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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第10章 病原のフォーレ
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616 姉妹だからこそ

「クリエイトアイス!」

 ワイズが氷の盾を作り出し鉄球を防ぐ。が鉄球の衝撃が凄まじく、氷に(ひび)が入った。

「勢い落ちてるくせにこの威力かよ。どんだけ質量詰まってやがんだ!」

「はあぁっ!」

 氷の盾が押し潰されて砕ける瞬間、クミンが横から大剣をフルスイングして鉄球を弾き飛ばした。

「ちっ、硬い。やっぱり壊せないかい」

 ほんの少し、大剣の一部が欠けてしまう。対いて鉄球は少し傷ができた程度で、武器として充分に機能する。

「頑丈さも取り柄の武器だからねぇ。もう一丁ブン投げるよぉ」

 再びコピーフォーレが枝を経由して鉄球にツタを伸ばし、更に二人のコピーフォーレが抱きついて鉄球を持ち上げる。

「そう何度もやらせないわよ。隙だらけの攻撃が何度も通じると思わないで!」

 三人のコピーフォーレが地に足をつける前に、エリスが矢で射貫いて仕留めた。

「負けちゃったぁ」

「覚えてろよぉ」

「ふじこぉ」

 宙に浮いた鉄球は支えを失い、地面へと落下する。三人がかりで振り回していた鉄球だ。使うには目立つ予備動作が必要だろう。ならば、止められる。

「キャッチぃ」

 鉄球の危険度を下げた瞬間、頭にツタを生やしたフォーレが片手で鉄球を掴んで振り回そうとした。

「はっ?」

「誰も鉄球をぉ、一人で振り回せないなんて言ってないよぉ」

「わかってたよ。フォーレがそうやって隙を突いてくる事ぐらい。ずっと一緒に育ってきたんだもん」

 ニマリと笑みを浮かべるフォーレの後ろから、鉄球を一人で使うと予測していたアクアがトライデントで薙ぎ払った。

「そんなぁ、あぁぁぁぁぁあっ!」

 驚愕で緑の瞳を見開いたフォーレは、背中を斬られた痛みで声を張り上げた。

 入れた、アクアが痛恨の一撃を。仲がいい姉妹だからこそ、フォーレの思考を読み取れたんだ。

「なんてねぇ、アタイもコピーだよぉ。アクアなら鉄球にオリジナルが手を伸ばすってぇ、山勘(やまかん)張ると思ってたんだぁ」

「うそっ!」

 まさか、コレもコピーだって言うのか。

 ペロリと舌を出したコピーフォーレは全身が種となって散り、地面へと植わる。そして無数の根となってアクアへと襲いかかった。

「くぅ!」

 トライデントを振るいながら後方へ跳び退(すさ)り、根を切り捨てて回避する。

「ここでオリジナルを一撮(ひとつま)みぃ。敵の尻ぃ、己を知ればってヤツだねぇ」

 いつの間にか鉄球を手にしたオリジナルフォーレが、アクアの横っ腹に鉄球を投げつけた。

「がっ、はっ!」

「アクアっ!」

 身体をくの字に曲げながら吹き飛ばされるアクア。

 ボクたちの中で一番強く、そして魔王フォーレを一番知っているアクアでさえ翻弄(ほんろう)される始末。

 一撃の遠さが、絶望の距離を表していた。

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