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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第11章 堅物のグラス
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666 本物

「ワイズから離れろぉ!」

 なりふり構わず駆け寄り、ワイズに噛みついているギンへ突きを放つ。

「あら、危ない」

 エリスの矢を消滅と出現で回避してまで執着(しゅうちゃく)していた噛みつきを、ギンはあっさりと諦め後方へ跳んで逃げを打つ。

「うおぉぉぉおっ!」

 ワイズは息を荒げ、吠えながら左手で風魔法をギンの着地地点へ放つ。

 今度は銀光(ぎんこう)がキラめいて消滅する事で風魔法をやり過ごし、終わったところを再びキラめいて姿を現した。

「けっ、なるほどなぁ。テメェは一旦消えたらある程度近くにしか姿を現す事が出来ねぇんだろ。しかも消滅時間は数秒。その場に留まる攻撃に消滅は使えねぇ!」

 そうか。だから突きは避けざるを得なかったんだ。出現した時に剣が身体にめり込んでしまうから。

「短い攻防で弱点に気付くなんて、意外とキレるのね」

「ついでに今必死に避けたって事は、テメェが本体だろ。いくら目眩(めくら)まししようが、本体への攻撃は本能が回避を選ばせちまう。掴んだぜ、クセ」

 確かに被弾をしまいと必死に回避をしていた。行動そのものが本体という証拠だ。

「ふふっ、あははっ。バカね、全員本体よ」

 ワイズの自信に満ち溢れた推理は、ギンの暴言で破綻する。

「たっ、確かに。分身体を使ってボクたちを攻撃する時、全員のギンが攻撃を当てていた」

 偽物とかが混じっているという話なら、本体以外は攻撃力を(ともな)わないはず。

「驚いたかしら。本物を探し当てようなんて無駄なの。わかったら恐れ(おのの)きなさい」

 三匹のギンは再びボクたちを攪乱(かくらん)しようと走り回り、機を見て突っ込んでくる。

 今度はボクにまっすぐと、クミンにジグザグと、ワイズに跳び上がっての体当たりを仕掛けてくる。

「全員本体って事は、これでいいのか。フリーズ」

 ワイズは自身に跳びかかってくるギンを無視し、半信半疑で僕を狙って駆けてくるギンへ氷魔法を放った。

「この程度の不意打ちはかからないわよ」

 銀光を放って消滅するギン。氷魔法は地面に被弾すると周囲を凍てつかせた。そして凍てついた空間の真ん中に銀光が現れ、氷漬け状態のギンが出現した。

「ウソでしょ」

「こっちのセリフだ・檻に閉じ込めるのが正解なんて思っちゃなかったぜ」

「けど攻撃に夢中になりすぎて無防備よ」

 一匹捉えたところで、他のギンがすぐさま動きを止めるわけでもない。 少し動きは鈍くなっていたようだけれども。

 ワイズへ跳びかかっていたギンも同様だ。

「エリス、頼むぜ」

「わかってるわよ」

 ワイズを守る形で遠距離から矢を放つエリス。ギンの横っ腹を貫く見事なタイミングだ。

「その程度でワタシを出し抜いたと思わないで」

 しかし放たれた銀光により消滅。矢は標的を失い、そこら変に生えている木に突き刺さった。

「悪ぃけど、出現のタイミングはもうわかってんだ。エアスラッシュ」

 ワイズはギンの出現に合わせて風の刃を放った。出現したタイミング切り裂くと同時に、氷漬けのギンもクミンへ襲いかかろうとしていたギンも切り裂かれた。

 森が静まりかえる。どうやら配下の獣共もエリスを筆頭にした精鋭達が撃破していたようだ。

 最後こそ呆気なかったものの、危ない戦いだった。

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