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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第11章 堅物のグラス
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691 決戦前夜の朝に

 獣王城(じゅうおうじょう)(仮)(かっこかり)で一晩休んで翌朝。ボクは早くから(あて)がわれた自室、というか王室にワイズとクミンを招いた。

「こんな朝っぱらから秘密の相談か。だったらクミンを呼ぶのはナシだろ。昼間にプラサ・プレーヌの娼館(しょうかん)を探して夜突入するプランなら人選考えようぜ」

 ワイズ、なんで明日タカハシ家との決戦を控えているのに夜遊びをしようとしているんだい。今日は体調を万全にしないといけない日なんだよ。

「人選を考えろって意見には同意だねえ。ワイズ、要らなかったんじゃないかい」

 ジト目でワイズを睨みながら批難(ひなん)するクミン。擁護(ようご)のしようがない。

「まっ、冗談は置いておくとして、アクアとエリスは話に参加させなくてよかったのかい」

「彼女たちは若く、戦いにきれい事を持ち込んでしまいやすいからね。相手は力こそデタラメだけど正統派な魔王グラスだ。正々堂々と戦って勝利を掴もうと欲を出してしまうだろう」

 ましてやアクアはグラスと兄弟。因縁もあるようだし真っ向勝負に拘ってしまいそうだ。

「なんか小細工でも考えてんのか。確かに小賢(こざか)しい手ならオレのが得意だ」

「知っての通り魔王グラスの獣双剣(じゅうそうけん)は計り知れない威力をしている。ボクのブレイブ・ブレイド打ち破るほどに。彼を倒すには、早々に双剣を使えなくするしかない」

 小汚い手と称するわりには、かなり限定的な条件になりそうだけどね。

「運がよければワンチャン、といったところだねえ。魔王グラスが対面時点で既に双剣を握っていたらどうしようもないんじゃないかい」

「握っていなかった迂闊(うかつ)を狙う策でしかないよ。笑ってくれていいほどちゃっちな手だ。けどもしチャンスが訪れたなら、逃したくない」

 獣双剣を撃たせなければ、ブレイブ・ブレイドで倒せる可能性が生まれる。もしかしたら、殺さずに倒せる可能性だってあるかもしれない。

「そういう事なら任せろ。チャンスがあったら的確に双剣を使えなくしてやっよ」

 頼もしい限りだ。明日で、この救いようのないタカハシ家との戦いを終わりにしてやる。必ず、勝つ。

「話も終わったようだし、オレはプラサ・プレーヌ美人をナンパしに行くとすっかな。どうせ一日じゃ身体の鍛えようもねぇかんな」

「動機は不純だけど同感だね。せいぜい身体が鈍らないよう軽い運動ぐらいはしておくよ。アクアに願われたのもあったけど、一日空けたかったのも事実だしねえ」

 ワイズもクミンも肩の力を抜きながら部屋から出て行ったよ。

 今日一日を自由時間にしてほしいとは、昨日急にアクアから言われた事だ。

 少し落ち着きたかった事もあるし、プラサ・プレーヌの様子を見に行きたい事情もあった。アクアの提案はボクたちにとっても願ったりな事だった。

 せっかく得た猶予。シッカリと鋭気を養わせていただくよ。

 明日はせめて、アクアのお父さんだけでも救わないと、な。

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