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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第10章 病原のフォーレ
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609 二足歩行

 時折襲いかかってくる根を(かわ)しながら進んでいると、洞窟の先から光が射し込んできた。土中(どちゅう)エリアを抜ける。いよいよ魔王フォーレとのご対面だろうか。それとも。

(まぶ)しい。けどいい景色。森を上から眺めるとこんな感じなんだね」

「まぁ景色がいい事は認めるわ。けど植木鉢の外に出るのはどういう了見(りょうけん)よ!」

 視界いっぱいに広がる森を眺めながらエリスが怒鳴り散らす。

「ジャス。ここまで一本道だった気がするのはワシの気のせいかい」

「いや、分岐(ぶんき)なんて一ヶ所もなかったよ」

「ならどうして、進む道がないのかねえ。まさか魔王フォーレは策略だけでワシらに勝つつもりじゃないだろうね」

 魔王フォーレは自称弱者を宣言していたし、策略に関して得意なのは言うまでもない。けど戦わずして勝つなんて選択は取らない気がする。

「あっ、よく見ると太いツタが螺旋(らせん)階段のように植木鉢に巻き付いて上へ延びてる。たぶんコレが進行ルートだよ」

 アクアが外まで近付いて覗き込んだ事で、用意されていた道を発見する。

「用意されてんのはいいけどよぉ、かなり危険な道じゃねぇか。オレを落とすんじゃねぇぞクミン。後揺らしたり衝撃を与えたりすんのもNGだかんな」

「要求の多いお姫様だね。外へ放り投げてやろうかい」

「お前を死んでも離さねぇぜ」

 使い方さえ間違えなければ凄くかっこいいセリフなのに。残念な気持ちを抑えられないよワイズ。

 危険を承知でツタへと足をつけ、緩やかな斜面を歩いて上を目指しす。緑の匂いと風を感じる。まさか外から植木鉢を登る事になるとは。

 時折ツタを伸ばして迫り来る花を斬り捨てながら進んでいると、少々強い存在感が立ち塞がっている事に気付いた

「ジャス。強めの魔物が待ち構えてるよ」

「みたいだね。油断しなければ問題なさそうだけど、場所が悪い。気を引き締めよう」

 剣を握り直すと、正面から二足歩行のヘチマが跳び跳ねてきた。両手には刃物がついたツタを持っていて、ブンブン振り回しながら飛ばしてくる。

「ちょっと、フォーレ」

 アクアの驚きようが気になるが戦闘に集中する。攻撃を避けると刃物は床にグサリと刺さったが、ツタを引く事によってヘチマの手元へと戻って行く。武器としては鎖鎌(くさりがま)みたいなものだろう。

「ならばツタを斬ってしまえば何もできまい」

 ヘチマは他の魔物より動きがよかったけれど、ボクらほどじゃない。すぐに武器破壊をし、身体を真っ二つに斬り捨ててやった。

 次に現れたのは二足歩行のキノコだ。背が小さい。分身のような幻影で攻撃してきて動きが読みにくい。が動きさえ読めれば大した事はない。

 更に二足歩行のナルシストなバラ。二足歩行で踊りながら現れたタマネギ。二足歩行で細身のヒマワリと連戦する。

 洞窟内でのサボテン責めに比べて、統一性がないのが少し気になった。あまりに両極端(りょうきょくたん)な魔物配置なのだが、ただの気まぐれだろうか。強いて言うならみんな二足歩行だったぐらいか。

「フォーレ。私もう進むのが怖いよ。次は何を()してくるつもりなの」

 ただ事情を知っていそうなアクアだけが遠い目をしていたよ。

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