第五話 飛翔
なろうアニメ対決デンドロVS防御力はいったいどっちに軍配が上がるのでしょうか?
あえて魅力を上げるなら防御力は人物の作画。デンドロは人以外の作画でしょうか。シナリオは原作知らないんでどこまで再現されてるのかなんかは分かりません。
ただデンドロのOPアニメは何とかならなかったんでしょうか。流石にファンがかわいそうすぎる。
いつものように、目を覚まさない鴉さんの病室で私が本を読んでいると、ホームラがやってきた。
「あやつはどうだ?」
見ればわかることだろうに、会話のきっかけとして彼が私にたずねる。
無言で私は首を横に振った。
「そうか……」
それっきり、会話は無い。
もとより私たちは会話を進んでするような性格でもないが。
何度も部下の見舞に来るのを見ると、騎士団長はよっぽど仲間想いなんだろう。
彼は私以上に責任を感じているのかもしれない。
「火のカは昨日退院した。しばらくすれば本隊に復帰するだろう」
「それは……良かった」
そういやすっかり忘れていた。
一度も見舞に行かなかったがさしたる問題ではないだろう。
「あーこほん。仕事の話になるのだが……」
「うん」
咳ばらいをして、真剣な面持ちに変わるホームラ。
「出張に行っていた四天王の2人が一時帰国することとなった。帰ってきたら顔合わせを兼ねて訓練を行おうと思う」
四天王……ということは火のカや焔のホームラに並ぶ実力者ということか。
天使との戦いで人は死ぬ。
人々を守るために戦って散っていた騎士たちも多い。
帝国の守りを固める必要があるのだろう。
だが、それよりも……。
「四天王って……ちゃんと4人いたんだね」
なんだかその事実がとても珍しいことのように思えた。
「あたりまえだろう。四天王だぞ」
それにしては称号の属性が偏り過ぎではなかろうか。
なかろうか。
そんなことを思っていた時だった。
「団長! 緊急連絡です! モヨリ―の街が天使に襲われているとのことで!」
ピシャっと病室のドアが開き、一般騎士がそう口にした。
「なんだと!」
それを聞いた私とホームラは目を合わせ頷き合う。
「キツカ出動だ」
「うん」
読んでいた本にしおりを挟み、机に置いていく。
「鴉さん……行ってくる」
私をかばって今も眠り続けている彼を横目に、さらなる戦いへと身を投じる決意をするのであった。
「キィーーー!!!」
「ぐわああああ!?」
「パワーが違いすぎる!?」
どかんどかんと鳥型天使により破壊されていくNBたち。
一般騎士が束になっても敵わないということは、この前の蛇型天使のように上位の個体なのかもしれない。
「くっ、結局新型は間に合わなかったか……」
未だガタが来ている《ムソー》での緊急出撃。
修理もままならないのでは十全に力を発揮できない。
せめてもう少し時間があったのなら……そう考えずにはいられなかった。
「キツカ、コンビネーションアサルトで行く」
『いきなり? もうすこし気力を上げてからでも……』
「このままでは味方への被害が甚大なものになってしまう……それは避けたいのだ」
『……了解』
未知の敵にたいして早計すぎる判断ではあったが、長期戦になればこちらが不利になるのは明白。
ならば、機体が持つ内に戦闘を終わらせる!
「うおおおおお!!!」
「キィ!」
「うわああああ!!!」
『ホームラァァァ!』
だが、鳥型天使は嵐を引き起こし、それに吹き飛ばされてしまった!!!
「ぐっ、脚部が!」
落下の衝撃で脚部が損傷したのか、起き上がることができない。
ガッツが足りなかった。
「キイイイイ!」
『きゃああああ!』
キツカも一人では相手にもならず、吹き飛ばされていった。
万事休すか……。
遺書でも書こうかと筆を走らせようとした時だった。
「キイアア!?」
ザクッとクロスボウのボルトが鳥型天使に突き刺さった。
一時的に地面へと落下する。
『すまない兄上! 遅くなった!』
『無事でして?』
「その声……エンとスイか!」
絶好のタイミングで救援に現れた2人……炎のエン、水のスイ。
彼らの登場に消えかけていた闘志が再燃する。
赤色の《ムソー》と青色の《ムソー》が我に駆け寄ってくる。
『なんだアイツは……見ないタイプだな』
「先日も死に際に爆発する天使と戦った。今まで相手にした天使よりも上位の存在なのかもしれない」
『なるほど……これは骨が折れそうですわね』
2人も異質に感じていたのか、普段よりも緊張した声色になっている。
我も機体を動かそうと試みるが、やはり反応が鈍い。
「ぬう……」
『兄上はここで指揮を頼む』
「すまぬ……」
『行きますわよ、エン』
『ああ』
結局、前の戦いのように何もできないまま仲間を見守ることしか出来ないのか―――。
無力さを感じずにはいられなかった。
『くぅ……!』
キツカから悲鳴が上がる。
真っ先に落ちた焔のホームラに対して、心の中で悪態をつかずにいられない。
「キィ!?」
そんな時、天使にボルトがぶっささる光景を見た。
(増援……!)
思わぬ味方の登場に、焦っていた気持ちが落ち着き始める。
『そこの水色の《ムソー》、聞こえるか?』
通信を聞いたキツカはどこか聞いたことのあるような声に答える。
『聞こえる。あなたたちは……』
『俺たちは帝国四天王炎のエン、それと……』
『水のスイですわ』
さらに通信に割り込む女性の声。
凛とした声からは強い意志を感じる。
『機体がダメージを負っているようだが、戦闘の続行は可能か?』
『これくらいでへばる生き方してない』
『頼もしい答えだ』
何とか立ち上がり、クロスボウを構える。
『さて……どうしたものか』
『あいつは上空から風を巻き起こしてる。空を飛べない私たちじゃあどうしようもない』
『ボルトにも限りがあります。そう何度も当たるわけでもありませんし……』
結局のところ、打開策は見えてこない。
(せめて……私の超能力がもっと強ければ……)
キツカは己の無力さを恥じた。
魔物との戦闘では戦力になる自信はある。
だが、NBでの戦闘は様々な制約があり、自身の真価が発揮できない。
(いや……弱気になるのは後だ)
くじけそうな心に無理やり喝を入れる。
からめ手が思いつけないのなら力技で行くしかない。
『私にいい考えがある』
『聞こう』
『私を……飛べるところまで運んでほしい』
『……なるほど、私たちをブースター代わりにして、上空へ行くということですか』
『しかし……危険だぞ』
そう、チャレンジ出来て一回。
ブーストジャンプによる燃料の消費は激しいものだ。
これは賭けということになる。
『一撃で仕留められる自信はあるのか?』
『……私でなければ出来ないこと』
『わかった……時間が惜しい、早速始めるぞ』
納得いったわけでもないだろう。
会って間もない人物の実力など測れるはずもない。
だが、炎のエンはキツカから確かな意志を感じ取っていた。
『跳ぶぞ!』
『了解!』
ゴウッとブースターが火を噴いた。
勢いよく上昇を始める三機の《ムソー》
「キ……」
『行きなさい!』
『っ、はああああああ!!!』
鳥型天使への距離はあと半分。
ブースターとなった2機の《ムソー》は落ちていった。
ここからはキツカの《ムソー》が単独で空を行く。
「キイイイ!」
だが、逆に相手はキツカに向かって飛んできた。
空では自分の方が優位と言わんばかりに突撃してくる。
『ぐっ、上等……!』
何とか機体をずらして攻撃を回避する。
慣れない空中戦闘ながら極限の集中力でなんとか戦っていた。
さらに反転して突撃してくる。
『ここだああああああ!!!』
だが、キツカはそれを読んでいた。
機体を仰向けにさせ、突撃してくる天使の体にしがみつく。
「キイイイイイ!!!」
それを引きはがそうと回転したり暴れたりを繰り返す天使。
この状態では剣を突きさすのも難しい。
だが……キツカの表情に焦りはない。
「ありがとう……私の《ムソー》」
自らの愛機をねぎらうようにお礼の言葉を口にする。
そして自らの超能力を発動させた。
対象は……エンジンとなるドライブと呼ばれる装置。
『警告。機体がオーバーヒートしています。繰り返します……』
モニターを埋め尽くす機体異常の表示。
超能力により、ドライブの熱を上げていく。
身を焦がすほどの熱さが自分を襲うが、自分を守ってくれた鴉の痛みに比べればと、踏ん張る。
やがて機体を動かすエネルギーが膨張を始めていった。
「緊急脱出!」
そしてキツカはそれをタイミングとみて強制脱出装置を起動させた。
コックピットが勢いよく背部から射出される。
そして―――。
地上にいる人々の視界を覆い尽くすほどの閃光と爆発が引き起こされた。
「キイイイイイ!?」
その爆発は鳥型天使を焼き焦がす。
膨大なエネルギーを生み出すドライブが引き起こした爆発は大ダメージとなった!!!
だが―――。
『キツカ!!!』
焔のホームラの叫び声が木霊する。
「くう……」
脱出したまでは良かったが、爆発の余波で射出されたコックピットが吹き飛んでいく。
(そこまで考えなかったな……)
自らの短慮さに呆れながら、最後を悟る。
最後に思い浮かべたのはどこか懐かしい彼の顔。
初めて会った時からキツカは鴉に対して特別な感情を抱いていた。
そう、たまに夢を見る。
ここじゃない世界でキツカは彼と日常を過ごしている夢だ。
まるで本当の出来事のように錯覚することもあった。
だが、その時に呼んだ名は少し違ったように思う。
そうだ……彼の本当の名は―――。
『そうです……思い出してください』
「……?」
気づけば見知らぬ場所に立っていた。
目の前には淡く光る蒼い影があった。
『それが世界を救う……あの人を取り戻す鍵となる』
誰だ―――。
もはや死ぬ寸前であったキツカに語り掛ける声。
それは穏やかな青年のような声だった。
「あなたは……」
『俺は―――』
そこから先は良く聞こえなかった。
「ハッ」
一瞬、思考がどこか別の場所に向いていた。
やってくるはずの衝撃は無く、ただ静止している。
いったいどうなったのか疑問に思うキツカ。
『おい! 無事か!』
赤い《ムソー》が近づいてくる。
キツカはコックピットをこじ開けて外にでた。
空高くを吹き飛んでいたはずが、いつの間にか地上にいたのだ。
「私……どうして……」
『全く……無茶をする』
『よくわかりませんが……あの爆発を防いだのも超能力なのですか?』
何を言っているのだろうと思うキツカ。
あの爆発で生きているはずがない。
だが、確かにこの身は無事であった。
「爆発を……防いだ?」
『ああ、蒼い光がお前を守るように地上まで運んできたんだ』
「蒼い光……」
さっき見た幻覚を思い出す。
いや、幻覚などではないのかもしれない。
キツカが感じた謎の力……。
自身に限りなく近い何かが守ってくれたのだ。
そしてとある言葉が脳裏に浮かんでくる。
「エターナル」
『エターナル?』
『なんですの? それは』
「わからない……ただ……」
どこかで聞いたことのあるような……懐かしい言葉だった。
かくして、モヨリーの街を襲った天使は倒されたのであった。
「バカな……こんなことが二度もあってたまるか!」
自らが送った手駒が想定外にも、たった数機のNBによって討伐されたことにフードの男は取り乱す。
「中級ではもはや力不足なのじゃろうて」
「チートも持たぬ半端者が……どうしてこうも!」
台パンが止まらないフードの男。
「《転聖戦争》を見据えてのことじゃろうが……渋りすぎじゃったのう」
「ぐっ……!」
ほっほっほと笑う老人に怒りをむき出しにするフードの男。
「なら、お前が行くか? ギャークヴァーリよ」
「ふむ……お主がそこまで言うなら仕方ない」
どの口が……と悪態をつくフードの男に対して、ギャークバーリと呼ばれた老人は余裕な態度を取り続けていた。
「プロットを使うが……よろしいな?」
「ふん、血が騒いだか? 《天帝》よ」
「ほっほっほ、懐かしい名じゃのう……」
椅子から離れ、空中に浮かびながら老人は手をかざす。
すると、虚空に黒い穴が開く。
そしてそこから漆黒のNBが姿を現した。
禍々しく悪魔のような姿が、老人の内なる凶暴さを写し出している。
「では、ひと暴れといくか……!」
姿がかき消され、一瞬でコックピットに転移する。
起動されたNBはまるで悪魔のようなうなり声を上げるのであった。




