表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
最終章 最弱の
711/738

710 目には目を

「レーザ○トライデント!」

 アクアの投げ(やり)がワイズと魔王グラスの間へ割り込むように放たれる。

「おっと。ソイツは受けれんな」

 危機感を覚えた魔王グラスは攻撃から逃げへ転じ、床を蹴ってワイズの頭上を飛び越える事で回避をした。

「助かったぜアクア。死ぬとこだった」

「集中して。気を抜いたら一瞬でやられちゃうから」

 一命(いちめい)を取り留めたところで一息(ひといき)ついたワイズへ、アクアが一喝(いっかつ)を入れる。

 ボクでさえ通常攻撃一発で致命傷を()ったんだ。ワイズやエリスなんてエリクサーを使う猶予(ゆうよ)もなく即死してしまう可能性が考えられる。

 アクアの言っていた事が頷ける。タカハシ家で最強は、紛れもなく魔王グラスだ。

「人間とは(もろ)いものだな。が、手を抜くつもりは毛頭(もうとう)ない。せめて脆いなりに(あらが)ってみせろ」

 グラスは床へ着地するとまっすぐ走り、壁へと跳ぶ。宙返りしながら両足で壁を(とら)えると、勢いよく蹴ってエリスへと矢のように迫った。

「壁からここまでどんだけ距離あると思ってんのよ!」

 人が勢いを保てる距離など(ゆう)に超えた遠さを一蹴りで埋める魔王グラス。迎撃の矢を放つ時間すら与えられない。

「エリス危ない!」

「アクアっ!」

 アクアがエリスを庇うように抱きかかえながら床へ跳び込む事で、攻撃を(かわ)そうとする。

「悪くはないが、遅いっ!」

「ぐぅ!」

 魔王グラスの伸ばした爪が、アクアの背中を()っ裂いた。

「アクア」

「これくらい大丈夫だから、うろたえないでさっさと立つ」

 アクアは即座に立ち上がり、水からトライデントを精製しながら周囲の確認をする。

 魔王グラスは両手を床について跳び、半回転して着地を試みていた。

「好き勝手するのも、大概(たいがい)にしなっ!」

 クミンが着地地点へ回り込んでいる。大剣による振り下ろしが魔王グラスへと迫る。

「フンっ!」

 太い右足から繰り出される蹴りが、大剣の振り下ろしを相殺する。

「いい重さだ。相対するに申し分ない」

「素足で大剣受け止めんじゃないよ。どんだけバケモンなんだい」

「こんな事もできるぞ」

 魔王グラスは身を(かが)め両手で大剣を持つと、ソコを起点に宙返りしながらクミンの背後へと背中合わせに着地。そして振り返りざまにクミンの背へと肘打ちを炸裂(さくれつ)させた。

「がっ!」

「クミン。このヤロぉ!」

 大剣を床に落とし前へ吹き飛ばされる。ワイズが怒りざまに火炎魔法を放つと、魔王グラスは後ろへ跳びながら回避をした。

 ぐっ、急いで剣を拾ってボクも戦いへ復帰しないと。

「ジャス、受け取って!」

 アクアが落ちている剣の下から水を噴き出させる事によってボクの方へと打ち上げた。ナイスだ。コレでボクがクミンを回復するまでの時間を稼げる。

「ハっ!」

 魔王グラスが右腕をムチのようにしならせ打つと、先端から衝撃波が飛んで剣をあらぬ方向へと(はじ)いてしまう。

「何っ!」

「戦いが始まる前から俺の武器を封じたのだ。やり返されても文句は言えまい」

 してやったりという笑み。絶対強者の卑屈(ひくつ)な戦術に、卑怯(ひきょう)だと声を上げる事も封じられる始末だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ