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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第10章 病原のフォーレ
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625 キレイなグラデーション

「うおぉぉぉおっ!」

 空元気(からげんき)雄叫(おたけ)びを上げながらぁ、ジャスが強引に剣を振るってくるぅ。どう()けても隙を晒してくれるからぁ、アタイとしても蛮勇(ばんゆう)猛攻(もうこう)はありがたいんだよねぇ。

 まぁアタイも余裕なくなってきたからぁ、大袈裟(おおげさ)(かわ)しながら反撃するんだけどぉ。

「きぃえぇぇぇ」

 剣に振り回されて体勢が崩れているところぉ、押し倒す様に双掌打(そうしょうだ)を放つぅ。

 派手に吹っ飛ぶんだけどぉ、しぶとく立ち上がってくるねぇ。ダメージ入ってないのかなぁ。入ってないのかもなぁ。

 荒い息遣いでぇ、剣を支えにしながら水色の目に光を宿して睨み上げてくるぅ。

「どうした、魔王フォーレ。この程度じゃボクは倒せないよ」

「厳しいなぁ。最初にも言ったけどぉ、アタイ弱々なんだからぁ。健闘してるのを褒め(たた)えてもぉ、バチは当たらないと思うなぁ」

 挑発に乗ってジャスへと駆け出すぅ。湿っぽい土を踏みしめながら、始動を観察して攻撃を読むぅ。あれぇ、なんか違和感があるようなぁ。

「はぁっ!」

「おっとぉ」

 考え事してたから攻撃当たるところだったよぉ。月下美人の影響でぇ、もう動けるのがジャスしかいない状態なんだよぉ。集中しないとぉ。

 兜割(かぶとわ)りを避けながら、裏拳で顔面へカウンターを決めるぅ。当然ジャスを吹き飛ばすんだけどぉ、回転したせいでアタイもフラついちゃったよぉ。

「ありゃりゃぁ。目が回るぅ。なんてねぇ」

 もつれる足を止めようとぉ、力を込めて地面に踏み込むよぉ。

 バシャって音が響いたぁ。足に冷たさも感じるぅ。見下ろすとぉ、植木鉢が膝下まで浸水してたよぉ。

「水ぅ、なんでこんなぁ」

「今だっ。みんな伏せろっ! ボムズ!」

 ワイズが叫ぶと同時にぃ、小さな魔法を放ってきたぁ。

「あっ」

 植木鉢は燃えやすい環境に整えてあるぅ。火炎系の魔法を使うと巻き込まれるぞってぇ、アタイの弱点を封じる策を張り巡らせたぁ。それを使われたぁ。

 魔力のあまり込めれていない小さな爆発魔法を火種にぃ、植木鉢内が次々と燃え広がるぅ。巨大なスギの木もぉ、枝も葉っぱもぉ、月下美人の花粉さえも燃えていくぅ。

 木陰のような薄暗い涼しい空間がぁ、真っ赤な熱に包まれたぁ。

 マズいねぇ。万全のアタイでも火を消す手段を持っていないのにぃ。息苦しくもなってきたねぇ。もはやアタイに為す術なしだよぉ。若干アタイにも燃え移ってるしぃ。

 ジャスも仲間達もぉ、水の中に身を隠してるぅ。膝下の水を生命線にしてるぅ。

「いいよぉ。最後の根性比べでもしよっかぁ。花粉ってねぇ、水に溶けやすいんだからぁ」

 水に溶けた花粉はぁ、燃えずに残ってるはずぅ。ならまだ効力を残しているぅ。まだアタイは咲いてぇ。

「フォーレ!」

 正面の水面からぁ、動けないはずのアクアがトライデントを持って飛び出してきたぁ。いつだって真剣でキレイな青の眼差しにぃ、めいっぱいの戦意を込めてぇ。

「アクア」

 飛び跳ねる飛沫(しぶき)の青と燃えさかる赤のグラデーションが幻想的でぇ、思わず目を見開いちゃったよぉ。

 突き出されたトライデントが左肩に刺さってぇ、勢いのまま地面へ押し倒されたぁ。

 衝撃が大きくて痛みがこないやぁ。見上げるとぉ、悲しそうな青のシルエットがアタイに(おお)(かぶ)さってたねぇ。

「わかんないなぁ。月下美人の花粉からどう逃れたのぉ」

「身体が動かなくても水を作り出す事はできたの。花粉が水に溶けやすい事も知ってたから、花粉を弾く水を作り出した。水に身体を浸からせてたら、痙攣もなくなった。今度こそ勝ちだよ、フォーレ」

 アクアの水質調査ってそんな事も可能だったんだねぇ。それに花粉を吸い続けてこそのアナフィラキシーショックだったのかぁ。遮断したら治っちゃうんだねぇ。

 やっぱりアクアは強いやぁ。でも勝ち名乗りを上げてるのにぃ、泣きながら抱き締めてくるのは違うと思うなぁ。

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