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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第11章 堅物のグラス
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662 白黒

「ほぉ、今の攻撃を受けてダメージがその程度か。やはり大物は一筋縄ではいかんか」

 クロが立ち上がるクミンを眺めながらニヤリと笑みを浮かべた。

「ワシらを()(くさ)らないでくれるかい。今いるメンバーはね、アクアもひっくるめて全員仲間なんだよ。(した)()なんて一人もいやしないんだ!」

 クミンが大剣を構えて駆けだそうとしたところに、空から風圧弾が襲いかかる。横跳びに回避してから舌打ちが鳴った。

「ちっ、白ウサギが」

「やるぅ。ボクの事なんて忘れてると思ったのになぁ。シッカリ警戒してくれてる」

 シロがクロの側に着地をすると周囲から羊やヒョウ、サイといった獣たちがゾロゾロと集まってきた。

「ちぃ、第二陣の登場かよ」

「厄介だねワイズ。けど、敵が立ち塞がるなら倒していくだけだ」

 気怠(けだる)げに(どく)()いたワイズを(いさ)めながら、ボクは剣を構え直した。クロはクミンを吹き飛ばすほどのパワーに瞬発力も持っている。

 接近戦は危険そうだけれど、キーのような無差別広範囲攻撃はしてこないだろう。ならばボクが引きつけられる。

「みんなはシロクロに警戒しながら他の獣共を相手しなさい。何が飛んでくるかわからないから気を抜くんじゃないわよ」

「おぉぉぉおっ!」

 エリスの号令に、精鋭達が雄叫(おたけ)びを上げて気を引き締め直した。もうこれ以上、被害を増やしてなるものか。

 一瞬たりとも視線を切らさぬよう注目していると、クロが周囲を見渡した。

「ほぉ。キーはなかなか(おもむき)のある置き土産(みやげ)を残してくれたじゃないか。折角だ、使ってやろう」

 クロは地面に突き刺さっている倒木を引っこ抜くと、ボク達に向かって遠投してきた。

「なっ!」

 豪速で飛来する倒木。(かろ)うじて(かわ)しはしたけど、すれ違った際の風圧が凄まじかった。標的を失った倒木は生えている木に激突すると、双方とも轟音を立てて砕け散る。

「なんっつぅパワーバカだよっ!」

 あまりの威力にワイズが悲鳴のような言葉を吐き捨てる。あんなの食らったら、一溜(ひとたま)まりもない。

 クロの一撃はキーと違って、狙いを定めているから脅威度が凄まじい。

「倒木は持ったかクロ、派手にやっちゃえ!」

「シロはそれ、言いたいだけだろ。文句は言いつつも投げつけるがなぁ!」

 クロは一投目で感覚を掴んだようで、二投目以降からは拾っては投げての連続攻撃を仕掛けてくる。

「みんな逃げに徹しなさい。下手に物陰に隠れたら障害物ごと吹き飛ばされるわよ」

 ボクたちだってその場で避けるのに必死な状態だ。精鋭達に逃げるなと言う方が非情なほどだ。だから、クモの子を散らすような状態に文句はない。

「くそっ、どうにか接近してクロを止めないと」

「そんな、余裕あるのかな」

 打開策がないか模索しようとしていたところに、陽気な声が飛来してきた。いや、シロが飛来する倒木の上に乗ってきている。

「ウソだろっ!」

「ボクだけじゃないよ。倒木に紛れながら獣たちも押しよてるんだからっ、ねっ!」

 放たれる跳び蹴りはどうにか躱せたけれど、シロからの攻撃方向が増えたのは脅威でしかなかった。

 コイツら、どうペアを組んでも強いっ。

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