルトは狼型天使に飛んでいく。


 それは簡単に回避されてしまった。


「隙ができたな!」


 だが、そこに火のカ動かす灰色の《テン・プレ》がロングソードによる上段切りを叩き込む。


「グゥ……!」


 ここで初めてのダメージを与えることに成功した。


「やったか!?」


「やったか!?」


「ガウッ!」


 ダメだったようだ。


「ちっ、傷は浅いか」


「だが、突破口は見えた」


「だな」


 横に並び、剣を構える2人。

久しぶりの戦場の空気だった。






「兄上! パイロットの救助は完了した。俺たちも……」


「待機だ」


「何……!」


 破壊された《ムソ―》から騎士たちを助け、安全なところへ運んだスイとエン。


 敵と戦っている仲間に加勢に行こうとするエン。

しかし、それを兄であり上司でもあるホームラに止められる。


「スペックの劣る《ムソー》では足手まといだ。あとは2人に任せるしかない」


 ホームラの言葉はエンも理解はしていた。

だが、想像以上に悔しさが増していく。


「ちっ、数はこっちが上なのによ……!」


「歯がゆいですわね」


 何もできず、仲間が傷ついていくのを見ているしかない3人。


 それでも、他にできることをやるしかなかった。


「いつこっちに来るかわからん。城壁の守りを怠るなよ」


「了解」


 3人は祈りながら戦いを見守っていた。








「もらったぁ!」


 戦闘は激化し、ようやく俺たちも新しい機体に慣れ始めていた。


 火のカがタイミングよく剣を天使の背中にヒットさせる。


「なっ、剣が折れ……!」


「ガルルルウ!!!」


「がああああ!?」


「火のカ!」


 だが、《テン・プレ》のロングソードが折れ、それに気を取られた瞬間敵に一撃をもらってしまった。


 火のカはブーストを吹かせて、何とか俺の横にやってきた。


「あいつ……急に堅くなりやがった」


「他に武器は」


「ねえ」


「……なら!」


 どうやら有効打になりそうな武装はないらしい。

そうなってしまえばあとはもう拳しかない。


「正気か!? NBで格闘戦なんて!」


「コアさえ破壊できれ―――な!」


 俺は天使の懐に一気に飛び込んだ。


 そしてパンチをめり込ませる。


「ガウウウ!」


 吹っ飛ばされていく狼型天使。

だが、俺の目論見があっけなく破られてしまった。


「お、おかしい! コアがどこにもない!」


「なに!」


 天使にはコアと言う弱点がこれまでにはあった。


 ありそうな場所、口、背中、お尻、腹。


 その全てを探したがそれっぽいところが無かった。


「ガルルル!」


「うがああああ!?」


 動揺した俺に狼が反撃してくる。

機体を大きく吹き飛ばされてしまった。


「む、無敵だ!? こいつは弱点が無い!」


「実力でねじ伏せるしかねえのかよ!」


 お次は火のカに向かって走る天使。


『カ! 12番のスロットを!』


 だが、そこに通信が入った。


「なに……? ビームセスタス……これか!」


 火のカは機械を操作すると、《テン・プレ》の拳から何かが展開されていく。


 それはまるで光のトゲトゲだった。


 そして迫る天使の攻撃を回避し、すかさずパンチを入れる《テン・プレ》


「ガアアアアア!?」


「効いてるぞ!」


 堅くなった天使の装甲をつらぬくダメージを秘めていた。

まだ可能性はゼロじゃない。


「よし! 俺も行くぜ」


 俺は落ちていたロングソードを回収し、二刀になる。


 つまり火力も2倍ということだ(ロイド理論)


「ゼェア!」


「ウガアア!?」


 じりじりと、けれど確かにダメージを蓄積させていく。

終わりの見えない戦いだ。


 だが、ここで終わるわけにはいかない。


 狼型天使のスピードについて行くには、激しいブーストの消費が必然だった。


 燃料が底をつくまでには決着がついてほしいところだ。


 だが―――。




「ガウウウウ!!!」


「な、なんだ!」


 突然狼型天使が咆哮を繰り出した。

耳をつんざくような音と衝撃波が広がっていく。


 すると、天使のカラーリングが真っ赤に変わっていき、淡い光を体にまとわせていた。


 そして―――。


「なっ」


 突然、目の前から姿が消えた。


「いや! 違う!」


 俺はその時、とてつもないプレッシャーを後ろから感じて機体を上昇させた。


「ガウ!」


 視認できないほどのスピードで背後を取られていた。


 なんとか必殺であった一撃は回避に成功する。


「鴉!」


 火のカが俺を援護しようとブーストを吹かす。


「ちっ! 追いつけねえ……!」


 だが、文字通りの意味でウサギと亀のようにその差が明らかだった。


「くっ……」


 《テン・プレ》でも追いつけないほどのスピード。


 もはや一撃攻撃を入れるだけでも至難の業だった。


 もはや勝てないのか―――。








『いえ……自分を信じてください』


「……?」


『忘れないで―――あなたが本気を出せばどんな相手も倒せるということを―――』


 突然誰かの声が聞こえた気がした。

一瞬の出来事で聞き間違いだと思うが……なぜか先ほどまで感じていた焦燥感が消えていた。


 そうだ……俺はこの世界で目覚めて記憶を失っていた。


 一体何をしていたのか、どうして戦う力を持っているのか、それさえも思い出せない。


 だから逆に、俺にはあいつを倒せるような力も本当は持っているのかもしれないということだ。


 そうだ……恐れるな。


 《プロトタイプ・ムソ―》は接近戦に強く調整されている。


 奴が俺に仕掛けるより先に剣を抜けたなら……。


 心眼―――。


 心の眼で相手を見るんだ。


 俺は目を閉じた。


 視認するより早く。


 感じるより早く。


 ただ、絶対に斬れると信じて。


 明鏡止水。


「そこだああああああ!!!」


「ガウッ!?」


《プロトタイプ・ムソ―》が剣を振るうと、その斬撃は天使へと直撃する。


 そしてあのスピードは消えさり、衝撃でゴロゴロと転がっていく。  


「火のカァアァァl!!!」


「おうよ!!!」


 動きが止まった天使に俺たちは急所っぽいところに攻撃をクリティカルヒットさせる!!!


「グアアアア……」


 そして狼型天使は沈黙した。








「危なかったな」


「ああ」


 なんとか敵を倒した俺たちだったが、精神も体もボロボロ。

後の処理をホームラ達に任せて病院で傷の手当てを受けていた。


「しかし、《プロトタイプ・ムソ―》か……あれを動かせるやつがいるなんてな」


「君こそ、新型良い調子だったじゃないか」


「まあな」


 褒められているのに浮かない顔をしている火のカ。


「だが……あの天使の強さ。もう、人間がどうこうできるレベルなのか……?」


 顔がどんどん下を向いて行った。


「今日だけでNBを6機も失った。《テン・プレ》も量産が間に合うかどうか……」


 いつになく覇気がない火のカ。

そんな姿は初めてだった。




「敵の元を叩くしかないね」


 だからだろうか。

俺はがらにもなく、大きく出るようなことを言ってしまった。


「元……?」


 そして調子に乗ってしまったのか、俺はなおも言葉を続ける。


「それはもちろん……」


 天を指さし、火のカを見つめながら。


「空だよ」


 そう、覚悟をした顔で言ってしまった。 




 


 いつものでかい椅子がそびえ立つ空間。


「冗談ではない!!!」


 台パンが止まらないフードの男がいた。


「落ち着かんか」


「これが落ち着いていられるか! チートも持たないようなただの人間どもに上級のNAがやられたのだぞ!」


 声を荒げてギャークバーリに叫ぶ。

それをやれやれといった仕草で聞く。


「そうやって一体一体と出し渋るからじゃ。最初から全力でかかればこんなことにもならなかったじゃろうて」


「ぐっ……」


 そう言われたフードの男も、正論だと思ったのかそれ以上反論することは無かった。


「それに純粋なチートではないといえ、あの世界ではNBこそが準チートと言えるだろう」


「もういい……! 私が出る!」


「ふむ……まあそれもよかろう」


 フードの男は少々冷静ではないのかもしれない。

そう思ったギャークバーリであったが、自分の目的のためならここは何も言わずにいた方がいいだろうと思い、口を挟まないでおいた。


「じゃが、気を付けろ。どんなに小さきものでも痛みを負わせられることはできるのじゃからな」


 ギャークバーリの忠告にフードの男は悔し気に顔をしかめることしかできなかった。

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