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おっさんが異世界でチートする話だったのに  作者: 陰キャきっず
LAST NEW WORLD      スーパーイセカイ大戦N《完結編》
108/122

第七話 戦いの序曲

 勝手におすすめゲームソング1

《素敵だね》:FF10の主題歌。しんみりしたメロディとユウナを感じさせる歌詞が良き。プラネタリウム歌っている人がいたらこの曲をぶつけてあげましょう(ゲス顔)


《last fortune》:ティンクル☆くるせいだーすPSSのVE編OP。flipsideの曲には珍しく切なく涙を誘うメロディと本編にリンクした歌詞がflipsideの曲では一番好きです。


 

「ん……」


(あれ……どうしたんだっけ)


 やけに頭がぼんやりする。

いったい今まで何をしていたのか思い出せない。


 ゆっくりと、何があったかを思い出していく。


 すると、自分の手を握る誰かのぬくもりを感じた。

これは……たぶん彼女の……。



「そうだ……キツカ……キツカちゃん!」


「あ、目が覚めたか鴉よ」


「ホームラかよ!!!」


「す、すまぬ」


 何なんだお前はぁ……。


 人の手を握りしめて何やってんだよ。


「ああ、体が鈍らないように気の流れを整えていたんだが……気を遣いすぎたか」


 感謝すればいいのか

素のギャグを笑ってほしいのか。


「いや、ありがとう」


「いいんだ」


 しかし、あれからどれくらいの時間がたったのだろう。


 カレンダーを見ていると半月たっていた。


「そうだ、キツカちゃんは?」


「ああ、そうだったな。きゃつは出張に行っている。帰ってきたら感謝するのだな。つきっきりで見舞いをしていたのだから」


 そうだったのか。

帰ってきたらナイトらしくジュースを奢ってやろう。


「医者を呼んで来る。しばし待っていろ」


「ああ、わかった」


 そう言って病室を出ていく焔のホームラ。


 俺は生の実感がわかないまま窓の外を見つめ続けていた。





「よお、鴉」


「火のカじゃないか! 生きていたのか!?」


「こっちのセリフなんだが?」


 診察を終えた後、病室に入ってきたのは火のカだった。


 あの爆発で生き残るとは、俺ほどじゃないにしてもなかなかやる男のようだ。

四天王の名は伊達ではないということか。


 どかっと椅子に座っていく。


「そっちはケガとかしなかった?」


「まあまあ重傷だったが大した事なかったぜ」


 重症が大したことないのか……。


「鴉と俺がいない間は団長とサイに任せっきりだったからな。俺ら頑張らないと借りを作りっぱなしだぜ?」


「はは、そうだね」


 知らないうちに作った借りとか知ったことではない。

などと頭の片隅でおもふたがそういうわけにもいかないのが人生だ。


「じゃあな。俺はちょっと新型のテストがあるんでいくわ」


 もう帰るのかよ。

暇つぶしに付き合えよ。


「新型?」


「ああ。あれ以来特殊個体の天使相手には《ムソー》じゃ力不足だ。まあ新型は前もって作っていたんだけどな。あとはテストで細かいデータを取るだけなんだ」


「へえ」


 なるほど。

たしかに《ムソー》ではかゆいところに手が届かない感じがする。


 《テン・プレ》あたりならなんとかなりそうなのだが。


 ……《テン・プレ》ってなんだっけ。


「じゃ、《テン・プレ》の完成を楽しみにしとけ!」


 そう言って火のカは勢いよく扉を閉めて帰っていった。

《テン・プレ》と言う名は火のカが言っていたのだったか?






 




 シティにて。


「襲撃者の撃退、ご苦労だった」


「いえ」


 謎のNBとの戦闘を終えた私たちは、再び局長のもとへ足を運んだ。


 サッカンも護衛として部屋に入っている。


「ですがこれでわかったでしょう? 地下に引きこもることが決して安全ではないということを」


「……ああ。どうやらそのようだ」


 いきなり何もないところから現れたのだ。

危機感は相当なものになっただろう。


「それに《メイガス》をあそこまで使いこなすとは……ノーマークだった」


「天才ですから」


 7:3で私の功績が大きい気がするが。


「私からも感謝するわ。防衛隊の被害も最小限で済んだ」


 サッカンも握手を求めてくる。

私たちはそれに答えた。


「改めまして、私はケイ・サッカン」


「サイ・キツカ」


「マホツ・カイです」


「ぱっくんだ」


 自己紹介ムーブになったのでさっさと済ませる。


「良い目をしているわ。まるで歴戦の兵士のよう」


 サッカンが私を見てそう感想を述べた。


 まあ短い間に相当の場数をふんだので間違ってはない。


「あなたも、他の人とは違う」


「あら? そうかしら」


 とぼけたように謙遜していた。

だが、私には気が付いている。


 この人はもっと手の内を隠していることを。


「……話はわかった……シティの存在を明かそう」


「いいんですか?」


 おやっさんは苦渋の決断だと言った感じに声を絞り出していた。


「仕方がない。だが、国のごく一部のみにしてほしい」


「そうだね。いきなり地下に街があったなんて混乱させるだけだし」


 おやっさんが言う条件もぱっくんは同意する。


「そこで、だ」


 窓の外を眺めなるおやっさん。


「サッカン、使者として行ってくれるか?」


 そしてケイに向かって真剣な面持ちでそう言った。


「いいの? ここの守りは?」


 それはケイにとって意外な言葉だったのか、敬語が崩れている。

普段はもっと気さくな仲なのかもしれない。


「いざとなればワシも出る」


 二カッと屈託なく笑いながらそう言ったおやっさん。

立場が無ければ意外と親しみやすい人物なのかも。


「あ、そう。わかりました。そこまでいうのなら行くけど、本当に大丈夫?」


「何。特殊部隊ナローズもいる。お前の穴埋めぐらい何とかなるさ」


 どうやら話がまとまったようだ。


「そう言うことになったみたいだから……これからよろしくねお2人?」


「はい」


「うん」


 同行することになったケイ。

彼女が仲間になるのなら心強い限りだ。


「それと……《メイガス》を託す」


 そして、意外なことにあのNBを譲ってくれるのだそうだ。


「もらっていいの?」


「一応貸し出す形だがな。万が一壊れても文句など言いやしないが、シティの印象付けにな」


 なるほど。

友好的に接しつつ、シティには他にも強大な兵器がありそうと思わせるためか。

そうイメージさせればここを侵略しようという国もそう現れないだろう。


「だが気を付けろ。《メイガス》は古代で伝説になったNBの1つだ。その力は神にも悪魔にもなるという」


「……わかった。忠告ありがとう」


「こっちもさらなる脅威に備えて準備をしておく。また会おう」


 お互い握手を交わし、仲間となった。


「じゃあとりあえず地上に戻ろうか」


「そうですね」


「疲れた」


 私たちはシティを離れ、地上へと帰還する。

新たなる仲間とともに。


 王国から離れた場所にいる仲間を想いながら、自分のすべきことを果たしていくのであった。







 チッカーク帝国、首都。




「鴉よ、体はどうだ」


「ああ。もう大丈夫だよ」


 死の淵からなんとか蘇った俺。

病み上がりなので仕事は優し目にお願いしたいところだ。


「ならば少し頼まれごとをしてくれるか?」


「頼まれごと?」


「街の地下水道に何かが潜んでいるらしい。何かの唸り声のようなものを聞いた近隣住民から通報があった。それを何とかしてほしいのだ」


「それは……騎士の俺がやらなきゃいけないことなの?」


 そういうのは一般兵士にさせた方がいいのでは。


「いや……すでに数人調査に向かわせたのだが……帰ってこなかった」


 やべえよ。

死ぬってこれ。


「恐らくだが……魔物がいるのかもしれない」


「魔物? こんな街の中に……そんな」


「市民を混乱させるわけにもいかん。できるだけ早く、内密にことをすませたい」


 そういうことなら、俺が行くのもやぶさかではない。


「わかったよ。早速行ってくる」


「頼んだぞ」


 俺は早速その地下水道に向かうことにする。

それがあんなことになるとは……。







 チッカーク帝国首都 地下水道。


 マンホールから梯子を下り、俺は地下水道へとやってきた。

 

 最低限の明かりはあるものの、たいまつが欠かせない。


 少し気味が悪く、汚水のにおいも相まって気分が悪くなりそうだ。


 



 しばらく地下水道を歩いてみたが、何かに遭遇することは無かった。


 兵士の遺体さえもだ。


 残すは最後のエリアだけだった。


 俺は慎重に歩を進める。


 そろりそろりと、歩き続けること数分。


 行き止まりにたどり着く。


「なんだよ……」


 結局何かを見つけることは無かった。





「帰るか……」


 そう思って振り返ったその時。





 バシャっと水の中から何かが飛び出してきた。


「ギャギャギャ!!!」


「え……」


 俺はとっさにしゃがんでいた。


 それが功を奏し、何者かからの攻撃を回避することに成功する。

攻撃が空を切った何者かは俺の上を通り過ぎ、ズザザと着地する。


「なんだ!」


 目の前に現れたそれは、半魚人のような怪物だった。


 なるほど……水の中に潜伏していたのなら地べたを探したところで見つからないわけだ。


「えいさ!」


「グェウ!?」


 俺はとりあえずグーパンで攻撃する。


 まずまずのダメージだ。


「ギャァ!」


 なおも向かってくる。


「チートレスパンチ!!!」


 俺は何の変哲もないパンチでそれを迎撃する。


 だが、それをすり抜けて背後に回られてしまう。


「しまっ―――」


 病み上がりで戦闘の感が鈍ったのか、大きな隙を晒してしまった。


 このままではやばい。


 半魚人の鋭い爪が俺の首を掻き切らんと迫り―――。




「隙あり―!!!」


「ギャバウ!?」


 切らなかった。


 代わりに水の中から誰かが槍を持って飛び出してくる。


 俺は狙いがぶれた攻撃を何とか体をひねってかわしていく。


「俺も行く!」


「私も!」


 さらにバシャン! バシャン! と立て続けに誰かが水の中からやってきた。


 それぞれ剣で怪物を切りつけていく。


「ギアアアア……」


 やがて魔物は力尽きて倒れた。

何とか倒したようだ。


「あの……」


 俺は何が何やらで混乱していたが、とりあえず助けてもらったので話しかける。


「ああ、ご協力感謝いたします。騎士殿」


「……はい?」


 眼鏡をかけた真面目そうな男、よく見れば一般兵士の格好をしていた。


「この地下水道に何かが潜んでいると聞いてやってきたものの……魔物相手には色々と壁があったもので、ようやく奴の隙をつくことができました」


「三日三晩地下水道にこもった甲斐があったね!」


「ああ!」


 よく見れば他の少年と少女もたいへん汚れていた。


「良く生きてたね」


「ええ……やつから逃げ回るうちに、水の中へ隠れたりしたのですが、それがどうやら同族だと思われたようで……」


「だから仕方なく水の中で息をひそめていたんですよ~」


「ああ!」


 何たる根性の持ち主なのだろうか。


「あ、申し遅れました。私はガリと申します」


「カワで~す」


「イケだ」


「鴉です」


 自己紹介の流れが終わり、事件も無事解決した。





「ふむ……よくやってくれた」


「まあ、今回は彼らの功績だよ」


「ほう、うぬがそこまで言うとは……騎士にするのもいいかもしれんな」


「ああ……あのメンタルならきっと強い騎士になるよ」


 拠点に帰ってホームラへと報告を済ませる。


 今日であった彼らとはいつかまた一緒に戦うことがあるかもしれない。


「それとだ」


「ん?」


「キツカから報告があった……これはお前にも伝えておこう」





「外国の遺跡の地下に街ねぇ」


「信じがたいが……事実のようだ」


 俺はキツカちゃんからの報告書を読んでいく。

結構な重要機密らしい。


 他には協力者が仲間になったこと。

古代のNBを手に入れたことなどが書かれている。


 そして極め付けは、天使に似たプレッシャーを感じたという謎のNB。


「脅威だな」


 ホームラも危険視していた。


 人語を話す敵。

それは一体何を意味するのか。


「なんとなく話が見えてきましたよ」


「勿論だ。らしくなってきたな」


 侍度が上がってきた俺たち。


 どうやら天使を裏で操る黒幕がいることが想像できた。


「さて、しばらくは戦力の増強に努めることになる……鴉、戦闘の感を取り戻しておけよ」


「ああ。火のカあたりに組み手でも頼んでみるよ」


 だが、情報が少ない今は受けに回ることしか出来ない。

そのためにも出来ることをしておくしかなかった。







 クソデカい椅子に座るフードの男とじじい。


 いつものように雑談していた。


「まさかプロットが現界できるギリギリまで粘られるとはのぉ……」


「それでのこのこと逃げ帰ってきたわけか」


「カカカ……あのような上物、簡単に倒してしまえば勿体ないというものよ」


 ギャークバーリは終始笑顔で上機嫌だった。

まるでおもちゃを買ってもらった子供のように。


「修羅め……」


 それを理解できないと言った感じでフードの男は見ている。


 そして手を口元にあてて思考していた。


「だが、あの時代のNBを動かせるとはな。警戒レベルを上げる必要がある」


「ほう? ならば上級NAを出すつもりか?」


 ギャークバーリにとっては意外な対応だったのか、フードの男を見ながら驚く。


「非常に歯がゆいが……しかたあるまい」


 フードの男にとっては最近は想定外の出来事ばかり起こった。

だが、今回のことで何かの踏ん切りがついたようにギャークバーリには見えていた。


(ふん……まあよい。その程度で止まる者たちでもないじゃろうて……)


 問題は自身の楽しみが奪われることだけだった。

だが、戦った自身だからこそ簡単には敗れることは無いだろうとギャークバーリは感じていたのであった。


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