88 フォーレの一日 その1
ふかふかのベッドのなかでぬくもりに包まれていたらぁ、太陽の光を感じたのぉ。
浴びているだけで身体中の活気が駆け回る感じがしてぇ、みなぎってくるんだよねぇ。うん、もうそろそろ起きよぉ。
「やぁ、おはようフォーレ。今日も朝日が輝かしいよ。ほら、ミーと肩を並べて昇る太陽を眺めないかい」
ホッコリする日差しをひっそりと楽しんでいたらぁ、邪魔するやつが現れたよぉ。目を開けるとぉ、シャインが影になっちゃっていたぁ。
せっかく温かかったのになぁ。毎朝の楽しみをぉ、どうしてシャインは邪魔をするんだろぉ。
不思議に思ってマジマジと見つめているとぉ、威圧的なスマイルで迫りよってきたぁ。
「シャイン、邪魔だからどかすねぇ。し○れごなぁ」
「ははっ、フォーレってば照れ隠しにそんなことを。今は己の心に身をまか……うっ、身体がっ……」
いつまでたっても太陽を遮るもんだからぁ、強制的にどかしたのぉ。シャインは手足を震えさせるとぉ、コロンってベッドから落ちたよぉ。
「んー、やっと太陽の光を浴びられるよぉ。でもシャインも毎朝迷惑だなぁ。今度はど○のこなにしよぉかなぁ」
うめきながらしびれる手を上げるフォーレを見下ろしながらぁ、今後の方針を定めるぅ。
「さすがのシャインも死ぬんじゃないか」
「あっ、グラス。おはよぉ」
寝癖に跳ねた金髪にぃ、寝ぼけた感じで腹を掻きながらぁ、グラスが呆れていたぁ。
「シャインだからぁ、大丈夫だと思ぉ」
グラスを安心させられるようにぃ、ニッコリと笑ってやんわり答えたのぉ。
「行動を見ている限り自業自得なんだが、シャインも不憫な奴だ。俺は先に顔を洗いに行くからな」
茶色いネコ目を半目にしながらシャインを見下した後ぉ、大きなあくびをしながら出ていったのぉ。
「いってらっしゃーぃ」
グラスは恥ずかしがり屋さんだからぁ、姉妹たちとは一緒に着替えたくないみたいぃ。だから時間をずらすんだよねぇ。
ずらしすぎてデッドとヴァリーの後になっちゃったりもするけどねぇ。
グラスを見送ってからぁ、隣でスースー寝息を立てているアクアを見るのぉ。
「おねーはホントにかわいいなぁ。見ていて平和な感じがするぅ」
あたいは完全人化をいったん解いたぁ。光合成をしながらアクアの寝顔を眺めるぅ、ゆったりした時間が好きなのぉ。
気が向いたらぁ、髪を自分で結んだりもするよぉ。
これでアクアからお水をもらえれば最高なんだけどねぇ。
本末転倒なことを思いながらぁ、アクアの寝顔を満喫するのが日課だよぉ。
満足してから一人で顔を洗いに行ったのぉ。
朝食を食べながらぁ、アクアにお水を五回ぐらいねだったかなぁ。
アクアはめんどうそうに眉をゆがめていたけどぉ、満足するまでつき合ってくれるから大好きなのぉ。
アクアのお水は身体に染みわたってとってもおいしぃのぉ。魔力の塊でもあるからぁ、飲んでいるだけで力になる感じぃ。
ファイト一発なCMの気分だねぇ。
ちなみにシャインは朝食に間に合わなかったよぉ。し○れごなが思ったよりも効いたみたいぃ。
当分はしびれのままでいいかもしれないねぇ。
でもいずれは耐性を持たれちゃうとおもうからぁ、弱い毒の準備もしておこぉ。
食べ終わったら今度はぁ、お庭に行って外で遊ぶのぉ。最近アクアとはぁ、二日に一回一緒に遊ぶぐらいかなぁ。槍に夢中になっちゃっているからぁ。
ちょっと前までいつも一緒だったんだけどねぇ。成長が嬉しいのやぁ、寂しいのやらぁ。
「ねぇフォーレ。シャインがなかなか起きてこないんだけど、何やったの?」
哀愁を漂わせながらアクアの方を見ていたらぁ、エアが飛んできたのぉ。
「し○れごなを使ってマヒらせただけだよぉ。思ったよりも効いてるみたいだけどぉ。心配ぃ?」
コテンと首を傾げるとぉ、黄色いショートヘアを横にゆらして首を振ったのぉ。
「不死身のシャインだから大丈夫でしょ。それよりも飛ぶ練習ができないのがつまんないな」
肩を落としてしょげるエア。
それは悪いことをしちゃったなぁ。
「じゃぁ、あたいが一緒に飛んでもいぃ? お詫びもあるしぃ、景色も見てみたいなぁ」
ヴァリーと一緒に遊ぶのもいいけどぉ、たまには新しいこともしてみたいからぁ。
「ホント! じゃあすぐに飛ぼうよ。準備はいい」
エアは弾けるように顔を上げるとぉ、太陽のようにニッカリした笑顔になったぁ。
「いつでもいいよぉ。その代りぃ、落としたりしたら承知しないよぉ」
慈愛の笑みを浮かべてぇ、エアに牽制しておくぅ。
「うっ、わかってるよ。シャインじゃないから無茶もできないしね」
脅しとして聞こえたのかぁ、エアはちょっと怯んじゃったぁ。
やりすぎたかなぁって思ったけどぉ、わかってくれたならいいかぁ。
「じゃぁ、よろしくねぇ」
「ガッテン承知の助!」
江戸っ子よろしくな返事をしたエアがぁ、力こぶを見せるジェスチャーをしてからぁ、あたいの肩に飛び乗ったのぉ。
「じゃあ行くよぉ」
エアのかけ声と共にぃ、黄色い翼で大空へ羽ばたいたのぉ。
ガッチリ肩をつかまれているのにぃ、痛みはほとんど感じなぁい。
風も心地いいしぃ、景色も壮大なのぉ。
「すごぉい。おとーに肩車してもらってるときより高ぁい」
「でしょ、風も気持ちいいし、言うことなしだよね」
あたいが喜びの声を上げるとぉ、エアの弾んだ声が返ってきたのぉ。ご機嫌みたぁい。
「フォーレぐらいの重さなら一緒に飛べるんだけど、父ちゃんはまだ自信ないんだ。父ちゃんとも一緒に空を楽しみたいんだけどね」
「きっとおとーも楽しみに待ってるよぉ。あたいだって楽しぃんだもぉん」
エアだけの特権だよねぇ。あたいも伸ばせるところを伸ばさないとぉ。
空中散歩を楽しみながらぁ、成長しないとって思ったのぉ。




