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1ー1 よぞらへ

深夜。

スマホのカレンダーが、1日進んでから2時間と少しを過ぎたぐらいになるだろう。

僕はマンションの屋上で一人感傷にふけっていた。と言ってもだ、これいって思うものなんてないのだが。


周囲の人間からは、一歩引いた冷めた人間だと、よく言われている……らしい。というのもこれは又聞きなので。それが真実かどうかは定かではないし、確かめたこともない。ただ、実際にその通りだと自分でも思っている。


僕は、冷めた人間で間違いないだろう。

夢がない。現実しか見ていない。面白みがない。というかつまらない。今までで下された評価を簡単に並べたものだ。単に、冷めているということで概ね間違いないだろう。


僕だって最初からこんな人間だったわけではない。夢は確かに見たことがなかった様な気もしているが、空想や妄想を並べて遊んでいた時もあったし、その時はまぁそこそこ楽しかったように覚えている。それも、もう随分と前の出来事だ。何時ぐらいかも、今は覚えていない。現実から目を背け、閉じ篭もっておままごとの世界を繰り広げる。ということも知らず知らずのうちに、やらなくなっていた。正確には出来なくなった、というのが正しいのかもしれない。青春の欠片もない学生生活を謳歌して、何となく会社員の肩書きを手に入れ、流されるがままに、身も心もすり減らしながら日を重ねるうちに、何かを考える余裕が無くなってしまっていた。上下左右に振り回され、軽く何かを食べて帰り、スーツを脱ぎ捨てて布団に転がり、たまに欲求を吐き出して、泥のように眠る。その繰り返しだった。支えもなく、何のために生きているかもわからない、おおよそ想定通りの未来に、予定通りに到着したといったところだった。


気がついたら死に場所を探すんだろう、といったところもまで、見事にその通りだった。

流石にこの時間になってくると、動く気配が殆どない。たまに走るタクシーのエンジン音と、ビルの隙間を静かに通り抜ける風の音。とても心地よかった。喧騒を忘れて見上げた目線の先は、まばらに輝く夜空が端から端まで広がっていた。高い位置から見上げる夜空は圧倒的で、魂を吸い込んでそのまま消し去ってくれるような、そんな気さえした。


僕は既にフェンスの向こう側で、ビルのから足を投げ出して腰掛けている。ちょっと腕に力を入れたら、何事もなかったかのように体は自由落下していくだろう。

もうそれでいい。


最終的に僕は自分の人生に冷めてしまったのだ。いや、もう随分と前から冷めていたのかもしれない。その現実から逃げて閉じこもって、でも閉じこもる余裕もなくなって。中学に上がれば何かあるかもしれない、高校に行けば、大学では、社会に出れば……。


実は少しだけ期待していたのかもしれない。ほんの少しの夢を見て、現実に触れて少しずつ夢も磨り減って。

もう何も残っていなかった。

そんな虚無感に気づいた時には、頭の中はすでに真っ白な空間が広がっていた。そして少しずつ黒塗りされていった。

今も足をぶらつかせながら、ちょっとずつ何かが抜けていくのを感じていた。じわじわと消えていく生気。動く気力が尽き、支える力も体の端から滲むように溶けていく。

体がだんだん前のめりになって、視線が下向きになりつつあることに、喜びさえ感じていた。口角が何となく上がっているのが自分でもわかる。ニヤついている。

歪んだ悦だった。

これで終わり。

理由もない。

無意味に。

消える。

生命。

死。






残念なことに、思考が消えることはなかった。

というわけでやってみました。

長らく何か書くということをしていなかったので、よくわからない何かにしかならないとは思いますが、

暇がつぶせる程度のものになればと願います。

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