表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第11章 堅物のグラス
675/738

674 気迫

「脳筋は褒め言葉じゃないからっ!」

 アクアが跳躍(ちょうやく)をし、トライデントを下に向けて魔王グラスへ落下する。

侮蔑(ぶべつ)をひっくり返せずに何が長所(ちょうしょ)か。愚直(ぐちょく)昇華(しょうか)させしパワーに死角などはない!」

 急襲突きを右の剣一本で払い除け、アクアを宙へ弾き返す。

「タイマンだったらそうかもね」

「けどアタシ達はチームなのよ。死角なんていくらでも生み出してあげるわ」

 エリスが魔王グラスの背に回り込みながら矢を乱射(らんしゃ)した。

「ほぉ、()えて攻撃を乱れさせる事で本命を見抜きにくくするか。若いのに大した胆力だ」

「黙れ七歳児。見下すなら本命を(さば)ききってからにしなさい」

 左の剣で的確に命中する矢を叩き落としている横っ腹へ、アクアが急接近からのダッシュ突きを放つ。

「行けっ、本命(アクア)

「はぁぁぁぁあっ!」

「ふんっ!」

 伸ばされたトライデントは、右の剣から()りなす不動の突きに合わされ止められる。左の剣は忙しなく矢を迎撃しながらだ。

 あの二人の連携ですら、魔王グラスの防御を崩せないのか。

「矢の中を()(くぐ)りながら切り込んでくるとは、味方を頼る戦いが上手くなったなアクア」

「おあいにく様。私とエリスのコンビネーションはこんなもんじゃないから」

 硬直していたトライデントを水に戻し魔王グラスのバランスを崩しにかかる、と同時に新たにトライデントを精製して自ら攻めの起点を作ろうと画策(かくさく)した。

「ねぇグラス、互いに力を押し付け合ってた()り所を消滅させたんだよ。普通は体勢崩れるでしょ」

(そな)えがなければな。その程度の(だま)()ちなら想像するに容易(たやす)いわっ!」

「わぁぁぁぁぁあっ!」

 攻めに転じようと一歩踏み出していたアクアへ、右の剣が振り上げられる。トライデントを横に持ち防御をするも、あまりの勢いで吹き飛ばされた。

「アタシの矢を捌きながらアクアを簡単に退(しりぞ)けた。どこまでバケモノなのよ。魔法で属性(ぞくせい)付与(ふよ)してる矢だって斬ってるはずなのにビクともしないなんて」

「付与程度、魔法そのものを斬るより容易(ようい)だろう」

 言われてしまえば納得せざるを得ない。

「まだまだっ。はぁぁぁぁあっ!」

 地面を転がりながら立ち上がったアクアは、再三トライデントでの突きを仕掛ける。

「いいだろう。一度や二度で(おび)えられてはつまらん。何度でもかかってこい」

「ゲリラ槍雨(そうう)っ!」

 魔王グラスの正面からトライデントを突き出しながら、背面にある噴水から無数の槍を精製して奇襲を図った。

 イケる。いくらなんでもコレは(さば)きようがない。

 オマケにエリスの放つ矢も横から乱射されている状態だ。

「はぁっ!」

 魔王グラスが力強く踏ん張って気迫を放つと、背後から迫るトライデントも、横から乱射される矢も、正面から突きを放つアクア本人もまとめて吹き飛ばした。

「あぁっ!」

「ちょっと、そんなのあり」

 矢を射る手を止めて呆然とエリスが呟く。

 全方向に隙がない。こんなの、どうやって戦えばいいんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ