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最弱(ゴブリン)生活に順応しすぎた結果、最強(ドラゴン)は堅実な努力に生きる。  作者: 秋月みのる
一章 何かがおかしいゴブリン生活
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とある人類最強の終わりとそれから……。


 ――悔しいなぁ。


 人間死ぬときはあっさり死ぬもんだ。

 しかし、あの終わり方だけはねぇよ、白の王さんよぅ。

 後ろからバクリだもんな。

 俺はアンタの子と最高の戦いを楽しんでたんだよ。

 俺はこうみえても戦いの後に一応アンタの子を救おうと思ってたんだぜ。

 そうは見えなかったかも知れねぇがな。

 今回は結果的に俺が勝ちを拾わせて貰った形になるが、最初からボロボロの相手に買っても自慢やならねぇ。だからこそ、奴さんの怪我が治ったら今度はお互い万全の状態で再戦してぇと思ってたんだよ。

 だが、死んじまったらその計画もぱぁだ。

 尤も、楽しくなっちまって手が止まらず殺しかけてた俺の言う台詞じゃねぇと思うがな。

 だが、俺は一つだけ確信してるぜ。

 俺が最後に放った一撃を食らっても、あいつはそれくらいじゃ死ぬタマじゃ無かったってな。

 

 ……ああ、暗ぇ。真っ暗だ。何にもねぇ。

 ドラゴンの腹の中なのか?

 畜生、まだ終わりたくねぇなぁ。

 

 生きてりゃ血の滾る戦いが出来るんだ。

 とびきり強ぇやつに打ち勝つ。俺の人生の喜びだった。

 そのためにもっと、もっと、もっと強くなりたかった。

 磨いた技を試したかった。

 

 死んでから気づいたが、俺は最強にこだわっていると言うよりは強い奴と戦う事自体が好きだったのかも知れねぇな。

 最強になれなかったことよりも、むしろもう戦えない方がよっぽど悔しい。


 次があるならば弱くてもいい。

 体があればそれでいい。体があれば戦える。最強を目指すことだって出来る。


 だが、体がなきゃ何にも出来ねぇ……いや、まだ終わってねぇ。

 魂だけかも知れねぇが、俺の存在はまだこうしてここにいる。


 前世に強い未練を残した魂が骸に取り付いてスケルトンになるという話を聞く。

 いいじゃねぇか、スケルトン。最弱と呼ばれる魔物の一種だが、強くなれねぇわけじゃないだろ。

 ゴブリンだって強くなる気さえあれば人類最強クラスまではいける。


 肉体という外殻を失ったせいか、次第に魂の形が定まらなくなってきたのだろうか。

 意識がだんだんと曖昧になってきている気がする。

 

 死んだらどこに行くんだろうな?

 不意にこんな疑問が脳裏を過ぎった。


 ――くそ、このまま消えてたまるかよ。


 俺は気合いを入れ直す。

 たとえ嫌われ者の不死者でも不格好でも摂理に反していると言われても、俺はまだ俺の終わりを望んじゃいないし認めてもいない。俺の終わりは俺が決める。

 俺が飽きるまで絶対に消えてやらねぇ。

 ここがドラゴンの腹の中なら、待ってりゃ魔物の死骸が入ってくるだろうよ。

 そしたらその死骸に取り付いて腹を突き破って脱出してやる。


 それまで絶対消えねぇ。成仏してたまるか。


 ……寒い。

 世界が敵に回ったかのような薄ら寒さだった。

 世界に居場所を失った。暗闇に押し込まれているのはそういう事だろう。


 ――長い長い時に思えた。


 暗闇と孤独に耐え続けていると不意に視界が明るくなった。

 光源が現れたのだ。

 闇の中に楕円形の球体が浮かんでいるのが見えた。


 それは、俺が渇望していた物だった。魂を宿すことの出来る器。

 死者の魂が骸を求めるときもこういった感情が起こるのだろうか。

 とにかく俺はそれに縋りつきたかった。


 暗闇をかき分けるように進んで、進んで、俺は楕円形の球体に手を伸ばした。


 ――そして、そこで緊張の糸が途切れて俺は意識を失った。

しかし、視点がコロコロが切り替わるなぁ。会話が出来るようになるまでの辛抱。

また次は主人公視点の話になります。


……さて、ディークさんの描写をやたらしつこくやって来ましたけど……?

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