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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第9章 深怨のヴァリー
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582 絶体絶命

 どうしてこのヴァリーちゃんが危ない目に()わなきゃいけないのよー。こっちは次のキャッスル・プリンセスをどうデザインしようか忙しいってのにー。

 デッドはバカにしてくるしー。この戦いが終わったら罰として(たましい)の状態で三日ぐらいいじめちゃうんだからー。

「勇者達とのお遊びもいい加減に飽きたのー。ちゃちゃっと死んじゃってよー!」

 ヴァリーちゃんが跳ぶとー、デッドがクモの巣を張ってくれたよー。トランポリンみたいに夜空へと跳ね上がるー。

 ジャスとワイズの視線は釘付けだねー。さっきはナマイキに囮作戦なんてしてくれちゃったからー。今度はヴァリーちゃんが目を()いてあげるー。

 地上の夜闇に隠れたデッドがー、無数にあるゴミみたいな墓をクモ糸で絡ませて簡易凶器を完成させたー。

「ヴァリーにばっか注目してんじゃねぇよ勇者共」

 墓を振り回して勇者達へ叩きつけるー。逃げ回ってるのが必死で無様だねー。

「なんっつー罰当たりな攻撃してきやがる」

「死者への冒涜(ぼうとく)が過ぎるんじゃないか、デッド」

「死人に口なしってなぁ。喋ってけどよぉ!」

 次々と叩きつけては墓が壊れていくねー。さっさと被弾して己の墓にしちゃえば手間が省けるのにー。さーて、そろそろヴァリーちゃんもいくよー。

 大鎌を両手で振りかぶってー、ジャスを目がけて振り下ろーす。

 ヴァリーちゃんの急襲に気付いてジャスが見上げてきたけどー、もう遅ーい。仮に対処できたとしてもー、剣より大鎌の方がリーチあるもんで怖くないよーだ。

「ほんとわかりやしぃな。クリエイトアイス」

 ジャスの整ったお顔を貫くって瞬間にー、小さな氷の盾が出現して大鎌が突き刺さったー。

「はー。ヴァリーちゃんのキメ時だったのにー」

「残念だったな。ボクのキメ時だ」

 ジャスが剣先を向けて跳躍しー、ジャンプ突きを放ってきたー。大鎌で防御しようにも刃が抜けないー。

「させっかよぉ!」

 デッドが叫ぶとー、ヴァリーちゃんの足に絡みつけてあったクモ糸が引っ張られたよー。文字通り振り回されながらー、ジャンプ突きをギリで回避ー。

「ふざけないでよー。こんなスリルなんて求めてないんだからー。サクっとブった斬られちゃいなさいよー。デッド!」

「派手にキメっぜ!」

 デッドは引っ張る勢いのままー、円を描く様にヴァリーちゃんを振り回すよー。

 デッドの膂力(りょりょく)にー、遠心力とヴァリーちゃんの大鎌が加わった大迫力の合体技なんだからー。この勢いのままジャスの身体を刈り取ってやるー。

「グレイブ」

「キャー!」

 急に足が引っ張られる感覚がして視線を向けるとー、突き出た岩にクモの糸が引っかかって急激に進行方向を変えられてた―。そんなのありー。

「バカっ、ヴァリー」

「デッドー」

 折りたたむ様な形でー、大鎌の切っ先がデッドへと変えられてたー。このままだとデッドを突き刺しちゃうー。

「ちぃ!」

 デッドが舌打ちしながら大鎌を掻い潜りー、ヴァリーちゃんを抱き止めてくれたよー。危なかったー。

「もらったよ」

 ヴァリーちゃん達が(なん)を逃れてホっとした隙を突いてー、卑怯者のジャスが迫ってきたー。このままじゃ斬られちゃうー。

「斬られて(たま)っかぁ!」

 浮遊感を感じてー、デッドが宙へ逃れたと気付くー。さっすがデッドだねー、機転が利くー。

「やっと宙に逃れたな。コレで遠慮なく全力でブっ放せるぜ。トップインフィルノ!」

 地表からの叫びに振り向くとー、ワイズが轟熱の火線を放ってたー。見るからにヤバそうな魔法を見てー、ヴァリーちゃんはとっさにデッドを乗り捨てたよー。

「デッド邪魔ー」

「なっ!」

 緑の恐竜よろしくな回避法で難を逃れるー。乗り捨てを食らったデッドの衝撃はー、驚いた顔が物語ってたねー。

 火線に貫かれたデッドはー、花火の様に()でて焼け尽きたよー。

「怖ー。痛々しいデッドの犠牲はムダにはしないよー。仕方ないから他のメンツに頼るかなー。えっ?」

 デッドを失って周囲に意識を向けてから初めて気付いたー。みんなの反応が消えてる事にー。

「ちょっと待ってよー。まさかヴァリーちゃんの最強部隊が全滅したってのー。元々強かったのを更に強化した連中がー、ワンオンワンで全員負けたってー。あり得ないー!」

 驚きのあまりに叫んでたら、至る所から足音が聞こえてきたー。ヒって悲鳴を上げならが見渡すとー、勇者パーティに囲まれてるー。

 なんでヴァリーちゃんが一人きりになっちゃってるのよー。勝利の目前までいってたでしょー。なんでこんな目に遭わなきゃいけないのよー。

 待って怖いー。イヤだー。イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだー。

「イヤーーーーーーーーっ!」

 崩れ果てた墓地で上げた悲痛の悲鳴はー、味方のはずの夜闇へと消えていったー。

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