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最弱(ゴブリン)生活に順応しすぎた結果、最強(ドラゴン)は堅実な努力に生きる。  作者: 秋月みのる
一章 何かがおかしいゴブリン生活
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一難去って

あれ、改稿したはずなのにされてなかった? もう一回直しておきます。


 ――俺は絶体絶命だった。


 景色がスローモーションに見える。

 俺の脳天には鋭い剣の一撃が迫っていた。


 

 そもそもこんな状況に陥ったのも、ドラゴンの巣にやたら強い人間が踏み込んできたせいだった。

 そして、その人間を俺は知っていた。

 前世で俺が苦い敗北を味わったのはまだ記憶に新しい。

 どうして俺を殺さなかったのはかは未だに不明だが。

 その当時よりも大分老けたようだが、厄介なことに強さだけ以前に比べて格段に磨かれていた。

 

 魔術で牽制してそのまま一気に決める心づもりだった。

 だが、奴は予想以上に粘りを見せた。


 そうなってくると問題なのが俺の体力。

 元々死にかけの体を気力で無理矢理動かしていただけに過ぎない。

 短期決戦しか勝機が無かった。

 だが、それを凌がれた以上俺には打つ手が無かった。

 残る勝機は魔術だったが、使う余裕が無い程に攻め立てられた。

 四つ足でしか移動できない以上、回避などの機敏な動きは不可能だ。

 そのの場で足を止め、どうにか片腕で剣戟を逸らすのが精一杯だった。

 

 そして不意に訪れる限界。

 体からがくんと力が抜けて糸が切れた人形のように動かなくなった。



 あの剣が振り降ろされたら俺は死ぬ。

 それでも俺は見ているしかできない。


 あ~あ、今回はついてなかったなぁ。

 パケットモンスターで言うところの良個体値を引いたのに、スタート地点が伝説のパケモンの目の前で、有無を言わさず襲いかかられてゲームオーバーでデータリセットとかそんな気分だ。


 次に期待しよう。


 俺がそう割り切って諦めかけたとき、耳をつんざくような凄まじい叫び声が洞窟中に響き渡ったのだった。 


 ガガガガガッと岩壁に体をぶつけるのも厭わずに巨大なドラゴンがまっすぐ猛スピードで男の裏へと迫ってくる。必死な様子だった。


 そして、男が剣を振り降ろしきるよりも早く、ドラゴンは大口をあけて男に食らいつきそのまま丸呑みにしてしまった。


 あまりに現実味の無い光景だった。俺は言葉が見つからない。

 音速近い走力を誇る馬鹿でかいドラゴンの恐るべき身体能力に対して何か言うべきか、断末魔の一つもあげずに一瞬で飲み込まれてしまった男に何か言うべきか。


 死を覚悟した戦いの割に、あまりに呆気ない幕切れだった。


 男を飲み込んだことで少し落ち着いたのか、ドラゴンはその足を止める。

 そして俺の元にゆっくりと近づいてくると、そのザラザラとした舌で俺を舐めあげた。


 どうやら俺が無事だったことに喜んでいるように見える。

 人間に例えるなら愛犬家みたいなものだろうか。

 俺はゴブリンだから、さしずめ愛ゴブ家のドラゴンといったところか。


 その愛ゴブ家のドラゴンは口の中から何かの木の実をペッと吐き出した。

 ぼてぼてと俺の目の前に転がってくるドラゴンの涎まみれの木の実。

 虹色に輝いている、見たことのない木の実だ。相当に珍しい物だろう。

 それを食べろと言わんばかりに、ドラゴンはその木の実を顎でしゃくってくる。

 ほかほかと湯気が立っている。実に食欲をそそらない。 


 機嫌を損ねるわけにもいかないから……まぁ、嫌だけど食べるんですけどね。


 それを食べると全身が急にかぁっと熱くなった。

 自傷行為でボロボロになった体から痛みが引いてくるのがわかる。

 気づけば傷が全て塞がっていた。


 ……なるほど、このためにドラゴンは出て行ったのか。

 しかし、どこから持ってきたんだろ。

 俺が前世で怪我を治すときに使っていた薬草にこんな速効性はなかったはずだ。

 木の実で傷を治したせいでパワ-アップできなかった。

 どうやら自力で怪我を治すことに意義があるらしい。

 ありがたいが……正直いらなかったな。

 俺は瀕死の怪我がしたかったんじゃない。瀕死回復によってパワーアップしたかったんだ。

 

 俺が木の実を食べたことを見届けて満足したのか、ドラゴンはまた洞窟から外へと飛び立っていった。

 さて、どうしようか。

 また自傷訓練で瀕死の大怪我を負ったらあのドラゴンが大騒ぎするだろう。

 流石に木の実まで持ってきて貰った以上同じ事を繰り返すのは気が引ける。

 それに自傷訓練するならば外敵の対策も万全にしておかなければいけない。

 また外敵に踏み込まれないとも限らない。


 ――ならば。


 この洞窟を改装しよう。

 土魔術で洞窟をひたすら広げる。落とし穴を沢山作る。

 水魔術で敵を押し逃すための通路を作る。

 今世では魔法が十全に使える。前世では出来なかった工作がいくつか出来そうだ。


 それともう一つ。ゴブリンが相手と戦うには武器が必要だ。

 今回は人間の襲撃だったからどうにか素手でも攻撃が通ったが、ハードシェルクラブなんかの硬い魔物相手だと素手じゃどうにもならない。きっちりハンマーなどの武器を用意しなければいけない。

 相対する魔物によって有効な武器は異なる。

 出来る事ならばいくつか種類を用意したい。

 ついでに、魔物の素材も調達したい。

 魔物素材を使って洞窟拡張計画の際に、トラップを仕掛けたいとも考えている。


 そうと決まれば、後は行動に移すだけだ。

 どちらが先か?

 俺としては魔物の素材が先に欲しい。


 俺は以前に作った階段を使って森へと出ようとする。

 しかし、丁度そのタイミングで巣の主が戻ってきた。


 俺は巨大な手にひょいと捕まれて巣の奧へと戻された。

 

 ……OH。

今更だけど、この小説会話がないなぁ。

でも当面会話可能な新キャラ出す予定ないしなぁ。

しばらく淡々と主人公が語るだけの話が続きます。

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