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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第9章 深怨のヴァリー
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576 蘇る悪夢

「でもでもー、こーんな子弱いヴァリーちゃん一人を五人でボコボコにしようなんて大人げないと思わなーい。フェアじゃないよねー」

 怒りの表情から一転、イタズラを思いついた童女(どうじょ)の様にニヤリと笑みを浮かべだした。

「おいおい。さっきまで散々ゴースト呼び出して襲ってたのにその言い草はねぇだろ。まっ、今のオレならいくらでもまとめてぶっ飛ばせるけどな!」

「同感だね。ワシも腹の虫の居所が定まってなくてね、片っ端から何かを叩き壊したい気分だよ!」

「いいからさっさと出しなさいよ。全部射貫いてから、最後にヴァリーも射貫いてやるんだから!」

 妙に気合いを入れながらワイズ、クミン、エリスが言い放った。(たぐ)(まれ)に見る闘気だ。

「あははっ。みんな元気いっぱいだね。私はちょっと休みたい気分なんだけど」

「珍しく意見が合うじゃないかアクア。実はボクも頼もしい仲間達に戦いを任せきってしまいたい気分なんだ」

 アクアが深い傷口を押さえながら、疲れた笑みを浮かべていた。ボクも体内から腹を貫かれた身だ。できる事なら休みたい。

「けど、魔王ヴァリーを相手に休んでなんていられないだろ」

「そうだね。何を仕出かすかわかんないもん」

 普段より重く感じる剣を構え、剣先をヴァリーへと向けた。

「やだ怖ーい。こんなのヴァリーちゃん一人じゃ立ち向かえないよ。だ・か・らー、頼もしい助っ人を用意しないとねー」

 ヴァリーはクスクスと笑うと、どこからともなく火の玉を四つ浮かび上がらせた。それぞれ紫、黒、黄、白と個性的な色合いで(とも)されている。

「なんだろう。凄くイヤな予感がしてきたんだけど」

 アクアが不安を口にすると、ヴァリーは笑みを深めた。

「さー行くよー。ヴァリーちゃんとっておきー! ヘルシャフト・ラウフ!」

 四つの火の玉が地面に潜り込むと、ボコボコと四体のアンデットが地より湧き出てきた。そのシルエットにボクは言葉を失ってしまう。

「なっ、そりゃねーだろ」

「どいつもこいつも目が血走ってるじゃないかい」

「ったく。どこまでも救えない」

 ボクたちが今まで葬ってきたタカハシ家、デッド・タカハシが、シェイ・タカハシが、エア・タカハシが・シャイン・タカハシが姿を現したのだった。

「ヴァリー、そこまでやるの」

「兄弟仲良しで羨ましでしょー。アクアもちゃんと死んでたらー、ヴァリーちゃんの仲間にしてあげてたのになー。キャハハっ」

 愉快に笑うヴァリーとは対照的に、蘇ったタカハシ家はみな剣呑(けんのん)な眼差しを浮かべている。

「コレで五対五だからフェアよねー。マリーちゃんを蘇らせた時は元が弱かったからあんまり身体を強化できなかったけどー、ヴァリーちゃんのお兄ちゃんお姉ちゃんズは強かったからバリッバリに強化してあるよー」

 ただでさえボクたちが束になって一人と互角に戦えるかどうかだって言うのに、まとめて戦わなきゃいけないなんて。対峙してるだけで気を失ってしまいそうだ。加えて更に強化されているとか、悪夢でしかない。

「勿論アンデットだからー、みーんなヴァリーちゃんの頼れるしもべなんだよー。妹ってやっぱり愛される存在だよねー」

「まさかヴァリー。みんなの恨みもむりやりコントロールしてるんじゃ」

 アクアが問い詰めると、肯定する様にヴァリーはニィっと笑った。

「当然でしょー。下手に手心加えられても困るもーん。みーんな全力でアクア達を地獄へ送ってくれるんだからー」

 既に表情が勝ち誇っているヴァリー。不利すぎる対等な戦いに、文句を漏らしたくなるよ。

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