590 フォーレ・タカハシ
花の形は多種多様だよねぇ。同じ木から咲いても色合いやグラーデションが違うからぁ、完全一致なんて存在しなぁい。
もちろん種類が違えば色も形も変わってくるぅ。けどみぃんな懸命に咲くのぉ。
地中の養分を吸い取ってぇ、めいっぱいお水を飲んでぇ、地面を突き出し芽吹いてぇ、全身で光を浴びてぇ、懸命に蕾を成長させるぅ。
そして自分だけの花を咲かせるのぉ。精一杯咲き誇ってぇ、こんなにキレイになったんだぞって胸を張るぅ。
図太く長く根を張ってぇ、逞しく環境に適応しながら堂々とぉ。
一番輝ける瞬間をぉ、どんな花でも望んでるぅ。一世一代の晴れ姿ぁ。
たとえ儚く舞い散る運命だとしてもぉ、みんな自分を咲かせるのぉ。
ようやくアタイの番が回ってくるぅ。ずぅっと待ってたぁ。かなり遅咲きになっちゃったねぇ。
どんな咲き方が出来るかは自分でも咲いてみるまでわからないけどぉ、咲いてみせたぁい。魅せびらかしたぁい。アタイって花をありったけにぃ。どんなに儚く散ってもぉ。
おとーにも、チェル様にも見せたかったなぁ。キレイだって褒めてくれたかなぁ。ちょっと残念だなぁ。
でもぉ、大好きなアクアにだけは見せてあげられるぅ。アタイの咲き誇った姿をぉ。
加減のできない全力だけどもぉ、アタイの晴れ舞台をアクア達には乗り越えて欲しいなぁ。
もうちょっとだけ待っててねぇ。もうすぐ咲かせてあげるからぁ。




