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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第10章 病原のフォーレ
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624 開花期間

 ジャスの攻撃精度が明らかに低くなってるねぇ。剣を避けながら(ふところ)に潜り込むなんてぇ、今のアタイでも訳ないよぉ。

「ぐはっ」

 ジャスのボディに下から(こぶし)を入れてぇ、仰け反ったところにハイキックで吹っ飛ばすぅ。

 一回完全回復したっていうのにぃ、もうボロボロになっちゃってるねぇ。月下美人を咲かせただけあるよぉ。想定以上のアレルギー症状を付与してるぅ。

 勿論キュア・ブレイブで症状を治された事には焦ったよぉ。けどぉ、日に二回程度の制限しかない必殺技にぃ、渾身の月下美人が負けるなんてあり得ないねぇ。

 お仲間さんたちは症状が酷いせいでぇ、援護すらできてなぁい。おかげで勇者一人に専念できるぅ。

 クシャミが止まらなくてクミンはツラそうだしぃ、ワイズは涙が止まらなくて視野がボヤけてそぉ。エリスなんかはかゆみを抑え切れてなぁい。

 そんでもってぇ、問題はアクアだねぇ。(うつぶ)せで倒れながらぁ、アナフィラキシーショックに命を(むしば)まれてるぅ。

 ずっと越えたいと思ってたぁ。けどこんな形は望んでないよぉ。死んじゃダメだからねぇ。だって成長を続けているアクアはどんな時でもキレイでぇ、常にアタイに(うるお)いを与えてくれたからぁ。

 普段のアタイじゃ釣り合えない憧れだったぁ。月下美人を咲かせてようやく追いつけたんだよぉ。アタイはねぇ、こんな風に見下したかった訳じゃないのぉ。

 開花してるアタイをぉ、見てほしいだけなのぉ。だからぁ、(しぼ)む前にその目に焼き付けてよぉ。

「まだっ、だ。まだ、ボクは」

 アクアから視線を切ってジャスを見る。ボロボロな上に身体も(だる)くてえらいはずなのにぃ、何度でも立ち上がってくるぅ。

 いくらアタイが弱いからってぇ、猛攻に手応えを感じさせてくれないのは落ち込んじゃうなぁ。

 もっと痛めつけちゃわないとぉ。

「ってあれぇ」

 ファイティングポーズをとってぇ、駆け出そうとしたら全身の筋が引き攣ったよぉ。思わず止まって自分の二の腕を眺めたぁ。まだまだふっくらとぉ、若い黄緑の色を保ってるぅ。

「思ったより早いなぁ。元より開花期間が短い事は承知だったけどもぉ」

 次キュア・ブレイブを撃たれたらぁ、アタイに逆転の芽はなくなるだろうなぁ。勇者一行が勝機に気づけるかは定かじゃないけどもぉ。

 まぁ、どの道散り際が近いかぁ。もうすぐアタイの時間は終わるんだぁ。

「けどぉ、まだアタイは咲けてるぅ。咲いている限りは戦えるぅ。まだ植木鉢の主役でいられるぅ」

 最初から勝つつもりなんてなかったけどぉ、せめて月下美人は凶悪だったって記憶に叩き込まなくっちゃぁ。

「ラストスパートぉ、叩き込むよぉ」

「くるなら、こいっ!」

 ジャスはフラつく身体でぇ、剣先をアタイに向けながら啖呵(たんか)を切ったよぉ。アタイも震えだした身体に(かつ)を入れてぇ。拳を作って駆け出したぁ。

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