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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第10章 病原のフォーレ
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594 根回し

 もう最後になるからぁ、ススキにも挨拶しとかないとねぇ。行動の予測はバッチリだからぁ、朝ここを通るのを待つばかりぃ。

 夜明け前から待ち伏せてぇ、強くなっていく陽の光を浴びながらウトウトするぅ。

 ぽつりぽつりと道を人影が現れてぇ、陽が昇っていく程に通行人が多くなっていくぅ。

 そしてまだ早い時間にぃ、ススキが通りすがろうとしたよぉ。

「おはよぉススキ。待ってたよぉ」

「え?」

 通りすがって行こうとしたススキに声をかけたらぁ、振り向きざまに驚きながら見下ろしてきたよぉ。

「よいしょぉ」

「ちょ、フォーレ。公園の花壇(かだん)から出てこないでよ。心臓に悪いじゃない!」

 花壇に生えている草花に(まぎ)れた甲斐もあってぇ、朝一番のドッキリを決められたよぉ。土の中から這い出ながらぁ、ススキに近寄るぅ。

「アタイも勇者と戦う番が来たからぁ、別れの挨拶にきたのぉ」

 ニマリと笑顔を向けるとぉ、ススキは警戒するように後退(あとず)ったよぉ。心外だなぁ。

「フォーレも行くのね。どいつもこいつも、ちょっとは留まったらどうなのよ」

 悪態をつきつつ心配もしてくれるぅ。アタイ達にはない魅力だねぇ。

「留まる選択なんてとっくに捨てたからなぁ。ススキは寂しぃ」

「別に。好き勝手かき乱すやつがいなくなってホッとするぐらいね」

 フンと鼻を鳴らされちゃったよぉ。心臓に悪いのも本当だからねぇ。

「ひねくれ者だなぁ。そんなススキにぃ、お薬あげちゃぁう」

 白衣のポケットから薬を取り出してぇ、ススキへと差し出すよぉ。

「出た。フォーレ印の得体の知れない何か」

 警戒心を剥き出しにしながら薬を凝視されるぅ。

「ただの媚薬(びやく)だから心配しないでよぉ。おとーを(なぐさ)めるときに使ってねぇ。忘れられない夜になるからぁ」

「とても受け取りたくないんだけど」

「意地悪言わないのぉ。あと一回おとーはぁ、気持ちをドン底まで落とすんだからぁ。ススキの力でぇ、また生きる気力を取り戻させてほしぃ」

 (うれ)いを伝えるとぉ、たっぷり時間をかけてから渋々お薬を受け取ってくれたよぉ。

「ホント、あんた達にはイヤになるわよ。いつだって重い想いを押し付けてくれるんだから。ところで二回じゃないの?」

「一回で充分だねぇ。最後のもう一回はぁ、おとーの戦いの間近に訪れるからぁ。その瞬間まで心が()てばぁ、おとーは魔王人生を終わらせられるぅ」

 おとーもあとちょっとで咲き時が訪れるぅ。けど咲かせる瞬間までは気を緩めれないからねぇ。チェル様とススキのケアにかかってるんだよぉ。

「責任重大じゃないの。だからフォーレは怖いのよ。とことんいじめてくれちゃって」

「頼ってる証だと思ってねぇ。今のススキにならおとーを任せられるからぁ」

 おとーを殺そうとした小娘だからこそかねぇ、気を許しあえるようになれたのはぁ。

「そこまで言われたらコーイチ()っちゃうから。後で泣いて詫びるといいわ」

 ススキは媚薬をポッケにしまいながらぁ、ツンと首を横にしたよぉ。

 できうる限りの根回しも終わったぁ。さぁてぇ、折を見てヴァルト・ディアスに向かおうかなぁ。

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