表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第10章 病原のフォーレ
641/738

640 裏方に埋もれていた仲間

 フォーレとの戦いで(しょう)じた心の傷を癒すため、数日ヴァルト・ディアスに身を留める事になった。

 タカハシ家との戦いは、ただ失う物が多い。

 アクアが巫女キナハトや色んなエルフ達にフォーレがどう聞いて回る日々だ。

 ボクやワイズ、クミンも心配だったけど、ずっとベッタリとついて回るのも違うので自然に前向きになれるのをただひたすらに待つ事になる。

 エリスは特別だったからベッタリくっついていたけどね。

 女の子とは常に一緒にいる事が普通なのかとクミンに尋ねたら、少なくともドワーフはそうじゃないって答えられたよ。種族が悪かったかな。

 アクアはフォーレの軌跡(きせき)を知る度に少しずつ明るさを取り戻していき、同時にエリスは微妙な表情を増やしていった。

 フォーレの奇行(きこう)が聞くに()えなすぎて、同じエルフとしてもう。との事。

 あの娘は本当に何をやってきたんだ。知るのが恐ろしくなる。

 エリスの不機嫌というよくわからない対価を払いつつもアクアは元気を取り戻してゆき、ついには吹っ切れる。

 そしてエリスが頭を抱えていた。話を聞いてみると思いもよらないきっかけが急に訪れたんだとか。

 アクアは道行く途中、最後に残ったタカハシ家、魔王グラスから連絡が届いたらしい。

「最初はアクアの言葉しか聞こえなかったんだけどね。話が終わってからあっけらかんとアクアが教えてくれたわ」

 ほんの少し会話をしただけで、アクアは戦意を復活させたのだと。

 確かにいろいろと複雑にさせられる。そんな重要そうな事を隠さなくても大丈夫なのか。最後に残った弟に鼓舞(こぶ)されといて、命懸けの戦いをして大丈夫なのか。終わった時の喪失感(そうしつかん)()えられるのか。

 もはや不安しかない。けれども進まなければならない。

 今度こそ、最善の形でタカハシ家の暴虐(ぼうぎゃく)を止めるために。

「それに、プラサ・プレーヌには彼女もいるかんな」

「ジャスだって心配だったんだろう」

 ワイズとクミンの言葉にボクは頷いた。

 魔王アスモデウスとの決戦には同行しなかったものの、ギリギリまでボクたちの仲間だった僧侶。

 慈悲深い回復のエキスパートが故に、非力で戦場へ連れていけれなかった裏方の仲間。

 彼女の強力な回復魔法がなければボクたちは生きていなかった。だから凱旋(がいせん)は五人でって思っていた。

 謙遜(けんきょ)なのか後悔(こうかい)なのか、最終決戦へ乗り込む事ができなかった臆病者に称賛(しょうさん)を浴びる資格はないと(かたく)なに拒まれてしまった。

 そして罪滅ぼしも込めて、プラサ・プレーヌの女神として祭り上げられ派遣されてしまった。

 形だけの代表者。何か起こったら責任を負わねばならない生贄。事が起こってしまっている現状、生存している可能性はほぼゼロに近いだろう。

 それでも助けに向かう。できうる限りの回り道をしてしまったが、新王都プラサ・プレーヌを奪還(だっかん)する。

 すぐに行くから待っていろ、魔王グラスよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ