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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第9章 深怨のヴァリー
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566 主催者と踊らされる者

 勇者と姫が寄り添いながらー、ハードウォールへと帰っていくー。

 愛の囁きや足音が聞こえなくなってー、たっぷりと時間をおくー。

 吹き荒ぶ風の音以外はなーんにも聞こえなーい。静寂の中でついにー、我慢できずに吹き出しちゃったよー。

「ぷっ、キャハハハハっ。甘ー。甘々すぎて死んだふりするのに苦労したじゃなーい!」

 俯せからクルリと回ってー、仰向けになってお腹を抱えるよー。

「ダメっ、息ができない。マリーちゃんってばヴァリーちゃんを笑い殺す気ー。こんなんじゃ殺されちゃうよー。キャハハハっ」

 笑い死んでもいいくらーい、お腹を(よじ)ってヒーヒーしちゃーう。

 収まるまでかなり時間がかかっちゃったー。

「あー、マリーちゃんってば演技派だねー。景気良くヴァリーちゃんの背中を滅多刺しにするもんだからー、私怨(しえん)でも込めてんじゃないかと思っちゃったよー」

 まー、実際に恨みがこもってたんだろうけどもー。

「段取り通りに事が進んでるしー、マリーちゃんのお茶目な行動には目を(つむ)ってあげよー。ヴァリーちゃんってば寛大(かんだい)だねー」

 おもしろくなってきたー。ただ勇者を殺すだけなら楽勝なんだけどー、せっかくならいじめ抜いて絶望のドン底まで突き落としたいよねー。

「ヴァリーちゃん自慢のキャッスル・プリンセスを崩してまで死を演出したんだもーん、用意した舞台で満足するまで踊ってもらわなくっちゃー」

 ドロドロ血みどろの演劇を期待してるからねー。勇者と戦っておいて生き延びてるナマイキなアクアにもー、しっかりと痛い目みてもらわなくっちゃー。

「戦いが終わったらー、新しいキャッスル・プリンセスを建てなくっちゃー。今度は全力でファンシー方面に振り切っちゃおっかなー」

 この分だとー、いざって時に用意しといた切り札を使わなくて済みそー。

「さてとー、そろそろヴァリーちゃんも会場に向かわなくっちゃねー。あんまりのんびりしてたらー、一番いいところ見逃しちゃうもーん」

 勇者一行にはもれなく全滅してもらわないとー。仲間二人程度じゃ満足できなーい。目指すはプリチーな完全勝利なんだからー。

「さーマリーちゃーん。クライマックスを盛り上げられるかはアナタ次第だよー。盛大な演技とエンディングを期待してるからねー。キャハハっ」

 つまらない現実(シナリオ)なんかにー、ヴァリーちゃんは決して屈しないんだからー。何でも思い通りにー、世の中を書き換えちゃうぞー。

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