第三話 善悪の彼岸
PSO2EPオラクル見てたらなんかゼノサーガに似てると思いました。
ゼノサーガ2のグラフィックが気に入らいない人はテンポのいいDS版1・2があるのでぜひ(もう誰もやらない)
好きなキャラはジギーとMOMOちゃんです。
「緊急発進!」
「えるう”ぁんでぃあごー!」
「普通に行けんのかうぬらは」
今日も今日とて天使が国民の生活を脅かしていた。
俺たちは例のごとく《ムソー》で出撃する。
ちなみに俺の《ムソー》は灰色。
一般騎士と同じである。
キツカちゃんの《ムソー》は水色。
まさか全塗装させられるとは思わなかった。
おかげで筋肉痛である。
「助けてー」
「わーわー」
街が阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。
『各機、天使の注意を引き付けよ』
『カ、了解』
『サイ、了解』
『鴉、紹介』
『よs……よ?』
「キシャアアアアア!」
『ウボアアアア!?』
しまった……俺のお茶目さが焔のホームラを傷つけてしまった。
『ぐっ、メインブースターがイカれただと……!』
ホームラ……お前……沈むのか?
『させない! キツカちゃん援護頼む!』
『いさいしょうち!!!』
ブースターを全開にして突撃する。
まずはホームラから天使を引き離そう。
NB用のロングソードを天使にぶっさす。
「キシャアアア!?」
ズゴゴゴゴ! と蛇型天使を押していく。
だが、サイドから尻尾攻撃が飛んでくる。
「ブロッキング」
ガコーン! と音を立てながら盾で防いでくれたキツカちゃん。
擬音のオンパレードである。
『助かりました』
『むふー』
声でドヤ顔してるのがわかった。
《ムソー》は汎用型量産NBだ。
全長16m、重さはわからない。
武装はロングソードとカイトシールド。
サブにクロスボウもある。
こちらは弾に制限があるため本当にサブだ。
以上説明終わり。
「キシャア!」
『おっと』
蛇型天使が暴れだしたので後ろに下がる。
しかし、コイツの弱点はどこだろうか。
大概の天使には弱点となるコアがあったのだけれど……。
あったのだけれど。
「そうだ……キツカちゃん、天使の考えとか……」
『読めるわけないじゃん』
そうか……。
『でも……コアの位置はわかった』
「なに!」
して、それはどこに……。
『ん』
キツカちゃんの《ムソー》が指さす方向には……。
「キシャアアア!!!」
「……もしかして口の中?」
『うん……あそこにエネルギーが集中している』
だとしたらどう狙ったものか。
剣で刺すには動きを止めなければならないが、こいつかなり手ごわい。
『おーい鴉! ホームラはいったん下がったぜ』
ホームラの救援に行っていた火のカが加勢する。
これで何とかなるだろうか。
「キツカちゃん、狙撃頼めるかな?」
『……わかった』
目の良さが露見したキツカちゃんに全てを託す。
「火のカと俺はやつの隙を作る!」
『わかったぜ!』
俺は再び蛇型天使に突撃する。
キツカちゃんが狙いやすい位置に誘導しよう。
「こっちだ!」
レイブンズステップで燃料を節約しつつ、攻撃を誘発していく。
「キシャォォ」
『もうちょっと引き付けて』
「了解」
さらに敵を誘導していく。
「キシャ……」
『俺も忘れてもらっちゃ困るぜ!』
俺と火のカの絶妙なコンビネーションで敵を翻弄する。
なんだろう。
俺はいつかどこかで、こんな風に誰かと同じようなことをしていた気がした。
いや……今はとにかく集中しなければ。
「キシャアアアアアア!!!」
良い感じに大口を開けて飛び込んでくる蛇型天使。
『狙い……』
これがベストポジションだろう。
俺と火のカは散開する。
『撃つ!』
後ろでNB用クロスボウを構えていたキツカちゃんが叫ぶ。
放たれたボルトは一直線に蛇型天使の口の中へと飛んでいった。
「ギシャアアアアア!?」
ピシッと何かが割れる音がする。
それと同時に蛇型天使は暴れくるっている。
「やったか!?」
あ、つい言っちゃった。
すると……蛇型天使は急に光を全身から放ち始める。
今までの天使には見られなかった光景だ。
『……エネルギーが暴走している……!?』
「え」
『みんな! 逃げ―――』
キツカちゃんの焦った声が聞こえる。
まさかとは思うが……。
俺は慌ててブースターを全開にしてキツカちゃんの前に躍り出る。
そして……蛇型天使は爆発した。
「があああああ!?」
爆発のエネルギーが俺たちを襲う。
盾を構えて何とか踏ん張ろうとするが、機体がアラートを出し続ける。
『―――っさん!?』
火のカまでは手が回らない……非力な私を許してくれ。
だが、俺の体に変えても、命に代えても、この子だけは―――。
なおも光の奔流が俺たちを飲み込んでいく。
俺は……あまりの衝撃で意識が沈んでいくのであった。
「つぅ……」
体中が熱い。
そしてどこか体を打ったのか、全身がずきずきする。
「みんなは……おっ、鴉さんは……」
そうだ……。
私をかばって盾になった彼はどうなったのか。
カメラが故障したのか、モニターには断片的な映像しか映らない。
『―――こちら―――るか……?』
「火のカ……?」
よかった。
火のカは無事のようだった。
「こちらキツカ。機体は動きそうにない。鴉さんは無事なの?」
『―――な。今―――』
機械のあちこちがやられたのか、通信音声もとぎれとぎれにやってくる。
仕方ない。
コックピットを開けて視界を確保しようか。
私はスイッチを押して扉を開ける。
そこには。
「……鴉さん?」
地面に仰向けに倒れている灰色の《ムソー》があった。
もはや原型をとどめていないほどあちこちが砕けて、溶けていた。
「よお……サイ」
「あ……」
火のカが私に声をかけてきた。
全身から血を流し、重傷だった。
「しっかり……」
私はあわてて《ムソー》から降りて火のカを抱え起こす。
「いや……俺はいい。それより……あいつを……」
火のカはそういうと、あの人の方を指さした。
私は、恐る恐るコックピットの装甲をはがす。
「あ……」
そこには、破片が刺さり、やけどを負い、今にも息絶えそうな鴉さんがいた。
「―――ツ、カ」
「ッ……!」
かすかな声で名前を呼んでいた。
私の名だ。
「私は……大丈夫だから……! しっかり!」
「―――か。よ―――た……」
「っ……鴉さん……?」
最後に、よかったと言って、それっきり言葉を話すことは無かった。
私は……無力だった。
「……そうか、よくやってくれた」
戦闘が終わり、後援の部隊と共に焔のホームラは破壊された《ムソー》の回収作業に追われていた。
作業を騎士たちに任せ、キツカをねぎらう。
だが、一人軽症で済んだキツカの心情は暗いものだった。
「火のカは重体でしばらく入院することになったが、命に別状はないそうだ。だが、鴉は……」
言わずとも想像に易い。
焔のホームラが言い切らずともキツカにもわかっていた。
「希望は捨てるな。なに、簡単に死ぬ男ではあるまい」
焔のホームラが気休めにそう言った。
だが、キツカは相当ショックを受けている様子だ。
「……今日の所は休め。作戦会議はまた明日からにする」
「……うん」
焔のホームラに促され、ふらふらと帰っていくキツカ。
それを心配そうに見つめながら、焔のホームラはここにはいない仲間のことを想う。
「問題が山積みか……エン、スイよ……」
早く帰って来てくれと思う焔のホームラであった。
真っ暗な世界があった。
そこでバカ高い椅子に座る人物がいた。
「中級の《NA》がやられただと? どういうことだ」
黒いフードで顔は見えない。
だが、低い男性のボイスでそうつぶやく。
「騎士団とやらの仕業だろう。アレもNBを使う」
それに答える老人がいた。
老人はあごのひげを触りながら気にしない様子であった。
「ばかな……やつの存在は消し去ったはずだ。そんなことを成せる人物など……」
フードの男は取り乱したようにドンと拳を叩きつける。
「つながりを軽視してはならん。特にアレと関わった者などはな」
それを見た老人は、諭すようにそう答えた。
「ふん……老人が。説教のつもりか?」
「いや、お前の方が年寄りやぞ?」
何となくお互いの視線がスパークしてきたので、コホンといったん間を置いた2人。
「……まあいい。永遠を持つ者もしばらくは動けまい」
椅子にもたれかけ、ふうと息を吐く。
「あの世界を生贄に……最高神が復活するのだ」
喜びを含んだそのつぶやきに、老人はフンと鼻を鳴らした。
「クックック……」
だが、そのことに何も言うでもなく、ただ静かにフードの男は笑っていた。
そして、時を同じくして―――。
チッカーク帝国から離れた、ミカータ王国領土にある旧ミカータの遺跡にて。
様々な機械やNBがひしめく。
作業する人たちは瓦礫の運搬や掘削作業に追われている。
「どうだ? スイ」
「てんでダメですわね。本当に古代のNBが眠ってまして?」
それらの様子を近いところから眺めている2人組が居た。
男の方はチッカーク帝国騎士団四天王の1人、炎のエンだ。
女の方は同じく四天王の1人、水のスイ。
つまらなさそうにため息をはいていた。
「そのはずですよ」
そこに白衣を着た女性が1人やってくる。
「旧ミカータ王国には様々な研究施設があったことは文献からも分かります。だからこそのブックマーク・ドライブです」
「マホツ博士」
その女性はミカータ王国軍、技術顧問のマホツ・カイだ。
楽し気な顔持ちで現場を眺めていた。
「従来のドライブを凌ぐ古代の技術、か」
炎のエンはつぶやく。
それが自らの国に、ひいては人類に救済をもたらすことを期待しているのだ。
「エン様!」
そこへ、一般騎士がやってきた。
何やら焦った様子で手紙を炎のエンへ手渡す。
「何があった」
「ホームラ団長より伝令です。至急帝国に戻るようにと」
紙面を読み終わった炎のエンは、マホツに向かい合う。
「本国で何かあったようだ」
「うーん今離れられるのも困るんですけど……」
天使が人類を襲い始めて以来、同盟国としてお互いの有事に協力していた両国。
四天王であるエンとスイは作業に使うNB部隊、そして周辺の警備などを手伝っている。
ここ最近は天使の襲来が高い頻度でやって来ている。
ミカータ軍はNBの技術発展が遅れており、自国に戦闘用NBを持っていない。
優れたNB乗りがいなくなったことによる戦力低下をマホツは恐れていた。
「行かせてはもらえないかい? マホツ殿」
そこにさらに声が聞こえた。
さわやかなボイスを放ちながらやってきたのは金髪の優男、チッカーク帝国の王子ぱっくん。
「ぱっくん王子」
「ここの警備は僕を含めた騎士団たちが引き続き行おう。エンとスイが戻ってくるくらいはやってみせるよ」
堂々と言ってのけたぱっくん。
だが、エンとスイは責任者であるぱっくんの身辺警護も担っている。
「殿下、それは……」
「ホームラがわざわざ言うくらいだ。カあたりがケガを負ったのかもしれない。帝国の守りを固める必要があるのかもね」
「しかし」
説得するぱっくんを止めようとするエン。
だったが。
「まったく、行きますわよ」
ガシっとエンの首根っこをつかみ、ズルズルと引きずっていく。
「おい、スイ!」
「殿下の言う通りですわ。それに殿下のNB操縦技術も騎士たちに負けていませんし、心配はいらないでしょう」
「後方支援専門だけどね」
そう言われて納得したのか、息を吐きながら真剣な顔になる。
「……ふう、分かりました。では殿下、マホツ博士、しばらく頼みます」
ぱっくんとマホツに深々と頭を下げるエン。
「私的には守っていただけるならなんでもよいので」
「団長によろしくね~」
そうして四天王の2人は騎士たちの所へ歩き出す。
「さて……お茶でもどうかな? レディ?」
「何か言い方が嫌なので遠慮します」
「フッ。やれやれ、振られてしまったか」
他愛のない話しで盛り上がった2人であった。




